チエゾウの知恵袋

mixiの日記の方へ移行しました。
(2010.4.5)

風が強く吹いている

2006-11-25 18:58:20 | 読書メモ
10人の姿をいつまでも瞳に焼き付けておきたいと思いました。
今週の月曜日に読み終えたはずなのに、印象的なフレーズが
ふっと蘇り、思わず涙がこぼれそうになります。
もちろん、評価はです。
風が強く吹いている

新潮社

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好きな本ブログの中の一つ、待ち合わせは本屋さんでを開設する
naruさんのオススメで読みました。
naruさんすごい!!見事にはまってしまいました。
私以上に本の虫な同居人も

「今年読んだの中で一番面白い」

と、知り合いの方に貸し出しているほどです。

本のテーマは、お正月の風物詩である箱根駅伝。
老朽化がすすみ、今にも潰れそうな寮に住むマラソン経験素人の
大学生10人が(このうち2人は高校時代のアスリート)
箱根の山を目指すという物語です。
私たちが箱根駅伝を見ていて感じること、
例えば、

「黒人の留学生は身体能力が高いから、いい記録を出すに違いない」

とか

「当日、体調が悪くなったらどうするのだろう。
体調が悪くても押し通す選手がいるけど、何のため?」

の答えが、個性的な10人にそれぞれ与えられています。
賑やかで、さわやかで、粘り強く、情に厚い10人の様子は
とても生き生きとしていて、まるで実況中継を見ているような
錯覚に陥りました。
今期限りで引退した新庄選手がよく言っていたように
スポーツを「楽しむ」ことができることは最高なことなのかもしれません。
勝ち負けの概念を超えた先に、「楽しむ」が待っているのですから。
そんなことを改めて感じたのも、この一冊です。

それにしても、ジョージとジョータの2人はとても美男子ということですが
どうしてもザ・たっちを思い浮かべずにはいられなかったのは
私だけでしょうか。。。



実家に電話するスパンが長いと、母ちゃんが排水溝に・・・

2006-11-11 21:58:44 | 読書メモ
突然ですが、夢は本当に奥深いと思います。

週に1回は実家にします。
しかし、どうしても仕事が忙しかったりすると
なかなか電話をする気力がないこともしばしば。
そうやって、実家に電話するスパンが長いと決まって見る夢が。
なんと、母が排水溝に流されてしまう夢を見るのです
ホント、びっくりです。

やはり深層心理の表れなのでしょう。
夢占いで調べると、どんぴしゃり、やはり母が私の身を
案じているという内容の結果が出ます。
でも、もっと母には素敵な登場の仕方をして欲しいものです。
排水溝に流されてしまうなんて・・・。

そんな私にはもう一人、夢に出てきてくれる人がいます。
3才から中学生までお世話になったピアノの先生です。
もう、先生はこの世にいません。私が中学3年生の時に亡くなりました。
生まれて初めて体験した身近な人の死でした。
葬儀には参列しましたが、顔を見ていません。
死んでしまったことを認めたくなかったからです。
たくさんの思い出がありますが、長くなるので語るのは控えます。
ただ、一言で表現するなら家族の次に私の成長を影で
見守っていてくれた人です。

その先生は、私が人生の岐路に立たされた時に出てきてくれます。
たとえば、学生の頃、就職活動で疲れていた時のこと。

夢は、ピアノがコンサート前なのに弾けなくて
他の生徒さんに笑われるシチュエーションだったのですが、
先生は一言、

「あなたが、大丈夫なのは私が知っているから」

と、言ってくれました。
亡くなってしまっても、人はこうやって他の人の心の中で
生きることができるんだな~と感動した出来事でした。

そんな経験があるので、今日の一冊は信じたくなるオハナシでした。
転生

幻冬舎

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出版社/著者からの内容紹介
自分に移植された心臓は、ドナーの記憶を持っているのか?
移植手術を受けた大学生の和泉がタブーであるドナーの家族との接触を図った時、
恐るべき近代医学の闇に直面する―。


