MY LIFE AS A DOG

ワイングラスの向こうに人生が見える

奇跡

2011年06月26日 23時25分42秒 | 映画

久々の更新。

昨日は、池袋で是枝裕和監督の「奇跡」を鑑賞。

ぎりぎりの時間に映画館に駆け込んだが劇場はかなり混んでおり、結局、最前列から4列目の席に座ることに。

そして、その日はラッキーなことに、上映終了後に是枝監督自身によるティーチ・インが予定されていた。
ティーチインとは、会場から観客に自由に質問してもらい、それに監督が次々に答えてゆくというものだ。


映画「奇跡」は「誰も知らない」で子供たちを撮って世界で高く評価された是枝監督が、再び子供たちにカメラを向けた作品である。

なるほど、雑誌「群像」で「『大人の映画』としての完璧な瞬間がいたるところに息づいている」と書く蓮實重彦の言葉を借りるまでもなく、「奇跡」にはまぎれもなく数々の映画的瞬間が露呈している。

何といっても主演の“まえだまえだ”の二人がじつにいい味を出している。

福岡と鹿児島から別々に出発した九州新幹線の1番列車が、熊本県内で時速260kmですれ違う瞬間、それを見届けた者たちに奇跡が訪れると信じる兄弟、航一と龍之介。
彼らは両親が離婚し、父(オダギリジョー)母(大塚寧々)に別々に引き取られ、今は福岡と鹿児島に離れ離れに住んでいる。
ある日、彼らは、家族がもう一度一緒に暮らせる“奇跡”を起こすために、学校をズル休みし、すれ違う新幹線の1番列車を見るために熊本に向かうのだが・・・。

とにかく、子供たちが疾走している場面が清々しくて非常にいい。

塩田明彦の「どもまでも行こう」のときも感じたが、子どもというのはまるで“走ること”を運命づけられているかのようだ。

子供は整然と列をなしてお行儀よく歩いてはならない。常に、何かに向けて全力疾走しなければならない。

運動場でトンボを追いかける時ももちろん全力疾走でなければならない。

「拳銃は必ず発射されなければならない」と言ったのは確かサミュエル・フラーだったように記憶しているが、その格言とほぼ同じ響きをもって子供たちは“走らなければならない”のである。「奇跡」を見ていてつくづくそう思った。

映画終了後、是枝監督のティーチインでは、子供たちに自然体のまま演技させるための涙ぐましい努力が語られた。
尚、余談だが、新幹線はCGによる合成だったという驚愕の新事実も明かされた。

以上更新おわり。
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Maigretg)
2011-06-29 22:11:34
久しぶりです。
「拳銃は必ず発射されなくてはならない」
「子供たちは(必ず)走らなくてはならない」
いいですね~~名言ですね~~。
いろんな映画の子供たちが脳裏を駆け抜けていきました。
ついでにコブリッチ監督(ジャンゴ)も。

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Maigretさま (kazu-n)
2011-07-01 19:04:45
いつもコメントありがとうございます。

あれ、ジャンゴって子供たち出てきてましたっけ?(記憶がかなりあやふやです。。)

最近はちょっと時間があったので、映画館にちょくちょく足を運んでます。

「マイバックページ」という松山ケンイチと妻夫木聡主演の映画も結構楽しかった。
あと「ブラックスワン」はやはりすごかったですね。

そうそう青山真治監督の「東京公園」も人知れず公開中です。
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Unknown (Juels)
2011-07-01 19:47:31
まぎらわしくてゴメンなさい。
コブリッチは「拳銃は・・・・」の方です。
子供が出せるわけないでしょう(笑)
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Unknown (kazu-n)
2011-07-03 10:11:56
あっ、やっぱり。
そうですよねー。
ジャンゴで子供はないですよねー(笑)
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