なんこつ。

橋本花鳥による
創作マンガとチキンの魂

マンガ日本史48号「東条英機」を担当しました

2010年09月21日 15時41分52秒 | マンガ
今日はやたら夏に忙しがってたお仕事の発売日ですので、その報告と宣伝をば…

朝日新聞出版さんより好評刊行中の「マンガ日本史」その48号「東条英機」の回を担当させていただきました。
人物が人物ですし、今日はマジメに。

始めに、私は強い思想を持たないし二次大戦に詳しくもない。
日本に生きて国を愛さないはずはないし、誇りを持って日本人でありたいと思う。
生まれたときには日本は敗戦国だったし、軍隊を持たない国だった。
非武装であることがすばらしいことだと教えられたように記憶しているけど
学校できちんと、身に染み付くほどあの時代を習った覚えはない。

「東条英機」という名前も、二次大戦の時の首相でA級戦犯だということしか思い出させなかった。
今回このお仕事を頂いて、恥ずかしながらようやくそのほんの一面だけど知ることになったわけで。

…でもそれがおかしいと思うのですよ、私の無知はもちろんとしても
何故開戦にいたって、何を奪って何を奪われて、被害や加害を叫ぶ前に何を思えばいいのか話し合う時間がどうして授業になかったのか。


重ねて言うと、私には極端な思想はありません。
思うところがないわけじゃないけど、少なくとも子供が読むものに思想をねじ込むなんて物書きの端くれとして尊敬できることじゃない。

だから、どうか考えるきっかけにだけなって欲しいと思うのです。
無知の所為で片手落ちになった部分も、事情から描く事のできない部分もきっとあったでしょう。
答えなんかすぐ出さなくていいから「どうしてだったのか」胸の中に持ってて欲しいのです。
私もまだ考えてる最中だから。


最後に、マンガを描いた感想として
カラーが24pのマンガだからとかじゃなくて、その資料を読むことと
彼の顔写真に向かい合うのが辛くてたまらなかったです。
私にとって大事な時間でした。
お仕事を下さった編集さんと、資料探しのために奔走してくださった担当さんに感謝しています。


もし、本屋さんなどで見かけることがあったら
「ああ、これがトリニクが頭を壁に打ちつけながら描いたマンガか」
と思っていただければ幸い。

それから、著者名が「永山愛子」になってますが今回は本名名義です。
…だって軍人さんの横に「橋本チキン」は載せられないでしょうよ…
「本名にしてください」とのお願いを快諾くださった出版社さんにも感謝を込めて…

長くなりましたが、それでは~


夏の間忙しいって騒いでた正体でございました。


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6 コメント

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コメント返信 (チキン)
2010-10-16 19:50:41
権兵衛さんへ
こんにちは、読んでいただけてとても嬉しいです。
あの時代を知るほどに胸の内は複雑になります。子供の頃にちゃんと知りたかったと思うのです。
…今でも何が真実なのか正しく解りはしませんが…
だから子供の頃の自分に話してやるつもりで描いたんです。
もちろん編集部の方の多大な力をお借りしてですが…。
未熟で片手落ちなところもあったと思います。でも誠実に描こうと思った気持ちを汲み取ってもらえたこと、本当に嬉しいです。


創作物は生まれて人に触れて育っていく生き物のように感じています。
人と人の間で存在して、ようやく立ち上がって歩く生き物です。
だから生んだ方の想定しない評価やレッテルは覚悟の上ですし、それが嬉しかったりもします。
…もちろんちょっとは「こう感じてくれたらなぁ」なんて欲も出したりしますが(笑)

