実際に全国銀行協会でも、銀行の貸し出しは現金を交付するのではなく、預金口座に相当額を入金記帳することであるとされています。ちなみに僕はお金に無頓着の人間だと妻に怒られますが、この事実を知った時にはさすがに驚きました。金は実体がないのか?と。もう四半世紀前ぐらいだと思います。
きっかけはミヒャエル・エンデの『モモ』を読んだ延長線上で、その思想に触れた際だったと思います。ちなみに実体経済や生活からお金が遊離していくことを「お金とはなんであるのか?」と問うものですし、小さな経済、つまり地域通貨の可能性を指摘していて、目から鱗が落ちたという思想でした。
さて、話を戻しましょう。実は面白い事実があります。
この銀行の融資業務からわかることですが、通帳に金額を書くだけでお金が創造されるということです。ですから、「お金を貸してくれ」と誰かが言わない限り、一面お金は創造されないという特徴を持つのです。
ゆえにお金は借用証書であり、貨幣を創造するとは負債を作り出すことでもあるわけです。実際マンションを購入するのに銀行で融資を受けると、銀行は通帳に金額を記載し、僕は負債を背負うことになりました。逆から見ると、僕が負債を背負うと宣言すると、銀行にはその負債分の預金通貨が生まれたのです。
僕はマンションを購入したことがあります。銀行で融資をしてもらいましたが、目の前に現金はどこにもありません。通帳にいきなり預金残高が増加し、一瞬のうちで支払われました。残ったのは不動産ローン。
ただこれはなかなか整理しづらいのだと思います。僕たちは普通に銀行からお金を借りたので、銀行にそのお金を利息をつけて返すだけと思っていますから。