トコロカワレバ

毎日は些細な驚きで溢れてる

1925年の型紙と9cmの視線

2007-03-21 | 日々のつれづれ、、、





月曜日の午後2時。とある建物の地下階。
私は、ざわざわと落ち着かない様子の人々に紛れながら
分厚くて天井まで届きそうな扉の前に立つ。

しばらくして、扉が開かれると人々は扉が完全に開くのも待たずに
波になって室内へと流れ込んで行く。
私も間をおいてからビロード貼りの室内に入り、あえて最後部座席の後ろに立つ。
そして、marteau(小槌)が振り下ろされる。

***
先日、パリの競売所でオークションに参加しました。
前日たまたま訪れた時に、見つけてしまったのです。
それがこれ。



「POCHOIRS JAPONAIS」(日本の型紙)

1925年、パリの芸術書を扱う書店が、日本の型紙を収集しているコレクター達にお願いをして
50ページにわたる「日本の型紙」の図録を発行しました。
繊細な刃物使いに加え、その裏にとめてある糸の支えまで見られます。

***

商品番号が近づいてくると、心臓の鼓動が聞こえるくらいの緊張感。
そして
「コンッ!」
っとハンマーが振り下ろされ、このPOCHOIRES JAPONAISは私の手に。


フランスに影響を与えた日本の芸術。
そしてそれを手にして再び影響を与えられる私。
このまま、時間の流れとともに呼応しあっていければ、と。
人生で初めて、自分の為だけに競り落としたこの図録は
なんだか妙に感慨深かった。

********

競売所で緊張しながら競ったのと前後して
2007年3月はもう一つ大切な買い物をしたのでした。
それがこちら。




9cmのヒール。
私は生まれて初めて体験する視野と姿勢を手に入れました。


30の誕生日を目前に
この2つのものはなにか象徴的ではありませぬか。








アナログの不安ったら

2007-03-12 | Mariage




ここはParisの郊外Yvry(イヴリー)県、Houilles(ウイユ)市の市役所。
先月から、私とVは週に1度は必ずここを訪れている。
期待感と諦め感をいつも抱きながら、この市役所の前に立つ。
そして、毎回必ず残念な思いを胸に、そこを後にする。


そして先週末、時は夕暮れ時。
この日は朝から天気が良く、なんだかとても心地良い一日だった。
だからといって、期待すると裏切られた時のダメージが大きいので
心をなるべくニュートラルに保つ様にする。


てくてくてくてく。とんとんとん。
角を曲がると、市役所の正面が見えてくる。
心がざわざわとしてくる。
おちつけ!


そして市役所正面に立ち、入り口脇にある掲示板に目を泳がせる。
・・・

「Il y a !」(あった!)
と最初に叫んだのはVだった。
「あ、ホントだ!」
と、私。


私たちが待っていたのは、この掲示板に張り出されたA4の紙っぺら。
ここには
「誰それさんと誰それさんがいついつどこどこで結婚します」
という事が書いてあって、2週間この市役所の前に公示され
その間「この結婚に異議あり!」と申し立てる人が現れなければ
結婚を認めましょう、という紙っぺら。





思えば、必要な書類を送って1ヶ月以上も何の音沙汰もなく
問い合わせのメールを送っても返事は来ず。
書類に不備が無いか確認の手段も無いまま出来ることはひたすら待つだけ。
この便利な時代に、封書を一通海の彼方に送り
手続きが無事済むのをひたすら祈ってた末
この紙が近くの市役所の掲示板に本当に張り出されたのを見るというは
なんとも奇妙な感覚。
手の中にあるようで実は確かな物はなんにもない
デジタルなコミュニケーションに慣れている時に
ばったりと、この、手に取って確かめられない
アナログな通信手段に出会ってしまった時の不安と言ったら。。。
そして、また、その後の喜びと言ったら。


ともかく、残すところ1週間。
「ちょっと待った!」と言う人がいませんように。







日仏歌合戦の夜

2007-03-01 | 日々のつれづれ、、、


何となく今日は時間があるねぇ、と話していた、ある平日の夕食後。
お腹いっぱいになってソファーに座ると
Vがラップトップを持ってとなりにやって来た。


そう、そもそものきっかけはこの前観たエディット・ピアフの映画
「La Mome」(ラ・モーム)に影響された私が
ピアフ自身がJe ne regrette rienを歌っている姿を見たい、と言った事から。
La Momeを観て彼女の激しく辛く美しい人生の一部をちょっと垣間見れたので
そんな人生を歩んだ人間がいったいどういう表情でJe ne regrette rienを
歌っているのか観てみたかった。(LaMomeのお話はここではナシね)

ネット上でエディット・ピアフの歌っている姿を見つけてもらいその余韻に浸っている時
私の心にフツフツと「日本の大御所女性歌手も是非知ってもらいたい」
という強い思いがこみ上げてきた。
そこで、私は思いついた人物は
なぜか「美空ひばり」。
彼女の動画をYouTubeで探し始めたところから勢いがついてしまった。
都はるみ、天童よしみ、山口百恵、岩崎宏美 、さだまさし、サザン、、、(微妙でゴメンネ)
私がひとつ見せると
Vも負けじと大御所だけどちょっとハズしどころのフランス人歌手を見つけてくる。


日本代表、ピンク・レディーを見せられたVが対抗馬として出したのが
フランス人歌手クロード・フランソワ。
これはちょっとたまげたので、みんなにも見せたいぞ、ということで
曲は「アレクサンドリ・アレクサンドラ」です。どうぞ~。
ぱちぱちぱち。


クロード・フランソワ「Alexandrie Alexandra」
(音・映像共要注意!!)


うぅー!フランス人もなかなかやるわねっ。
この人に対抗出来るのは、えーいジュリー(沢田健二)でどうだ!
すごー、パラシュートだよっっ。ぼうし斜めすぎっ!


そうして、夜は更けていったのでした。

つづく