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おおたまの「内モンゴル、時々北京的生活雑記」

おおたまが内モンゴルと北京を行ったり来たりする中で見たこと、聞いたこと体感したこと等を、徒然なるままに記す雑記です。

藤巻健史「なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか」

2012-05-08 22:50:00 | 本(経済)
今日の棋盤井は霞掛かったような晴れ。
朝方の気温は+13℃、日中の気温は+27℃迄上昇。
漸くココ棋盤井でも朝の散歩を短パン半袖で出来る気候になりました。
散歩開始時間の5:30でも既にもう明るいし。ウレシイ限りであります。さて、

前回は飯田辰彦さんの「ラストハンター 片桐邦雄の狩猟人生とその『時代』」をお届けしましたが、今回は打って変わって経済系でありまして、藤巻健史さんの「なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか」であります。


このお方の本を読むのは、コレが初めてであります。
このお方は、当時としては珍しく日本人でありながらもモルガン銀行の東京支店長を務め、モルガンの会長をして「伝説のディーラー」と迄言わしめたり、彼の世界的にも有名なヘッジファンドの大親玉であるジョージ・ソロスのアドバイザーなんかも務めたりした御仁なのだそうで、今では金融コンサルタントをやっているヒトです。
どうやらこの御仁は、円安論者でいらっしゃるらしいのですが、「Mr.円安」と呼ばれるコトは好んでいないようで、自らは「Mr.変動相場」と自称されているようです。

この本は、タイトルを見て即買いしてしまったのですが、ソレは普段から個人的にも「通貨は国力のバロメーターである」と考えているにも拘らず、デフレに喘ぎ、国の人口自体が減少し始めている国の通貨が何故買われ続けているのか良くワカラン、と常々思っていたからであります。
結論から言ってしまえば(ネタバレ御免!でも、「はじめに」に書いてあるんだからまぁ良いか)、同氏曰くは「今は日本円と国債がバブルの極限で、はじける寸前。この状態が長く続くはずがない」と言うモノであります。
また、今日本円を保有している人は、「豪雨の時に、がけ崩れを起こしそうな崖下の廃屋で雨宿りをしているようなもの」、とも言っておられます。
従い、海外分散投資をして、自分で自分の身を守らなければならないし、財政破綻の後には日本経済は復活し、明るい将来が待っているので、その時に備えても「為替」を理解しておかなければならない、と言っておられます。
個人的には、全くそのご意見に賛成であります。

が、しかし…。

コレはどう言うコトなんでしょうねぇ。
現時点でのAmazon.co.jpのカスタマーレビューを見てみると、まぁコレが見事な迄にケチョンけちょんなのであります。
28人のウチ、5ツ星が2人・4ツ星が7人・3ツ星が1人・2ツ星が8人・1ツ星が10人。
相当にヒドいレビューになっています。
キーワードを拾ってみても…、

狼少年
煽るだけのオオカミ中年
10年間も嘘つきまくってきた彼
相場予測が外れっぱなしの人が、どうして本を出し続けられるのか
藤巻氏は曲がり屋
危機を煽って破滅予言をするエコノミスト
自己責任とは無縁の批評家
結局は自らの円安論を正当化しているだけ
伝説のディーラー?誰もそうは思ってませんが…
ご自身の写真をデカデカと表紙にかざるのはいかがなものか
この本の正しい使い方は、「逆さ」に読むことだ

とまぁ、キモチが良い位にコキ降ろされています。
過去に出版した本を信じて、相当痛い目に遭ったヒトが多かった、と言うコトなのかも知れませんね。
でも、結局彼がナンと言おうとも、相場の判断したのは自分である筈なので、こんなカスタマーレビューで吠えていたトコロで、負け犬の遠吠えにしか聞こえませんが、ねぇ…。
悔しかったら、外銀で日本のトップを張れるホド稼いで見てから言ってきやがれ!ってなモンですね。

彼は2012年に国債・円・株が大暴落する可能性が大きいと唱えているようです。
国債がホントに暴落すれば、日本の財政破綻は本当にあり得ない状態ではないかと思います。
それが現実のモノとなるのか否かは誰にも分かりませんが、備えあれば憂い無し、と言うのも事実でありましょう。
さてさて、皆さんなら如何なさりますかいな?

