goo blog サービス終了のお知らせ 

Mattina

周りの人々に巻き込まれまくりな朝比奈のブログ。時々(頻繁に?)自作小説の話などをしています。

作家と編集者

2009-10-26 21:19:05 | 小説
「せ・ん・せ・い♪」
ひらひらと紙を振りながらにっこりと笑った。
「あーーー」
必死で耳をふさいでそちらを見ないようにする。
「そんな声出しても無駄ですよ」
「あーーー」
「これ」
頭の上から紙を目の前に出された。
ぴたっと声が止む。
「一週間前に出すって言ってたプロットなんですけど」
「………」
「白紙ってなんでしょうね、先生♪」
「………」
「あ、それと…先週、『来週末までに上げます』って言ってたやつ…」
にっこりと微笑まれた。
「明らかに書き上がってませんよね?」
「………」
「先生」
「すみませんすみませんすぐに上げますすみません!」
「今日中に」
ピタッとキーボードを打っていた手が止まって編集者の方を振り返る。
「あ、いや…それはちょっと…」
「あとどれくらいあるんですか?」
「…大体半分…ちょっと」
「やってできないことはありません。がんばってください」
「無理…」
「書き上がるまで見張ってますからぜひ今日中に」
「無理ー!!」
「やればできます」



むしろ朝比奈の日常風景かもしれない…。

安楽死のすゝめ

2009-09-14 20:50:45 | 小説
 安楽死なんてさ、結局人が見てるのが可哀想だからってやってる自己満足なんだよ。ちょっと聞いてる?
「んー?」
 真面目な話してんだから聞けよ。でさ、動物本人がそれを望んでるかってことは人には伝わらないじゃん。ペットの生死は最終的には飼い主が握ってんだよね。で、その飼い主が「もっと生きさせろ」って言えば延命治療を、「生きてるのが可哀想だ」って言えば安楽死を、望んだとおりに行うのが俺たちみたいな獣医の役割なわけよ。こういうことが続くと考えちゃうんだよね。
「…何を」
 生きる意味。
 人の生死は神様が握ってるとか言うけどさ、ペットの生死の半分は人間が握ってんじゃないかって思うわけさ。でも、「あー、もうこんな人生いやだ」って思った人間は簡単に自殺の道をとるだろ。それができないのがペット。いつでも首輪に繋がれて「今日ちょっと遠出したい気分だな」って思ってもすぐ「迷子」扱い。あ、それは子供も一緒か。要は、死は先行する人間が握っている可能性が高い。
「変な理論だな」
 笑ってろ。
 で、ここで死と対になる生について考えるわけよ。生まれるのは神様か、先行する人間の意志だとしても、生き続ける意味って何?自殺するやつらは生きることに絶望して死ぬだろ。だったら俺らはどうして生きてるの?
「生きたいからだろ」
 そんな簡単に答えるなよ。もっと深く考えてくれ。
「面倒なことを…」
 じゃあ三択でいこう。ちゃんと答えろよ。お前個人の考えでいいからさ。
 1、生きてると希望があるから。2、死ぬのがめんどくさいから。3、誰かのために生きてるから。
「答えは4、生きろと命令されたから」
 命令したの誰だよ。ていうか何その答え。
「生きてる意味なんて人それぞれだろ。お前が恋人のために生きてるのと一緒で」
 残念だけど今フリーです。
「そうかい」
 鞄持ってどこ行く気だよ。
「自宅で開業してる獣医のお前と違って仕事の時は動かなきゃいけないんだよ」
 日曜に仕事か?
「仕事っていうより野暮用だな。生きろって命令した上司のところへね」
 そう。命令やぶって死にたくなったら俺のとこ来てね。安楽死させてあげるから。
「……お前、それ多分犯罪だぞ」





わりと重めのネタなのに最後2行で空気を破壊しちゃったところが俺だよね…。

恋文

2009-06-20 23:39:14 | 小説
涼やかな風が開け放った窓から流れてくる。行き交う人もおらず、外はしんと静まり返っている。
目の前に桜の花をあしらった便箋を置いて、知らず知らずため息ばかりついている。
書きたいことは沢山ある。
でもこの手紙を出すことすら躊躇われる。
きっと沢山の手紙に混じって目に止まることすらないのだろうから。


