Fin-blog

フィンランドという国のライフスタイルや文化について心に思うことを記していくためのブログです。

ただいま。

2008-02-13 | Weblog

フィンランドから日本にただいま。

ではなくて、

秘境から人間界にただいま。

です。



フィンランドから帰国して早や、一ケ月と半。
気がつけば、例年通り、京都沓掛町の大学にこもり、
衣食住の生活を忘れて制作をする私がいました。
修了制作に向けての準備です。
今日、どうにか美術館での陳列作業も終わり、
ホッと一息ついているところです。

このブログでは、フィンランドのことを書き続けてきました。
実際にフィンランドに足を踏み入れてからは、
書きたいネタだけがたまって、
文章にするのが追いつかなくなりました。
帰国後、後を追って書こうと思って記しておいたメモには、

フィンランドでカラオケに行ったこと。
フィンランドの独立記念日。
日本好きのフィンランド人。
ラップランドに行ったこと。
デンマークとフィンランド。
などなど・・・

いろいろと箇条書きにはされているけれど、
一体何を書きたかったのか、今では思い出せません。
思い出して書こうとしても、もう臨場感ある文章は書けないでしょう。
制作の忙しさのために記憶が薄れてしまったのです。

人が、写真を撮ったり、文章を書いたりするのは、
「忘れるのが怖いから」という一面があるからだと思います。
あまのじゃくな私は、
「生き物が次から次へと記憶を失っていくのは当たり前のことだし、
記憶を残そうとするのは、いかにも人間くさくて嫌だ」
と感じ、いつの頃からか、
思い出写真を撮ることを止めてしまいました。
フィンランドでも、数えるほどしか撮っていません。

それでも、記憶を残したがる私は、
レポートというかたちで、
フィンランドについてブログに書き残しています。
あくまで、レポートなので、なるべく私情を表さないようにしてきました。
私情を書くと、思い出臭さが強くなるからです。

そんな素直でない私が、
6年間の芸大生活の最後につくった作品は、
フィンランドの森をテーマにしています。
結局、大切にしたいものは、
記憶に残そうとしなくても自然と湧いてくるのです。

そして、今、書きながら、
「ここに書いた私の執着心が、
フィンランドに向けてでなく恋する人に向けてだったら、
なんて強烈なラブレターなんだろう!」
なんて考えてます。
気の緩みです。

きっと、この春から社会人として働き始めると、
また、素直ではない私、気の緩みを戒める私、私情を消したがる私、
になってしまうのだと思います。
今、こうして何気なく思っとことを
つらつらと書き記している私にも、
「おかえり」と声をかけていいかもしれません。