参考意見としては、オモシロい本だと思いますよ。



大前研一「日本復興計画」

2011-06-28 22:48:00 | 本(経済)
今日の棋盤井もスッキリ快晴。
朝方の気温は+15℃、日中も+33℃迄上昇。暑かった。
昨晩は中々に盛大な白酒宴会で、その後のウチのBARも大盛況。
でもお目覚めも酒の抜けもスッキリです。さて、

5月に仕入れた東日本大震災関連の本が堪っているのですが、消化しつつあります。
既にココでもご紹介した池上彰さんの「先送りできない日本」、先週の野口悠紀雄さんの「大震災後の日本経済-100年に1度のターニングポイント」、それに今回の大前研一さんの「日本復興計画」(コレが最後ですが)。


この本の大前さんのプロフィールを改めて読んでみて、「へぇ~、そうっだったのかぁ」と思ったのが、このお方の元々の専門が原子力で、早稲田の理工卒業後、東工大大学院の原子力核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大(MIT)大学院の原子力工学科で博士号を取った後に、日立製作所で原子炉プラントの設計に携わっていたんですね。
コンサルのマッキンゼーでの活躍が有名なので、マッキンゼー入社前のこうした経歴はアタマに入っておりませんでした。

この本は、震災直後の3月13日の「ビジネス・ブレークスルー 大前研一ライブ」の分を第1章「これで原子力の時代は終わった」、3月19日の公開録画分を第2章「三分の二に縮小する生活」として収録、その時点での現状分析を振り返り、第3章では「日本復興計画」と題して1年の短期的見通しと5~10年の長期的予測を分かり易く述べているモノであります。

流石に原子炉の専門家だけあって、相当に早い時点から日本や世界の原子力産業・問題が今後どうなって行くのか、当時の福島第一原発で起きていたことがどう言うことなのか等について、エセの御用原子力学者(?)とは異なる、シロウトが見ていても分かり易い持論を展開されております。
また、敏腕コンサルとして最終章では「日本復興計画」として、道州制の導入、そして日本人のメンタリティを変えることを提案している(ネタバレ御免)。

最後に、「どんな乱世になっても生き残ってみせる、世界のどこに出かけていっても稼ぐぞ、と言うメンタリティを持てるかどうかがポイントだ」と言い、そして最後の最後に、「個人は最小経済単位だ。あるいは家族が最小の経済単位だ。政治家に頼ってはいけない。国がなんにもしてくれないことは、すでに明らかだ。自分自身だけが頼みの綱と覚悟を決める。そうしなければ、この日本も元気になりえず、復興もありえない。」と締め括っています(青字は無断引用です、スミマセン)。

日本人よ、この点に於いては中国の人々を見習いなさいよ、みたいな結論になってますな。
単行本にしては少々薄く、字も大きいクセに1,200円もするのだけれども、大前さん自身が印税を全て放棄しておられるようだし、この本の売上の12%の137円が震災復興の為に使われるとのこと。
この本読んで、日本復興計画に参加しましょう。



野口悠紀雄「大震災後の日本経済 100年に1度のターニングポイント」

2011-06-21 22:53:00 | 本(経済)
今日の棋盤井は珍しく朝から殆ど曇り。
朝の気温こそ+20℃あったものの、午前中は+18℃迄下がり、アトは20℃との間を行ったり来たり。
多少の雨もパラついたりしましたし、夕方には晴れ間も出て来ましたが、概して涼しい一日でありましたです。
明日からはまたまた+30℃超えの日々に戻るとの予報になってます。さて、

先月の出張で購入して来た野口悠紀雄教授の「大震災後の日本経済 100年に1度のターニングポイント」)。
この本もご他聞に漏れずに、東日本大震災後の緊急出版モノ。


流石に、このお方は東大卒、大蔵省勤務経験あり、エール大博士、東大・一橋大教授、スタンフォード大客員教授等を歴任している著名な経済学者だけあって、感情論に流されること無く、経済理論に基づいた冷静な実態把握と分析を行い、また現在日本経済が直面する様々な問題を考慮した上で、東日本大震災後の日本経済がどうあるべきか、具体的にナニをすれば良いのか、日本は今後どう言う国になるべきであるのか、等について述べられております。

amazonのレビューの中には結構辛口にこの本のコトを批判しているヒトもいるようですが、自分としては読み進めていく中での妙な違和感や、論理の飛躍、指摘されている点の不足等は感じられませんでしたけどねぇ(自分の勉強不足か?)