『拝啓
桜の頃にはまだ幾分早いようですが、貴方に初めて出会った時を思い出しこの便箋に文をしたためようと思います。
お元気ですかと礼儀で聞くべきなのでしょうが、毎日お顔を拝見しておりますので、礼儀に沿ってそう書くのはやめておきましょう。
貴方に一つだけ言いたいことがありましたので、文を差し上げます。本来なら面と向かって言いたいのですが、今のわたくしにはそれが叶いませんので、書状にてお許し下さい。
毎日お顔を見ているというところにもしかしたら疑問をお持ちかもしれませんね。わたくしが今いる場所からは貴方のお勤め先がよく見えるのです。ご出勤する貴方の様子は窓から眺めていればわかります。
けれど決して誤解しないで下さいませ。貴方のお勤め先が見えると知ってここにいるのではあまりません。わたくしには他に行く場所などなかったのです。
ご多忙な貴方のことですからこの手紙も届いてすぐには読んで下さらないでしょうね。もしかしたら読まずに捨ててしまうかもしれません。それでもわたくしは決して貴方を恨みません。わたくしが貴方にこのような文を差し上げること自体が恐れ多いことなのですから。
貴方はわたくしのことなど覚えていらっしゃらないでしょう。この手紙を受け取った時には見知らぬ者からの手紙と思われたでしょう。
でもわたくしはあの桜の花びらが舞う日に出会った貴方のことが忘れられません。
お慕い申し上げております。
来たことのない街で道に迷い、途方にくれていたわたくしを訪ねようとしていた知人の家まで送って下さった貴方をわたくしは忘れることなどできません。
貴方にとっては小さな何気ない親切だったのかもしれませんが、わたくしにとっては貴方を慕うきっかけになった出来事です。
貴方をお慕い申し上げております。
このような手紙で妻子ある貴方を困らせることは致しません。
わたくしはこの手紙が貴方の元に届くまでには命が尽きています。この壁も天井も真っ白い病院という空間で消えた命など気になさらないで下さい。
返事など受け取れる身ではありません。
ただ今生の最期の別れを貴方に申し上げたかったのです。
かしこ』


女の手からペンが落ちて、静かに床を転がった。







~あとがき~
主人公殺しと呼ばないで。
必殺技は主人公殺しですけど!
なんか途中ストーカーかって状態になりましたね。
「恋患いを書いてくれ」というリクエストに多分沿えたのでは…。
普通にサイトに載せるにも短い気がするので、リクエストには珍しいけどブログにて。
結局最終手段は主人公殺しですかね。
そういえばこれ、一応スランプのリハビリかねてるので。

墜落

2009-02-25 15:06:15 | 小説
僕を捕まえて、身動きを封じて、背中から抱きしめて、
声が聞こえるんだ。
熱い吐息が耳にかかって動けなくなる。
目を見開いたまま指一本動かせない。
後ろにあいつがいるのが分かっていても振り向くことさえできない。
あいつの顔も見られない。
僕が動けなくなってから、耳元でゆっくりと聞こえたのはあいつの声。
甘さと厳しさを含んだあいつの声が頭で繰り返し聞こえる―――。


「堕ちろ」

「意識を手放して、理性を切り捨てて、堕ちてしまえ」

「無駄な感情を残しておく必要はないだろう?」

「不必要なプライドなんか捨てて、俺のところまで堕ちてこい」


抗いがたい、いや抗えるはずのない声が耳元でいつまでも響いている。
目を瞑ることもできずに感情のない涙だけが流れた。
分かってるんだ。
すぐにあいつのいう通りになる。
あいつは僕だから―――。

