香りでいえば、沈丁花。
どこからともなく漂う芳香に、しばし足を留める。
2,30年も昔のこと、
うちの庭では、ばらの芽かきの適期だった。
新芽を吟味し、将来のステム、その伸びる方向も考慮して、
中途半端な芽は、根元から外していく。
外した芽だけでも、実に数kgもあって、
ある年など、芽掻きした新芽で、糸や布を草木染めした。
八十八夜の新茶で染めたら、きっとこんな感じだったろう。
初々しい、浅い緑系、おまけにバラの香り付き。
手元には、バラの新芽の清らかな香り。
風に乗って漂うのは、沈丁花の濃厚な香り。
なんと豪華な春!だったのだろう。
でもなぜか、うちの庭に沈丁花は育たなくて、
数年で突然枯死、消えていった。
写真の木は、近所のガソリンスタンドの東角でみつけた。
木の高さが2メートル近くあって、幹も太い。
沈丁花なのかどうか、やや不安ではある。