Drマサ非公認ブログ

新聞奨学生を振り返る5

 僕が新聞奨学生をしていた場所は、前にも触れたが、新宿の職安通り沿いであった。

 地域的にディープな場所ではあった。朝方配達していると、ホスト連中が喧嘩している場面に何度も遭遇した。一応歌舞伎町である。いわゆる人々が歌舞伎町に遊びに行くその奥の歌舞伎町である。ラブホテルがあったりもしたし、そういえばバッティングセンターのそのまた奥という感じの場所であった。

 そこでの喧嘩。かといって、僕に何か問題が生じるわけでもない。当たり前のように配達するだけである。缶コーヒーを飲みながら見物していたぐらいである。酔っ払っていたり、血だらけだったり、着ているシャツがボロボロだったり。威勢がいいだけで、以外に周りに迷惑をかけないように感じていたぐらいだ。

 それでもいま思い出すと、新聞配達とホストなど夜の商売の人々が交錯しているのだが、実際お互い他人事になっているのだから、“都会”的なのだろう。普通に考えればというか、人が血まみれになっているのを気にしないし、逆にホストから見ると、新聞配達なんか無関係なのだろう。そんな意識が支配する空間であった。ちなみにホストクラブも新聞をとっているところはあったはずだ。僕の担当ではなかったが。実話ごんナックルズのように面白い話にはならない。

 仕事で集金があったので、実際の人間と触れたりはする。ラブホテルの集金もあるのだが、ラブホテルに集金に行ったり、時にはラブホテルの経営者の家に集金ということもあった。そういえば、レンタルスペースがあって、集金に行ったら、そこのお客さんのカップルと鉢合わせになったこともある。当時の僕の年齢と大差ないカップルだが、こっちは新聞配達である。「人間が違う」という感想を抱いたものだ。なんか鮮明な記憶だ。

 以前にも触れたが集金先にヤクザがあった。ドアをノックして、入って行く。奥に物々しい看板がある。字が崩してあって読めない。「**組」「*+興行」との看板だったと思う。「**新聞です。集金に伺いました」と声をかける。小さな所帯であるが、扉近くにいる若い人が怖い。こちらを睨みつけてくる。そうすると、「新聞屋さんか?」などとぶっきら棒に言いながら、少し奥からおじさんが出てくる。そして、普通にお金を払ってくれる。

 そして必ずと行っていいいほど「ご苦労さん」と言いながらメッコールという炭酸飲料を持たせてくれる。このジュースはなんだかコーラにごま油が混じっているような味がしたものだが、なんか苦手。

 でも彼らは基本優しい。そりゃ新聞配達になんの恨みもないだろうに。ただ「どうして入口のお兄さんの教育をしないのかなあ」などと思っていたものだ。どうもこの炭酸飲料は韓国のもののようである。ヤクザに在日朝鮮人が多いので、そこでメッコールなのかと思ったりしたものだ。

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