年賀を差し上げます。

2009-01-01 17:00:00 | 小説
一同「明けましておめでとうございます」
大佐「今年もよろしくお願いします。ところで今年は丑年ですが、牛といえば何を思い出しますか?まず上田」
上田「やっぱり牛っすよね。煮ても焼いても旨いし」
中尉「肉の話をしてるわけじゃありません。少尉は何を思い出しますか?」
少尉「そういえば屋敷の敷地内に牛がいたな」
上田「さすが規模が違いますね、ブルジョワは」
少尉「市ノ瀬、お前は?」
軍曹「…闘牛」
大佐「あー、似合いそうですね、軍曹に」
中尉「大佐、てきとうな発言は慎んでください。それと聞いてばかりいないで答えたらどうですか」
大佐「ハイジとか…」
少尉「ハイジに牛は出てきてないと思いますよ」
大佐「…じゃあ中尉は何を思い出しますか?」
中尉「私ですか?そうですね…牛追い祭りとか」
大佐「がんばって出場してください…」
中尉「私が出るはずないでしょう。そういう役回りは上田です」
上田「いやっすよ!!それ毎年何人か重傷者出してるじゃないですか!!」
軍曹「怪我したら軍医殿に頼んでは…」
大佐「その名前呼ぶな!!来ちゃうから!!」
少尉「それなら市ノ瀬が出たらどうだ?」
軍曹「少尉殿が出ろとおっしゃるのならば」
軍医「あら、皆さんここにいらしたんですか?」
大佐「ぐ、軍医…!!」
軍医「丁度良かった。たった今『牛の気分が味わえるお餅』というものを開発いたしましたの。いかがです?」
大佐「新年早々実験台はちょ…」

今年も犀雅国をよろしくお願いします(笑)

2009年元旦




という内容の年賀状を柳瀬川とかに送りつけました。
けれどサイトに載せないのもどうかと思うので文章だけを公開します。
ええ、ホントこんな俺ですが今年もよろしくお願いします。

thirst

2008-12-07 22:25:43 | 小説
雨が激しく窓を叩く音で目を開けた。
別に眠っていたわけではないけれど。
台風でも来ているのかと疑うほど、天気が悪い。
開けた目が乾いてまた目を閉じたくなる。
「……あ…」
試しに出してみた声もかれて痛々しい。
もう3日は水を口にしていない。
というより3日はここから動いていない。
ベッドに仰向けに寝かされて、見える物は天井と陽のささない窓。
3日もこの状態では飽きもする。
動きたくても動けないが。
「…忌々しい」
鎖がジャラジャラと音を立てる。
両の手はベッドの足からつながっている鎖で縛られていた。
いつもならこんなことにはならないのに。
ここにつながれる前に見た彼女の表情が忘れられない。
時を追うごとに彼女が鮮やかに蘇る。
彼女が人質でなかったらこんなことにはなっていなかった。
彼女に銃口が向けられなければこんな失態は犯さなかった。
「見ていろ…」
彼女に銃口を向けたことを後悔させてやる。
鎖の音と窓を叩く雨が奇妙な音楽を奏でていた。





声がかれているんです。
完全に風邪でももらってきたようです。
そんなことを考えながら書いた小説。

さっそく

2008-11-27 21:35:15 | 小説
血の匂いが漂っている。いや、漂っているなんてもんじゃない。血臭で他の匂いがかき消されている。
一歩暗闇に足を踏み出すと、闇の中で動く者があった。
「何かご用で?」
ポッとマッチ棒程度の灯りが点る。
青白い顔が映し出された。常闇に引きずり込まれそうな瞳がこちらをじっと見ている。頬や唇などに黒っぽい物が点々と付いていた。
「出来ればここまで入ってきていただきたくなかったんですがねぇ」




グロい小説代表で「悪魔のマザーグース」を。
これ以上は書いたらブログなのに15禁とかかけたくなっちゃうから中途半端ですけど。
グロい小説書きたいなぁと思ってたら悪魔のマザーグースの二作目が浮かんだんですよ。
でもまた詩?も作るべきでしょうかねぇ。
書きたいけど、前回みたいな現象はおこしたくないねぇ。
日のめを見ることがあればそのうちに…。

