子供、いらない

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「トラックバック≠リンク通知」なのか?

2006-01-22 23:57:31 | Net.body

このところ気になっている話題があります。それは、トラックバックする記事のあり方で、特に「関連性」と「リンクの有無」に関する考え方です。

トラックバックのプロトコル(実装上の取り決め)的には、確かに「トラックバック≠リンク通知」です。でもやっぱり、関連している記事の「明確なリンクの通知」が、トラックバックの基本的な使い方じゃないのかなと思っています。そして、「検索トラックバック」というスパムの正当化のためにMovable Typeの「Developer Documentation : TrackBack Technical Specification」(邦訳は「トラックバック技術仕様書」)の概要が、時として言い訳として利用されていることがあることが気になります。

-気になった記事

実は気になる記事はいくらでもあるのですが、取り敢えずTrackBack Technical Specificationやその邦訳ページを参考にしている記事の紹介から。

  1. トラックバック≠リンク通知 - hxxk.jp 2005年05月20日00:47
  2. TrackBackは罪な技術なんかね? - Days of SpeakEasy 2006年01月16日23:07

どちらも、トラックバックの技術的仕様書を読んで「トラックバック≠リンク通知」という認識?をされているようです。ただし、ちょっと問題があるかなと思いました。

  1. 技術的な仕様書
    TrackBack Technical Specificationは、Movable Typeでトラックバックを実装した際の技術的な仕様書であり、実装面の説明が主です。
    残念ながらトラックバックの使い方の解説書ではないし、ましてや作法が書いてある訳ではないようです。概要も非常に曖昧なので、トラックバックの使用目的を仕様書だけから導き出すのは、非常に困難ではないかと思います。

  2. 引用を誤ると改竄となりかねない
    参考文献の引用を故意や過失により誤ると、原文の意図を容易に改竄できます。
    例えば、「~です。例えば、もしもAさんが~トラックバックを送ります。すると~となるのです」とあるところを単に「Aさんが~トラックバックを送ります。」と書いてしまうと、そこだけで完結した内容であるかのように誤解されかねません。
    つまり、単なる使用例の中の一フレーズでしかないのに、それだけを目的として開発された技術であるかのように改竄できますので、非常に短い引用は節やページ全体の主旨に沿っているのかどうかを見極める必要があります。
-でもやっぱりTrackBack Technical Specification

技術的仕様書のTrackBack Technical Specificationとはいえ、Movable Typeの仕様であればやっぱり参考にしちゃうんですよね。だから、概要部分だけ引用しておきます。

This document describes TrackBack, a framework for peer-to-peer communication and notifications between web sites. The central idea behind TrackBack is the idea of a TrackBack ping, a request saying, essentially, "resource A is related/linked to resource B." A TrackBack "resource" is represented by a TrackBack Ping URL, which is just a standard URI.

Using TrackBack, sites can communicate about related resources. For example, if Weblogger A wishes to notify Weblogger B that he has written something interesting/related/shocking, A sends a TrackBack ping to B. This accomplishes two things:

  1. Weblogger B can automatically list all sites that have referenced a particular post on his site, allowing visitors to his site to read all related posts around the web, including Weblogger A's.

  2. The ping provides a firm, explicit link between his entry and yours, as opposed to an implicit link (like a referrer log) that depends upon outside action (someone clicking on the link).

Developer Documentation : TrackBack Technical Specification - Six Apart
太字は、引用者による。
-related/linkedの意味

どうも、「related/linked」の単語だけで「リンク通知が目的ではない」という主張をしている方が多いように思います。確かに単語だけでは、「関連している または リンクしている」となるため、「検索トラックバック」の正当化に使われ易いのですが、この節を全て読むと、「関連している派生記事には、参考にした記事へのリンクが必ず存在する」という著者の前提が隠されているように思えます。むしろ「related/linked」が、「(リンク及び)関連している または (単純に)リンクしている」という意味で書いてあるのでは?とさえ、思えてきます。

何故かというと、使用例の「得られる結果 1.」にある「参照されているエントリの一覧が作られる」が気になるのです。勿論、参照していないエントリが含まれないとは書いてはいないのですが、この著者の「related」の意味として、「referenced:参照している(出典へのリンクの類がある)」後発の記事(派生記事)という前提があるように思えるのです。

更に「得られる結果 2.」においては、「an implicit link (like a referrer log):(リファラログのような)暗黙のリンク」という言葉まで出しています。つまり、Aの記事内のリンクをクリックしてBにAの存在が分かるのではなくて、AからBへのTrackback Ping送信により「明確な双方向リンクを築く:リンク済み記事Aに対して記事Bから逆方向のリンクを張る」ことを目的としているようにさえ思えるのです。

