
以下、ネタバレをとっても含みます。
先に読んでしまった、とおっしゃられても私は責任を持ちません。
まだ見ていない、これから見る予定だ、DVDの発売を待っているという方はご注意ください。
今回のタイトルは「残酷歌劇」。
一昨年見に行ったときは演劇で、エンターテイメント要素が強かった。
今回「歌劇」になったことでどうなるのか、気になって見に行った。
結果から言うと、開演10分でDVD購入を決めた。
作品の再現度がとても高く、また本作である「ライチ☆光クラブ」の外伝、「ぼくらの☆光クラブ」の内容まで入っており、それが出演者全員のダンスや歌、演出のスピード感と重なり合って、大変満足のいく舞台だった。
舞台は蛍光町。
工場からの黒い煙で町は全体的に汚れており、大人は工場の仕事ばかり、かなり貧しい地域だ。
そんな大人にはなりたくない、成長すること自体が罪だと説き、9人の少年はマシンの制作を開始する。
世界を手に入れるために、少年たちは必死であった。
少年たちが通うのは蛍光中学校。
蛍光町の中でも特に周りからは差別され、仲良くしてはいけない、会ったら避けるなどの扱いを日々の生活の中で受ける少年たち。
思春期真っ盛りにひねた劣等感を押し付けられた少年は、欲の吐き出し方が分からない。
ゼラは元々男色ではない。
プライドの高さから、己の中の欲望をどう解消すればいいのか分からず、女のような見かけをしているジャイボに翻弄されていく。
欲望を解消する大人の方法を取っていながら、大人になることを否定する。
ゼラの生き方は悲しくて痛々しい。
舞台は歌劇。
ゼラやジャイボ、ライチが歌って踊る。
東京ゲゲゲイの方たちのダンスに、ゼラの苦悩が入り混じる。
「ぼくらの☆光クラブ」からの抜粋シーンである
「14歳の誕生日までに、ぼくは何をしたらいいんだろう?」
が入っていることで余計にゼラが可愛そうに見えた。
そして最後には自分の妄想に絶望し狂っていく。
最初は規律を正し少年たちの頂点に立つにふさわしい佇まいだったのに、小さなことで取り乱し、まるで悲鳴のような声をあげる。
悲痛な叫びは実際に演技として聞くと心にくるものがあった。
信じていたものに裏切られることを本当に恐れていて、疑心暗鬼になる。
全てに裏切られ、片手をもがれながらもカノンに執着するゼラの姿。
また、ダフの最期のシーンもよかった。
タミヤとダフとカネダは、最初の光クラブメンバーだ。
3人の秘密基地、それが光クラブだった。
ゼラが闇の帝王として君臨したあと、どんどん残虐化していく光クラブに疑念を抱くタミヤ。
タマコと共に遊びながら、
「ずーっと3人でいような」
と約束する後ろで、ダフは禁じられていたはずのカノンへの接触、自慰をしてしまう。
タミヤの回想とタミヤの知らない場面の同時進行、そして暗転。
舞台が明るくなったときにはタミヤはパチンコをダフの額に当てていた。
そしてセリフ、
「どうしてこんなことになっているんだ?」
タミヤのやりきれない気持ちも、ここにはある。
ニコの眼球を取り出すシーンやジャイボとゼラとの出会い、それと平行して進行するライチによる残虐劇。
女教師によるポールダンスや、少年ゼラの思想を表現したダンス、ライチのロボットダンスなど、歌劇ならではの演出もたくさんあった。
血による演出は前回同様あり、役者さんたちの演技もすごい。
グロ耐性のあるライチファンの方々二はぜひ見ていただきたい。
(終わり)
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