本編には出てこない「天地無常」

2008-11-22 18:28:00 | 小説
なぜか俺の部屋の扉を開けたら、湖萃(こすい)がベットに座って俺が読みかけで置いておいた本を読んでいた。
それはいい。
いや、よくないけど今はいい。
俺が挟んでおいたしおりも動かしているようだけど、今はおいておく。
「なんでいる…」
おれが扉を開けたままの体勢で聞くと、湖萃が本から眼を上げた。
「お帰り空羅」
「ただいま…じゃなくて、なんでいるんだお前は」
「何故と聞かれても答えられないな」
「いやいや、答えろよ。俺の部屋になんでお前が居るのか聞いてるんだから答えろよ」
しおりを開いていたページまで動かしてパタンと閉じる。
そのしおり俺の…。
「おすそ分けを持って来たら、そのまま琳奄(りんえん)さんが入れてくれた。せっかく来たなら息子が帰ってくるまで待っててと言われて」
「……母さん…」
壁に手をついてガックリと肩を落す。
湖萃はおもしろそうにその様子を眺めていた。
「まあ座れ」
パタパタと自分の隣を叩く。もちろん俺のベットだ。
「いや、それ俺のだし…。むしろ立場逆じゃねぇ?」
「気にするな」
「気にしろ」
文句を言いながらも仕方なく湖萃の隣に座った。湖萃に口で勝てるはずがない。
「で、なんか用あってきたんじゃないの?いくらなんでも、意味もなくお前が待ってるとは思えない」
「ここで待ってれば空羅の困り顔が拝めるって意味があるじゃないか」
「……お前最悪だな」
「冗談はこれぐらいにしておいて」
湖萃が俺の方に向き直った。
今までのは冗談だったのか。
でも眼が笑ったままなので判別はつかない。
「ちょっとおもしろい話を耳にした」
湖萃が言うところの“おもしろい話”は今まで俺にとっておもしろかったことはないが、続きを促した。
「耳を貸せ」
耳を湖萃のほうに向けると片手で覆いを作って、たとえ他の人が部屋の中にいたとしても聞こえない声で話を聞かされる。
話を聞き終わった後、口を笑みの形に曲げて、俺は一言呟いた。
「おもしろい…」
どうなるのか見物だと口に出さずに思っていると、笑みを浮かべた湖萃と眼が合った。
「そういえば、しおり元の位置に戻せ」
「無理だ」





これより先は本編の内容に響きますので、この辺で。
「獣行のアリア」の本編に載らない部分を短編で載せているのに、
「天地無常」をまったく出さないのはどうかと思って書いた次第です。
だって「獣行のアリア」より構想はじめたの早いし。
ちなみに本編の主人公は空羅でも湖萃でも、ましてや琳奄でもありません。
でも「護法之書」と同じ予感をひしひしと感じます。
主人公が駆逐されるんじゃないかという予感を。
それと、一応言っておかないと、いやむしろ言っておかないと誰も気がつかないので言いますが、
湖萃は女です。
女性らしさのかけらもありませんが、湖萃は女性です。
なんで後書き(注意書き)がこんなに長くなるんだ…。

Schneewittchen―白雪姫―

2008-09-19 20:13:52 | 小説
昔書いたけど、落ちが弱かったのでボツにした作品の一部分のみをさらしてみることにした。
ちなみに何故かタイトルはドイツ語。





Schneewittchen―白雪姫―

 Toy Boxのキャラたちによる白雪姫をどうぞお楽しみください。
※キャラは全て男です。

   TAKE1
「鏡よ、鏡よ、鏡さん。世界で一番美しいのは誰ですか?」
 宰相、継母が鏡の前で大きく手を振るが、丁寧語なのであまり継母っぽさが出ていない。
「それは白雪姫です」
 衛兵、鏡がしゃべり出す。
「なんですって!?この私を差し置いて!!」
「宰相…なぜその役を?」
「一度は悪役をやってみたかったんです。猟師はどこにいますか!?」
 継母が猟師を呼ぶ。神官がいつもの長衣ではなく猟師の格好をしていた。
「お呼びですか?」
「白雪姫を森まで連れて行って殺してきてください」
「それ、森まで行く必要ありますか?」
「…一応、誰にも見つからないところに行ったほうがいいんではないでしょうかね?」
「そうですか」
 猟師が銃を背負って出て行った。
「大丈夫ですかね?」
「不安ですね」

 猟師は白雪姫役の王様を連れて森に来ていた。
「じゃあ、すいません。死んでください」
「ちょ、ちょっと待て!!一言もしゃべらないうちに殺す気か!?というか、白雪姫を森に置いていく所だぞ!!可哀相だからって」
 フリフリのドレスを着た王様が焦って言う。
「充分しゃべったでしょう。それに可哀相じゃありませんよ」
 パンッ!!偽物の銃を撃つ。血のりがべったりと白雪姫の額についた。神官、猟師が舌打ちする。
「神官…勝手に話を完結させないでください」
「そうだ!!それにまだ僕が出てきてない!!」
 王子様役の王子が主張した。役名と名前が一緒という不思議さ。
「次いくか。役柄チェンジで」



