フィンランドから日本にただいま。
ではなくて、
秘境から人間界にただいま。
です。
フィンランドから帰国して早や、一ケ月と半。
気がつけば、例年通り、京都沓掛町の大学にこもり、
衣食住の生活を忘れて制作をする私がいました。
修了制作に向けての準備です。
今日、どうにか美術館での陳列作業も終わり、
ホッと一息ついているところです。
このブログでは、フィンランドのことを書き続けてきました。
実際にフィンランドに足を踏み入れてからは、
書きたいネタだけがたまって、
文章にするのが追いつかなくなりました。
帰国後、後を追って書こうと思って記しておいたメモには、
フィンランドでカラオケに行ったこと。
フィンランドの独立記念日。
日本好きのフィンランド人。
ラップランドに行ったこと。
デンマークとフィンランド。
などなど・・・
いろいろと箇条書きにはされているけれど、
一体何を書きたかったのか、今では思い出せません。
思い出して書こうとしても、もう臨場感ある文章は書けないでしょう。
制作の忙しさのために記憶が薄れてしまったのです。
人が、写真を撮ったり、文章を書いたりするのは、
「忘れるのが怖いから」という一面があるからだと思います。
あまのじゃくな私は、
「生き物が次から次へと記憶を失っていくのは当たり前のことだし、
記憶を残そうとするのは、いかにも人間くさくて嫌だ」
と感じ、いつの頃からか、
思い出写真を撮ることを止めてしまいました。
フィンランドでも、数えるほどしか撮っていません。
それでも、記憶を残したがる私は、
レポートというかたちで、
フィンランドについてブログに書き残しています。
あくまで、レポートなので、なるべく私情を表さないようにしてきました。
私情を書くと、思い出臭さが強くなるからです。
そんな素直でない私が、
6年間の芸大生活の最後につくった作品は、
フィンランドの森をテーマにしています。
結局、大切にしたいものは、
記憶に残そうとしなくても自然と湧いてくるのです。
そして、今、書きながら、
「ここに書いた私の執着心が、
フィンランドに向けてでなく恋する人に向けてだったら、
なんて強烈なラブレターなんだろう!」
なんて考えてます。
気の緩みです。
きっと、この春から社会人として働き始めると、
また、素直ではない私、気の緩みを戒める私、私情を消したがる私、
になってしまうのだと思います。
今、こうして何気なく思っとことを
つらつらと書き記している私にも、
「おかえり」と声をかけていいかもしれません。