-記事が書かれた順序

実は、記事を書いたらキーワードがマッチするだけのトラックバック先を無理やり探して「検索トラックバック」する方から、過去に「キーワードがマッチしたんだから、関連している」とコメントを貰ったことがありました(「検索トラックバック」もね)。また、その方ではありませんが、「related:関連している」という言葉を盾に「検索トラックバック」を「関連記事のトラックバック」だとおっしゃる方もいるようです。

しかし、「関連記事のトラックバック」と「検索トラックバック」の大きな違いとして、記事の書かれた順序があります。

例えば、Aさんが過去に書いた記事の中には、Bさんにとって、興味があったり、衝撃を受ける内容の記事があるかも知れません。何故なら、Bさんが最近書いた記事の疑問点を解消する内容であったり、Bさんの記事の前提を覆す(Bさんが知らなかった)事実であったりするかも知れないのですから。

もしも、AさんがBさんの記事を見かけたなら、新たな記事をわざわざ書かず、過去の記事をそのまま:都合よく修正しないで「関連記事をトラックバック」することには、非常に意義を感じます。

しかし、TrackBack Technical Specificationの説明では、残念ながらAさんの記事の方がBさんの記事よりも新しいときしか書いてありません。つまり、リンクが必ず存在する派生記事のトラックバックの説明しかなく、「過去の関連記事をトラックバックする」ことなど考慮していないとさえ思えます。
# 勿論「検索トラックバック」など登場しません

-技術的ではない参考文献

トラックバックの技術的な仕様書ではなく、初心者向けの解説ページもありますので、そちらも紹介しておきます。

  1. A Beginner's Guide to TrackBack: What Is TrackBack? - TrackBack Explanation(原文)
  2. トラックバック初心者ガイド:トラックバックって何ですか? - はじめてのウェブログ(邦訳)

こちらの説明にも「トラックバック=リンク通知」とは書いてありません。ですが、ちょっと読んでみてください。自分が記事を書いてからキーワードが一致する記事を探してトラックバックをしよう!と読み取れるような部分があるでしょうか?

主なトラックバックの使い方(Bさんが興味をもつ理由)として、2種類が提示してあります。一つは「遠隔コメント:派生記事のトラックバック」ですから、「リンクがあるのは当然」です。もう一つの使い方は、既存の中心記事(トラックバックセンタとなる記事?)に対して、後発記事がトラックバックを集中することによって、誰もが関連記事を読むことができるというもの。注意しなくてはならないのは、中心記事は多数のトラックバックを受け取る記事であり、多数のトラックバックを送信する記事ではないのです。

どちらにしても、非常に希薄な関連性を盾に多数のトラックバック送信をする使用例などないのです。

-結局なに?

トラックバックPing送信のプロトコル上の定義は、「通知するURL」のみが必要なHTTP POSTリクエストです。つまり、単なる「URLの通知」であって、関連性やリンクの有無は全く関係ありませんし、逆方向リンクを生成するものでもありません。

とはいえ、ブログサイト間でコミュニケーションするのが目的なのであれば、閲覧者が互いのサイトを容易に閲覧できるように、トラックバックする記事やその付近にトラックバック先へのリンクがあるべき(トラックバック送信側の問題)ですし、トラックバック受信記事の付近に「通知されたURL」へのリンクを生成した方がよい(トラックバック受信側の問題)訳です。

つまり、トラックバックの第一目的が「明確なリンクの通知」であり、「通知されたURL」へのリンクが生成される限り、記事の関連性はともかく、サイト間コミュニケーションは生まれるのではないかと考えます。
# 関連性のシステム化やマニュアル化は非常に難しいので、ちと保留

ということで、「派生記事」を書くのであれば参照文献(出典)へのリンクを入れるようにしたり、過去の記事を関連記事としてトラックバックする場合は、(本文でなくてもよいので)何処かにトラックバック先(と必要なら目的や背景)を追加した方がよいと思います。

また、記事を書いてからトラックバック先を検索して探すような「検索トラックバック」は、「関連記事」でもなければ「派生記事」でもないので、単なるスパムトラックバックと考えますし、「リンクが列挙されただけの記事のトラックバック」というのも、できるだけ遠慮したいところです。

でも、このブログは「関連記事のトラックバック」を拒絶している訳ではないのです。このブログの記事に対してあなたの過去の記事を「関連記事」としてトラックバックする場合は、当方が理解できれば問題ないんじゃないでしょうか?
# 理解できるケースは多くないみたいですけど…


↑Bトラックバック≠リンク通知 - hxxk.jp 2005年05月20日00:47
TrackBackは罪な技術なんかね? - Days of SpeakEasy 2006年01月16日23:07
Developer Documentation : TrackBack Technical Specification
トラックバック技術仕様書
A Beginner's Guide to TrackBack: What Is TrackBack? - TrackBack Explanation
トラックバック初心者ガイド:トラックバックって何ですか? - はじめてのウェブログ [weblog for beginners] 2003年10月28日17:09
有用なトラックバックとは - hxxk.jp 2004年12月03日00:28
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