続く…


たしか自分でもどうなのかと思ってはるさんにしか見せてない。
ぶっちゃけてしまうとTAKE1とTAKE2の落ちが強すぎてTAKE3で落ちなかったんですけどね。
続きが読みたいという要望があれば何処かに載せるかもしれません。
あればですけど。

もしも慧喜が…

2008-07-16 00:03:58 | 小説
「慧喜ー」
慧光の呼びかけに慧喜は読んでいた本から目をはなす。
慧光はいかにも暇そうに椅子の背もたれを前にして座っていた。
「なんで眼鏡なんかかけてるんだよ」
「…飾りだ」
慧喜は本来かなり目がいい。
というか八大童子は皆目がいい。
今回慧喜が眼鏡をかけているのは知的さの象徴と作者の趣味(笑)
「前から思ってたんだけどさ」
慧光があごを椅子の背もたれに乗せて、迷惑そうにしている慧喜にさらに話しかける。
「慧喜はいつ鍛えてんの?」
「は?」
「ほら指徳は毎日筋トレから始まって、ジョギングとか色々やってるから、慧喜はいつそういうことしてるのかなぁって」
「…あれはやつが異常なんだ。制多迦を思い出せ」
「えー。制多迦は指徳から逃げるのにいつも全力だよ?」
「………」
面倒くさいと言いたげな顔をして、慧喜が本に視線を戻した。
慧光がそれを覗き込もうと首を伸ばしている。
慧喜があからさまに舌打ちした。
「慧光も毎日鍛えてないだろうが」
「俺は格闘専門じゃないから」
「術のことだ」
「術は体力の消費が半端じゃないから。ところでさっきから何読んでんの?」
慧喜が無言で本の表紙を慧光に見せた。
そこには『ムカつく相手を瞬殺する身体の鍛え方』と書いてある。
ムキムキな男性がニヤリと白い歯を見せている絵がついている。
「………」
慧光が黙った。
静かになったので慧喜は湯呑みを片手にまた本を読み始める。
「…何飲んでんの?」
「プロテイン」
「………」








以上、慧喜が実は女性ボディビルダー並にムキムキになったら嫌だのコーナーでした。
はると話していた時のことを思いだして書いてみました。
指徳はボディビルダー並にマッチョでも許せる…っていうか多分マッチョなんですが、
制多迦と慧喜があまりに筋肉質すぎると嫌ということで。
うん。
でも実は慧喜が影で鍛えていたらという話に…。
プロテインとか実は湯呑みがダンベル並とか色々な憶測が飛び交って面白かったんですよ。
でも『ムカつく相手を瞬殺する方法』ってタイトルの本なら読んでそうだ…。
頑張れ慧光…。
ちなみに本の話になる前までは実際にキャラ設定に存在する話。