私は芸術家じゃなくてエンターテイナーでありたいから
この先も楽しんでもらうオブラードにくるんでくるんで、気持ちを送って行きたいと思っています。

このたびは丁寧な感想、コメント本当にありがとうございました。
この先の励みにしたいと思います!
Unknown (権兵衛)
2010-10-16 18:13:20
こんにちは。
今日「マンガ日本史 東條英機」を読ませて頂きました。
私は以前から歴史に興味が有り、近現代についての本も幾冊か読み
あの時代のことを個人的に色々考えたりしていました。
東条英機という人物も私の興味あるうちの一人です。
そうした事もあり本屋でたまたま見かけた「マンガ日本史 東条英機」を手に取るに至りました。
結論から言って非常に読後感に満足しております。
そして「マンガ日本史 東条英機」で検索したところこちらのブログに辿り着きました。
近現代という歴史的評価も様々な難しい時代に指揮を取った一人の人物を丁寧に描ききった
漫画家さんの誠実な思いを知る事ができ、深い感銘を受けたためコメントさせて頂きました。
実は最初に表紙やマンガの絵をひと目見た時にも
誠実さのようなものを感じ私もやや緊張する思いで読みました。

僭越ながらコメント欄も読ませて頂きました。
私も音楽を専門に学んだ人間です。
自分の作品で思想やメッセージを発信するのは創作者として当然のことと思います。
古来、様々な創作者が自分の葛藤や思想を色々な形で表現してきました。
言語が付かない場合の音楽にもメッセージはあります。
恩師が「作曲では説明出来ない音や休符は一つでも入れてはならない。全ての音の意味を
説明出来なければ演奏する側に失礼だから」と言っておりました。
メッセージの無い創作物など存在しませんし
そのメッセージを受け取るか否かは受け手が判断するものです。
ただ作り手がその作品を発表する時、レッテルを張られることや自分の思いを上手く表現出来ているか等に葛藤がありそれなりの覚悟が必要なのだと存じます。

長々と失礼致しました。
橋本先生の今後のご活躍を祈念申し上げます。
コメント返信 (チキン)
2010-09-28 18:43:52
D.Dさんへ
音楽で思想を絡めるのはさらに難しいですね…
無意識に人の耳に入り、口ずさんでしまうものだし。
戦争を鼓舞する歌も反戦歌もそうおいそれとはうたえないですよね
でも、だからって思うことにフタをして当たり障りなくやっていくんだったら
「なんでモノづくりなんて道選んだんだろう」
とも思う時があります。
もっと皆が幸せになれるような、つらい現実を一瞬忘れられるような歌やモノを沢山つくればいいじゃないかとも思うんだけど、自分にウソをつくと碌なものができなかったりするのも現実で(笑)

今回のお話を頂いた時はとにかく中庸に描きたいと伝えて、そうできるよう努力できたと思っています。
…無知の所為で現実どう出来たかはわかりませんが。
遅いと言われても、今子供にしっかり戦後を教えて、私たちも一緒に考えないと
良くわからない誰かの決めた日本の未来を歩かなきゃいけなくなると思うのです。
…太平洋戦争はそうして始まったように思います。

どうすればよいのか正直トリニクにもさっぱり答えが出せないのです。
「未来の為に血を流して戦え」なんて
自分の家族や友人やそれこそネットで触れる人達が戦地に行かなきゃならない状況は泣きたくなるほどイヤなのです。

じゃあ当たらず触らず、平和の布団被ってペコペコ他所のいいなりでバカにされながら生きながらえればいいかって、
そうも思わない。

戦争で儲かる人もいるし
戦争で伸びる技術も発明もある

けど戦地で身体の中身をぶちまける現実を見て
戦争がしたいなんて言える人が何人いるんでしょうか…

カガステルは人間が人間を殺さないと生きられない話を描いていますが
その為に本を読むほど、何もわかりはしないと感じます。
「こうすればいい」という結論が出せません。
そこは抱き込んだままラストまで描いてみようと思っています

今回の仕事は気を引き締めるのにとても良いものだったと感じています。
良かったら、手にとって見てください^^
未熟で恥ずかしい限りではありますが
精一杯努力して描いたので!

長文ありがとうございます!
今後の励みになりますとも、これからもよろしくです!
読みたい!! (D.D.)
2010-09-27 23:52:27
残念ながら未だ入手しておりません。
(もちろん本屋さんに探しに行くつもりですが)
大好きな作家さんが、東条英機を描くというのですから読まないわけにはいかない!!

