仕事のパートナーが亡くなった。
人が亡くなると、様々な手続きが必要になる。
そして、火葬もしなければならない。
3月14日早朝に息を引き取ったパートナー。
その時、彼の娘が側にいてくれた。
私は始発電車で向かったけれど間に合わなかった。
病院は生きてる人が居るところ。
準備が整うと病院の霊安室に移動される。
病院のスタッフがお化粧を、してくれるという。
亡くなると血の流れがなくなるので、顔色も良くない。だから肌色にお化粧してくれた。
着るもの。どうしますか?
棺に入るときに着る服のことだ。
この時点では、親族は娘のみ。
『10年以上会ってないのでなにもわかりません』
娘は疲労した様子で、困ったように口を開いた。
私の仕事のパートナーは、親族とまったく連絡をとっていなかったことを知る。
私は彼が仕事場の一部で寝泊まりをしていることを知っていた。
住む賃貸マンションはあるけれど、ほとんど仕事場にいた。
成人している私のマイ娘も。彼のそんな、生活を知っていた。
マイ娘がタクシーで仕事場に戻り、ワイシャツを探してきた。
彼が亡くなる前日に病院へ付き添ったのもマイ娘だった。
遠くにいる親族より、近くにいる他人が動くしかなかった。
3月14日の午後は霊安室に移動した。けれども、ゆっくりとした時間が流れる訳ではない。
病院の提携する、葬儀屋が
このたびは御愁傷様でした。と近づいてきて今後の予定を確認したがっている。
前日の午前中は、まだ仕事をしていたパートナーだったが、今は葬儀の予定を立てるように促されているのだ。訳がわからない悲しみで感情が震えていたのに、意識が正気に戻された。
しかし、担当者の問いには、
パートナーの娘は何も言わない。
だから少しだけ、時間を貰った。
時間がほしいと返答すると病院には長くはいられないので、数時間で決めてください。と言われた。
それにしても、費用がとても高い。
パートナーを3日預かり、お別れセレモニーをして火葬するのに、親族のみ参加で45万円!
それを、聞いていたマイ娘はネットで相場を調べ始めた。
そんな中、パートナーの娘の連絡で
『お兄ちゃん』と『◯◯』が駆けつけた。
つまりはパートナーの息子と弟だ。
それぞれに安置されたパートナーに会って言葉を発することなく、無言で会話をしている様子だった。
そろそろ私とマイ娘はこの場所から去るタイミングだと判断し、立ち上がる。
私が働いていた仕事場は、明日からどうなるんだろう?
こんな時に聞いても良いのだろうか?
パートナーの奥さまは既に亡くなっていると聞いていたので、息子に聞いてみることにした。
パートナーが亡くなって知ってしまった嘘、残酷なウソが明らかになる。
『母は生きています。親族は彼のことについて一切関わりません。相続は放棄するので何もお金は出しません』
葬儀やらない
火葬しない
仕事場の整理、やらない
しません
できません
私は意味がわからない。
ここに居るべきではなかったのか?
急に私は、更なる窮地に立っていたことを少しずつ実感することになる。