止まぬ雨

2008-06-09 18:05:20 | 小説
その館は暗き雲を背に負い、白き光の瞬きとなす。
蔓が覆いしその身をば、見るもの全ての畏怖をかき立てる。


はい、すいません。
自分でも何書いてるか分からなくなってきた。
日本語ですけど、いつも書いてるのと文体を変えすぎて…。
分かりやすい文体に直して再チャレンジで。



その館は黒い雲を背負い、雷を僅かな光の輝石に変えている。
蔦に覆われたその外観は、見る人全てに深遠の恐怖を埋め込んでいく。
烏が飛び交い、不気味な物音が辺りを埋め尽くす。
館の主人の姿を見た者は死を予告されるとまで言われていた。
それでも旅人はどうしてもこの館に入らざるおえなかった。
他に人家らしき物はなく、一晩の雨をやり過ごすような場所さえないのだ。
雨に雷、風まで出て来ては、まともに道をあることさえ不可能だ。
旅人は恐る恐る館の扉を叩いた。
これで誰も出てこなければ、諦めて次に人家に行き当たるまで歩き続けるのだろうが、旅人の心とは裏腹に扉がゆっくりと開いて館の中へと誘う。
どうして扉がひとりでに開いたのかということさえ考え付かないほど、館の中は暗く静まり返っていて旅人の不安を大きくさせた。
「久しぶりのお客様ね」
耳朶を打つ声が聞こえた。
旅人が慌てて振り返ると、赤い衣を身に纏った女が燭台を持って現れた。
その衣と相反するように蒼白の顔が蝋燭の炎に照らされる。
旅人はその女を見て息を呑んだ。
これほど美しい女を彼は今まで見たことがなかった。
「雨が止むまで、雨宿りをさせていただきたいのですが…」
「どうぞ。ゆっくりなさっていって。久しぶりのお客様ですもの。歓迎いたしますわ」
この館の女主人はやさしく微笑んだ。
こんなに美しい女が主人だと知って心の底から旅人は喜んでいたが、彼は知らなかった。
この館の周りの雨が止まないことを。
何も知らずに女主人に心を奪われた旅人で生きてこの館を出た者がいないことを。





ちゃんとした文体になってますか?
めずらしくホラーテイストな物を書いてみました。

2008-02-27 00:24:05 | 小説
「後、何人が気づくだろう…?」
鏡の中の自分に向かって何気なく問いかけた。
もちろん鏡から答えが返ってくるわけがない。
これはおとぎ話や幻想ではなく、現実なんだ。
そう思うと自然に笑いが込み上げてきた。
鏡の自分も現実の自分と同じように笑っている。
鏡の中の自分が答えを知っているのなら現実の自分も知っているはずだ。
多分、この先誰も気づかないだろう。
今までもこれからも気づいたのは『彼女』だけだ。
周りの盲目な連中は自分のことだけで手一杯で、俺の異変に気づく者はいない。
それでいい。
誰もが俺が死んだ時に口先ばかりの悔やみの言葉を言ってわざとらしく悲しそうな顔をするのだ。
そしてきっと最後に付け加えるだろう。
「あんなに元気だったのに」と。
俺はあの世からその光景を見て嘲笑するんだ。
「お前らが気づかなかっただけだろう」と。
彼女だけはきっと誰とも違う顔をして違う言葉を口にする。
「やっぱりね」
それでいい。
彼女の他に誰も気づかないで、彼女だけが『特別』であればいい。
残り少ないこの人生の最後の願いはこれだけだ。
『病気』は確実に俺を蝕んでいく。
最後に残るのは一体なんなのだろうか。














先の短い男の話でした。
なんで俺が書く小説は主人公=男な率が高いのだろうか。
三人称書き苦手だから一人称書き増やしていこうかなぁ。

2008-01-29 22:05:39 | 小説
「私はいいの。だから…行って」
少女が放った言葉は絶望の色を秘めて僕の心に届いた。
少女が普段と変わらない目を向けて微笑んだ。
「大丈夫よ。後からちゃんと追うから」
「後って…後っていつだよ!!」
僕のみっともない叫び声が広く寂れた部屋の壁で反射する。
少女の顔に困ったような、悲しそうな表情が僅かに現れる。
彼女が口を開いたが、言葉をつむぐ前に外から轟音が響いた。
まるで雷が落ちたかのような轟音が。
「来る!!」
僕のほうに向けていた顔を扉のほうへ向けた。
ドアノブが回る。
しかし扉はいっこうに開かない。
鍵がかかっていることに気づいたのか、外のやつらが力任せに扉に体当たりし始めた。
扉が今にも破れそうな音を立て始めた。
少女が僕をかばうように前に出て扉を睨みつけている。
「早く。行って」
僕は彼女の腕をつかんでこちらを向かせ、緊張をはらんだ目を見てはっきりと言った。
「それなら…君も一緒の来るんだ」
「ダメよ」
「それなら僕も残る」
少女の顔に苛立ちの色が現れる。
「行きなさい!!」
「いやだ!!」
彼女も僕も一歩も引かずににらみ合う。
これだけは僕から引く事は出来なかった。
彼女はここで死ぬつもりなのだと分かったから。
お互いを思うあまり、僕らはどちらも引かずににらみ合っていた。
そして、無情にも扉はけたたましい音を立てて破れた。
飛び散る扉の破片をものともせず、黒装束の男たちが入ってくる。
少女は僕の腕を引いて、窓際に寄った。
闇から生まれたような男たちが一歩ずつこちらに近づいてくる。
彼らは僕らから3メートルぐらい距離を置いて立ち止まった。
「主がお前を消して来いと言った。大人しくあの世に行くことだ」
そう言ったリーダーらしき男の目は少女をとらえていた。
彼女は常からは考えられないぐらい不敵に笑ってみせた。
「その主は私の連れについても何か言っていた?」
「連れがいるようなら、それも消せと」
「そう…じゃあ」
彼女が僕の肩をつかんだ。
目には見えない力によって体が浮き上がり、窓の外へ投げ出される。
彼女の力だ。
僕は下へ下へと落ちて行った。
地面にぶつかる前にさっきと同じ力によってゆっくりと地面に足をつける。
少女のいる窓を見上げると、彼女が手振りで逃げろと言っている。
足手まといになってしまったと気づいて、僕は逃げた。