上の紹介に‘恐るべき’と書かれていますが、ちょいミステリーな
カンジでおどろおどろしくはないです。
爽やかな終わり方ですし、大学4年間を過ごした小田急沿線の街
(千歳船橋、登戸)などが登場して、情景を思い浮かべやすかったです。
そのためなのか、初めての貫井作品でしたが面白く読めました。

ただ、残念だったのが、キーパーソンが主人公の和泉君に肉薄されて、
臓器移植のカラクリをあっさり認めすぎたような印象を受けるところです。
もう少し、ゾクゾクさせてくれても良かったかも。
ということで、です。

優しい音楽

2006-11-08 23:43:22 | 読書メモ
ファンタジーなんだけど、どこかちょっと「現実に起きたらいいな」と
思わせてくれるような作品でした。
この頃、登場頻度の高い瀬尾さんの作品です。

優しい音楽

双葉社

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内容(「BOOK」データベースより)受けとめきれない現実。止まってしまった時間―。だけど少しだけ、がんばればいい。
きっとまた、スタートできる。家族、恋人たちの温かなつながりが心にまっすぐ届いて、じんとしみわたる。
軽やかな希望に満ちた3編を収録。


第一話のタイトル作「優しい音楽」は、
特に胸に留めておきたい作品でした。
ぜひ読んでみてください
軽やかで、さわやかな文体なので、どんな人でもすんなり
くるんじゃないかなと思います。

上の〔内容〕の言葉から拝借すると、一話は‘受けとめきれない’お話です。
ある現実を‘受け止めきれない’でいる主人公が、
一人の男性と会い・・・・というハナシ。
このハナシのキーワードは、辞書とフルートでしょう。
男性が主人公に辞書を贈るシーンで、展開が分かってしまうのですが
興ざめることはありませんでした。それは、短編の小説には珍しく
主人公と、男性のそれぞれの視点から、お互いの想いが述べられていて
感情移入をしやすいからかもしれません。
そのため、むしろ「頑張れ」と応援したくなります。

そしてフルート。
これは、主人公の家族のココロの中に男性の居場所が
確保された瞬間だったように思います。
現状を超えるには相手を想うキモチと、勇気のある一歩を踏み超えることが
大切なんだということに改めて気付きました。

他の2編、「タイムラグ」と「がらくた効果」もいいお話です。
ちょっと現実離れしているので、「えー」と思うところもありますが、
心がポカポカなります。



しょっぱいドライブ

2006-11-01 21:32:25 | 読書メモ

しょっぱいドライブ

文藝春秋

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う~~~ん。これ駄目です。
ファンの人には申し訳ないですが、久しぶりの駄作に
遭ってしまいました。。。
本当にファンの人、ごめんなさいね。
これから先は毒を吐くので、覚悟してください。

何年か前の芥川賞ですよね?これ。
職場の本ジャンキーな先輩が、
私が「嫌われ松子の一生」のテーマソングに使われた
ボニーピンクの「LOVE IS BABLLE」をカラオケで熱唱してたら

「最近の小説も歌もポップになりすぎている」

と嘆いていたことが思い出されます。
ポップすぎるのです。場面設定が、登場人物の感情がすべて。

特にタイトル作の「しょっぱいドライブ」に言及すると、
30代のお嬢さんが60代のじいさんと
ちょめちょめしちゃう話です。
でも主人公は、これでいいやと思う気持ちと、やっぱりいやだと
思う気持ちで揺れ動くのです。ほんとに気だるく、ゆるーいカンジで。
浅田次郎とか、臭いほどに義理人情が濃い小説が好きなので
根本的に駄目なんだと思います。
タイトルの勢いに、内容が負けちゃってて残念です
もう一冊、大道さんの『傷口にウォッカ』を借りたのですが
どうなんでしょ??なんか、読み進める勇気がありません。