まちとも こころのおもむくままに

50年間の振り返りから エピソード5 生活障害あれこれ

静岡市内では精神障害者の地域生活支援として1970年代から共同住居という支援が行われてきました。この活動は、入院が長くなっている方の中に、支援があれば地域生活が可能という方が多くいるので、4人ほどで共同生活し、そこを支援するということで取り組まれました。当時は、精神障害になったら入院して治療していればよいという時代で、地域で生活することを支える支援はほとんどありませんでした。当時、共同住居活動を行っていたのは全国で数か所という状況でした。この活動を継続し、そこで得られた支援のノウハウがその後のグループホームの基礎になっていきました。

そんな活動に途中から参加し、20数年間この活動を支えてきました。支援の過程では様々な問題を発見します。この活動における支援では多様な生活障害に遭遇しました。

ある時、世話人が部屋の中がかび臭いことに気付き、調べてみるとタンスの中の衣類がカビだらけでした。その原因は、洗濯物を取り込む際に生乾きでもそのままタンスに入れていたためでした。乾き方の目安がわからなかったようです。目安はなかなか覚えられないので、部屋干しする時は部屋全体を乾燥させるように対応しました。

共同住居では夕食を利用者が世話人と一緒に作っていました。ある利用者は、レシピを読みながら調理すると作業が止まってしまいます。「塩少々」などという表現が理解できず考えてしまうことが原因でした。あいまいな表現が理解できない場合がしばしば見られます。「塩少々」を「小さじ半分」などと具体的に書き直すことで調理がスムーズにできるようになりました。

また、入院が長い場合は生活感覚にズレが生じます。家電製品のタッチパネルが使えない、洗剤の分量がわからないなどということもしばしばありました。慣れることで適切に使えるようになる場合もありますが、以前の感覚が浸みこんでいることについてはなかなか直らないようで、いつまでも洗濯用の洗剤を多量に使ってしまう利用者もいました。

水周りのトラブルもしばしば見られました。トイレットペーパーを大量に使ってトイレが詰まることは日常茶飯事。流しの排水が詰まることもしばしば、ある時は割りばしが詰まっていたり、ある時は雑巾が詰まっていたり、なぜ?と思うようなことが発生するのも生活障害の特徴です。

精神障害者が抱える生活上の困難については、この共同住居活動から多くを学びました。

可睡斎の風鈴





   


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