「これで連れは見逃してもらえないかしら?」
「追え」
男が手下に短く命令した。
「そうはさせないわよ」
彼女が指を鳴らした。
大破した扉の破片が集まり、もとの様に人の出入りを妨げる。
手下がドアノブを捻っても、扉に体当たりしても、扉は開こうとはしない。
「何をした?」
「元通りに直して少し強化しただけよ。彼を追うのはあきらめて」
彼女がころころと笑った。
男たちがいっせいに剣を抜いた。
人を切ったことのある刃が鈍く輝く。
「それでいいのよ」
彼女が手で何かを握るようなしぐさをした。
煌めきを放って少女に不釣合いなほど長い剣がその手に具現化する。
「抵抗しない方が楽に行かせてやれるぞ」
男が吐き捨てた。
「その言葉、そのままあなたたちに返すわ」
彼女の頭を狙って剣を振り下ろす。
剣と剣がぶつかり独特の高い音が響いた。
「五分で終わらせましょう」
剣を弾き飛ばしながら、彼女が薄く笑った。





















えー…思いつきでしか書いてません。
続きはありません。
すいません。
やっぱりバトルは大好きです。
少女…少女なんですか本当に。
maybe魔法物です。
少女はきっと魔女なのですね。
というか、途中まで書いててこのまま恋愛物とか走ったらどうしようか考えてしまいました。
方向的には悲恋物になりそうですよねそれだと。
正直言えば…バトル物に飢えているのです。
I love 暁!!
I love 制多迦!!
少女の最後の言葉が護法之書のセイを彷彿させるんですが。
五分で終わらせる宣言…確か第三話ぐらいで言ってたなぁ…。
バトル代表はやっぱり護法之書なんですかね。
犀雅国もバトルはあるんですが…
笑いに走った系統か…
斉刻の孤狼…
もうちょっとまともなら彼もお気に入りにランクインするんでしょうが、書いてて…
「お前あんまりやりすぎると掲載禁止になっちゃうから!!
お前のバトルはどうしてそうも残酷なんだ!!
むしろお前が悪役っぽいんだよ!!
犀雅国はコメディなんだよ!!」
などなど、ツッコミ入れ放題?な人なんで…
ついでに予告しておきましょう。
3月から始まる斉刻編では斉刻の孤狼はあまり出さない予定です。
あくまで予定。
俺がバトルに飢えたりしない限り…。

