前回は、世界大戦が起こる時、膨大な数の国民の無意識下で、
①不安・不満(個人レベル)、
②集団的コンプレックス(集合的無意識)、
③集団的怒り(集合的無意識→意識)という現象が起こっていると考察しました。
これは、第一次世界大戦でも同じです。
①産業革命以降の急速な格差拡大(貧困層の増大)による不安や不満
②コンプレックス→列強間の大競争とナショナリズム(汎ゲルマン主義、汎スラブ主義など)の激突
③民族主義的な怒り
という構図で、各勢力が鬩ぎ合うバルカン半島で③が暴発します。
後ほど考察しますが、現在も同じような現象が見られます。それが、今回のブログ記事を書いている動機です。(結論的には、こーゆー時こそ、『愛』の波動が大切になります。)
その前に少し補足します。
〈補足1 マズローの欲求階層説〉
上述①は「マズローの欲求階層説」で説明可能です。よく知られているので、説明は省略しますが、↓の下に行くほど土台、基盤だというのが重要です。
○自己実現欲求(自分らしさ)
○承認欲求(誰かに承認されたい)
○所属欲求(他人とのつながり)
○安全欲求(身の安全)
○生理的欲求(生命維持)
1929世界恐慌は、世界中の多くの人の「生理的欲求」をぐらつかせる状態に至らしめました。その結果、先ほどの①不安・不満は、非常に強いエネルギーを持ちました。
↑の下方が満たされないほど、①不安・不満のエネルギーは大きいと推察できるでしょう。(貧困国からテロリストがたくさん出るのも同じ理由と考えられます。)
この不安・不満は負の波動を持ったエネルギーです。
膨大な数の人たちが、同じような負の波動を発信することで共鳴現象が起こり、
そのネガな揺れが、②の集団的コンプレックスを浮かび上がらせるのかも知れません。
脱線になりますが、人類の将来を考えた時、
○マズローの「生理的欲求」が損なわれないような社会システムをどう作るか?
は、極めて重要なテーマだろうと思います。
これは、重要なテーマですが、「お金とは何か?」の考察を経ずには論じられないですので、後日ブログ記事にしたいと思います。
〈補足2 正義の反対は悪ではなく、別の正義〉
上記の①、②、③が大戦争の水面下で起こっている現象ですが、水から上では、国家リーダーたちによる「正義の衝突」が起こっています。今のウクライナ戦争を見れば明らかです。
これは、左脳の世界です。それぞれの世界観(論理体系)を背景に正義を捻り出します。
そもそも左脳的な認識は、物事を「対立させて」理解するという特徴があります。善悪などその典型です。
大陸文明は、左脳的ですから、元々「対立」が埋め込まれているようなものです。
東西冷戦、先進国と途上国、南北問題、富裕層と貧困層、国民と国民以外、成人と未成年、男性と女性、東洋と西洋、、、全てそうです。物事を対立的な構図にわざわざ放り込んで、対立的に理解し、対立を助長します。自縄自縛になります。
念のためですが、ロシアを擁護するつもりは、さらさらないです。今を生きる人類の一人として、こうした構造を理解しておいた方がいいと思うだけです。
戦時下の国家リーダーは、「正義」を振りかざします。これは、①不安・不満、②集団的コンプレックス、③集団的怒り、と整合するものが好まれます。これらに、左脳的な言語表現を与えることに躍起になります。
特に③の状態を持続させることで、戦争継続についての国民の支持を取り付けます。
良い悪いではなく、これが戦時下の特徴として理解していただくと嬉しいです。
さて、補足は終了しました。今起こっていることです。
①不安・不満は、コロナ前より増大しています。リモート化や人との飲食の機会が減少することでコミュニケーションが減少し、心の病や自殺まで増えています。
私の周囲でも、少し仲間と飲みに行けば気が楽になるのに、ストレスを溜め込んで、退職まで考えてしまう人が増えているように感じます。
そもそも、「コロナで死ぬかも」という情報がメディアから流され続け、安全の危機を感じていた人も一定数います。
さらに、今後、エネルギー不足や食糧難が進むと、不安・不満のエネルギーが一気に増幅するだろうと思います。
既に、中東や中南米で主食の小麦不足から暴動が起こり始めており、注視が必要です。
②SNSの時代になってから、エコーチェンバー効果(自分と似た考えのSNSを選んで見るため、一定の考えが増幅する現象)が人々の考え方に影響を与えています。
また、SNSは、怒りの感情にアピールすることでバズるとの指摘もあります。悪魔ではない相手を『悪魔化』してしまいます。
この二つが組み合わさることで、言論空間の分断は簡単に起こります。
怒りを含んだ「ナショナリズム」がこの10年でスクスクと育っています。
私もかつては、ネットの保守系論壇を心強く思っていましたが、彼らは最近は少し感情的に走っているように思います。また、彼らは「地球」という視点がありません。
リアリズムから離れて劣化が激しい左翼は論外ですが、ただ彼らが存在する意義はあるでしょう。ナショナリズムからの軍拡まっしぐらというのも、ちょっと怖い未来です。
中国政府には警戒するのは当然ですが、一般の中国人まで悪魔化していないでしょうか。彼らは、中共政府の一番の被害者です。彼らへの思いやりの気持ちは持っていたいです。
『波動』に注目したとき、怒りの暴走はNGであり、極力穏やかな気持ちを維持する工夫が大切だろうと思います。
武力を蓄える目的は、「防非止悪」であり、悪感情であってはならないです。古来の天皇の御戦さも、感情ではなく、悪を止めることに重きが置かれていました。
この点、SNSは「怒り」の方がバズる(金になる)ので、中国への怒りベースの言論空間になりつつあるのは、極めて危険な現象であると思います。
③は、まだですが、上述の通り、すぐに『怒り』を暴発させる準備は、この10年で整ってきたように見えますので要注意です。
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