自分は普段ネットでは、自分達の音楽作品とライブ活動の告知が話題の中心になってます。
(Twitterでは日常も呟いてますが)
やはり広くアピールするにあたって難しいのが政治と宗教、そして歴史認識の話題です。
だけど、本当は言いたい事は山程ある。
この国が好きな一人として、現状は看過し難い域まで達しつつあります。

詰まる所、自分に出来る事をやるしか無いのかも知れません。
感性から国を変えようなんて思ってないですし、全く以て微力ではありますけれども。
反戦曲のようにメッセージ性の強い物も悩ましい問題です。発表するべきなのか否かの決断に至りません。
作品の受け手の方々に対して、思想を強要するような類のものは違うんじゃないかとも思うのです。
事象の結果論だけでなく、そこに至る過程や心理を表現する事で、少しでも日本人の内面を意識した楽曲を生み出せたら。
国民の義務としての選挙参加以外には、何か感じられるものを発信していく事が自分に出来る事。
しかし当方若輩者故、余り多くは実現出来ないのが実情でもあります。

また、トリニク先生の作品のように、自分が素敵だと思える作品を皆に良いと伝える事も大切に思っていて。
たとえばカガステルには日本人が本来持っているはずの「心」が詰まってるように思えるんです。
だから読んでいて気付けば涙したり、鮮烈に胸に残るシーンや言葉があったり。

名も知らぬ死にゆく者の願いを聞き届けたキドウのように。
E-05を守り抜こうと銃を手に取ったマリオのように。
街の子供達を案じながら逝ったカシムのように。
誇り高く義理と礼を重んじる商区長のように。
「悪いな」と笑って覚悟したハディのように。
いつでも帰って来いと言ってくれたカーラ姉さんのように。

実在の人物を描くにあたり、きっと想像を超えた苦悩も味わわれた事と思います。
本を手に取るのが楽しみでもあり、身が引き締まる思いもあり、少し複雑な気持ちです。
だけど自分はこれを読まないわけにはいかないと思います。
読後でもないのに長文大変失礼致しました。

より一層のご活躍をお祈りしております。
コメント返信 (チキン)
2010-09-25 20:00:32
19歳の青年さんへ

読んでいただいてありがとうございます
マンガで表現するには難しい人物でしたが本当に良い勉強になりました。

日本を取り巻く状況は日々考えなければならないものになっていっていますね…
誰かが何とかしてくれるのを待って他人事でいて、取り返しのつかない状態になるのが恐ろしいです。
青年さんを含め、若い世代にその緊張感が生まれているのはとてもよいことだと思います。
これからの日本をどうしていきたいか、誰かに決められてしまう前に、話し合って決めていきたいですね。

日本の未来のために、私も青年さんと同じように考えてできることをしていきたいと思います。

今回は感想くださってありがとうございました!
今後の励みにして、一層の精進に努めたいと思います
それでは!
第48号東条英機読ませてもらいました。 (被爆都市長崎から日本を考える19歳の一青年)
2010-09-24 00:58:23
どんな内容になるのかと
かなり前から待ちわびていた
この本をようやく今日手に入れて
読むことができました。
東条英機のお話をえがくにあたって
あらゆる苦悩や困難が
著者の方にはあったとおもいます。
そうでありながら、とてもよく
かけていたと思います。

僕は平成の世に生まれ、平和を
謳歌される時代に生きてきました。
しかし今、日本をとりまく世界の情勢は
緊迫感を増してきています。
そのような中で
やはり他人事では済まされない
日本の安全、防衛問題は
僕に使命感を与えます。
そして、なお一層
日本の歴史の探究心をそそります。

そんな今の僕に
今回の本は、軍国主義下の
日本を振り返るきかっけを
与えてくれました。

まだまだ、未知のことは多く
不甲斐ない自分ですが
日本のより良い発展のため
力を尽くしていく所存です。

p.s.
著者の方も
これからなおいっそうの
ご活躍を期待しています。

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