Pray

2007-12-03 18:56:16 | 小説
ミサが行われることのない小さくみすぼらしい教会の中に彼女はいた。
黒い修道女の格好で十字架に向かい、膝をつけて手を組んでいる。
教会の中には彼女の他に誰もいない。
聞こえるのは外で吹き荒れる風の音のみ。
重々しい沈黙が彼女を覆っていた。
ずっと前から警告は受けていた。
覚悟も出来ていた。
それでも彼女の頬には涙が流れていく。
「戻って来い」
恐ろしい声が毎日のように彼女を呼んだ。
戻ってはいけないと頭で分かっていても甘く魅力ある言葉が彼女の心を揺さぶる。
「戻って来い」
そういわれるたびに彼女ははっきりと答えた。
「いいえ」
答えてすぐに彼女は毎日泣いた。
過去の過ちを、前の人生の過ちを償うために彼女はここにいるのだ。
「戻ってくればそなたの望むものを」
「そなたが戻ってきてくれれば他に何もいらない」
何を言われても彼女は首を横に振った。
何も言わずに。
口を開けばいつか「はい」と答えてしまいそうだったから。
これが彼女が出した答えの悲しき結末だとしても。
「神よ…。私の願いを今一度かなえていただけるのならば
どうか私を殺してください。
悲しき運命をまねいてしまうこの心を
どうか誰も触れられない深い闇のそこに葬ってください」
彼女が祈りをささげるその場に童子が転がり込んできた。
息を切らせて童子が彼女の服の裾をつかむ。
「主様!!どうかお逃げください!!人々が暴徒と化してここに…!!」
「分かっています」
彼女は童子とともに扉を出てから振り返り古ぼけた教会を、十字架を見上げた。
「願わくは誰も傷つかないことを」

閉ざされた雪の世界

2007-10-10 20:53:22 | 小説
 目の前に見えたものはただ不確かすぎて、それに頼るにはとても心許なかった。目の前に見えた手を、ただ無意識のうちに少女はつかんで見上げる。
「だぁれ?」
 少女が手をつかんだのを確認すると男は何も言わずに少女を抱えあげる。そのまま真っ白な雪の世界へと足を踏み出した。
「どこにいくの?」
「まだ分からない」
 男は少女を抱いて歩き出してから、少女が靴すら履いていないことに気がついた。ポケットからハンカチを出すと、二つに裂き、足を包み込むようにして巻いてやる。
「でもね、ママが知らない人について行っちゃダメだって言ってたの」
「知らない人ではないよ。もう知り合ったじゃないか。知り合って、友達になったんだ。知らない人じゃないだろう?ママは友達について行っちゃいけないといっていたかい?」
 少女が首を振る。ごく薄い色をした髪と睫からわずかな雪が滑り落ちた。
「でもね、友達とどこかに行くときはママに言ってから行きなさいって。何も言わないとママが心配しちゃうよ」
「そうか。じゃあ、ママにさよならしに行こうな」
「うん」
 少女が無邪気にうなずいた。男は風が当たりすっかり冷えてしまっている少女の頬に触れる。少女は頬に触れた男の手をつかんで、春の日差しのように笑った。
「おじちゃんの手は暖かいね」
「…そうか」
 男は少女を優しくなでた。雪が舞い落ちていく。
「ほら、ママだぞ」
 男がしゃがんで少女をおろした。少女が凍傷になりかかり、男のハンカチが巻かれた足でよろよろと前に進んだ。目の前には確かに女性が壁に寄りかかるようにして座っていた。
「ママ?ママ?寝てるの?」
 少女が後ろを向いて男に確認する。男はしゃがみこんで少女と目線を合わせた。
「そうだ。ママは寝てるんだ。ずっと寝続けるんだよ」
「ずっと?」
「そう。ずっと」
「どれくらい?」
「それは分からないな。でもママを起こしちゃ悪いからもう行こうな」
「うん。ママ、行ってくるね」
 男が再び少女を抱き上げて、少し考えてから少女のママだったものの隣に落ちているストールを拾い上げて少女の体に巻いてやる。
「これママのだよ?」
「でももうママには必要ないからこれはお前のだよ」
「そっか」
 少女を抱えて男が歩いていく。少女は何も知らずに男の腕の中でうつらうつらと眠りの世界に引き込まれていく。
 男は最後に一度だけ後ろを振り返った。人々が血を流し、降り積もった雪を赤く染めている通りを。動くもののいなくなった故郷を。血と脂に汚れた剣を持って。












どうも朝比奈です。
突然暗い物語を載せてすいません。
ちょっと気分的に。
舞台が雪の通りなのはさっきまで読んでいた小説の影響です。
それにしても…
人攫いですよね。
設定では少女3歳、男20代後半。
完全に犯罪ですね。
故郷で惨殺事件をおこしてるし。
最後に一言言わせて貰うとすれば
幼い子供をだましちゃいけません。
しかも親を殺したような人についていっちゃいけません。
このまま話を進めたらきっとありとあらゆるところで事件が…。