ちょいとだけ内容をご紹介すると(ネタバレ御免)、
 ・コレまでの日本経済が面して来た問題点は需要不足であったが今回の震災後は電力成約に起因する供給制約・ショックであり、総需要抑制政策・金融引き締め・円高容認で対処すべき
 ・電力需要抑制には計画停電等の統制ではなく価格メカニズムを活用した方法とすべき
 ・復興財源には奇策はあり得ず、これを機会に財政構造の徹底的見直しが必要で、消費税増税・法人税の課税ベース拡大等で対応すべき
 ・復興財源を国債増発に求めれば、只でさえ破綻寸前の日本の財政状況の悪化に拍車を掛け破綻シナリオは現実のモノとなる可能性大
 ・震災後の日本は脱製造業化を図り金融立国・サービス業に力を入れるべきで、その為には教育がより重要
ってなカンジでしょうか。

ちょっと小難しい内容ではあるけれども、筋の通った経済理論・分析による復興策提言であり、中々読み応えある内容だと思います。
感情に流されず、冷静に今後の日本の青写真を描いている中々の良書だと思いますよ。



池上彰「先送りできない日本―”第二の焼け跡”からの再出発」

2011-06-07 22:08:00 | 本(経済)
今日の北京は晴れ。
早朝の北京の気温はそれでも+20℃。
今日は早朝に異動、午前中に棋盤井着。
到着時の棋盤井の気温は+28℃、最高気温は+30℃。
午後から強い風が吹き始め、日差しは強いが風に吹かれていれば然程に暑くない。
でもその強い風は未だに黄砂を巻き上げているので、決して快適な一日ではありませんでしたなぁ。さて、

これも、前回の日本出張時に購入した池上彰先生の「先送りできない日本―"第二の焼き跡"からの再出発」。


東日本大震災から2ヶ月経過した辺りから、色んな方々の色んな「震災後」の日本に関する書籍が緊急出版されました。
この本も、その一つとして考えて良いのでしょう。
ただ、中身を見てみると、この本は大震災前からこの手の本を出すことを池上さんと出版社である角川書店との間では(4年前に!?)合意していたようで、この大震災があったが故に、一部はそのコトを踏まえて書かれ、「緊急提言!」と言うカタチで纏められたモノのようです。

内容としては、コレまでに政治家が先送りにして来た様々な問題、即ちTPPFTA等の貿易問題(「国を開く」か否か)、過保護ともなっている農業問題、隣国の巨龍中国との付き合い方、ガラパゴス化した日本の製造業の在り方、少子高齢化が進む中での財政問題への対応等、について池上さん特有の分かり易い表現で、読者に詳しく解説し、疑問を投げ掛けています。
そしてこれらの、既に行き詰っていた諸問題が、東日本大震災が発生したことにより、いよいよ先送りが許されない状況となっていることを読者に知らしめ、「これからの『正義』の話をしよう」で有名なハーバード大学マイケル・サンデル教授の「ソクラテス・メソッド」(学生と教授間での質疑・対話により進行、議論を重視する方法)により、国を頼りにする前に、自らが「いい質問」を考えることによって思考を深め、各自がより良い回答を導き出すように努めることで、これからの日本の在るべき姿を考え、日本の未来を切り開くのだ、と主張されております。

池上さん言うように、第二次世界大戦後の日本は、日本全土が今の東日本のような”焼け野原”から再出発して今の豊かさを築いて来た訳ですので、現在日本が直面する諸問題に対して、政治家もそして国民も先送りをすることなく、各自が真面目に思考をし、取り組んで行けば、必ずや再び不死鳥の如く蘇る日は来るのでありましょう。

と言うような問題を考えるには、良い一冊であります。
字も比較的大きいし、分かり易い解説で読み易いこともあり、すぐに読めてしまう良書でしょう。



野口悠紀雄・幸田真音「日本人が知らない日本経済の大問題」

2011-05-17 22:02:00 | 本(経済)
今日の北京は晴れ。
今日は午前中の便で成田に向かいました。
日本に着いてみると、雨。
最高気温は+20℃。
それでも、棋盤井に比べるとやや蒸し暑いですなぁ。
でも、中国から来ると、東日本大震災の影響の節電の関係で、随分と色々節約しているコトが伺われ、震災がより身近なモノであったことが感じられましたですね。さて、

もう約半年程度前に書かれた本なので、鮮度的には既にイマイチの状態になってしまったかも知れませんが、野口悠紀雄先生と幸田真音さんの共著(と言うか、対談集)「日本人が知らない日本経済の大問題」です。


この本は字がデカいし、その上で対談形式になっているので、数時間(1時間?)もあれば読めてしまうお手軽な本であります。
が、ソコに書かれている内容としては、気にしているヒトには「当ったり前」の内容乍らも、あんまり気にしていないヒトにとっては、「え~っ!そうだったの~っ!」と言う内容なのかも知れません(だって、題名がそう言う付け方なんですもん)。

でもこの本に書かれている大半のコトが、実際に現実世界で進行しつつある事象であり、現実問題なのであろう、と言うコトを日本国民は認識せねばならぬのでありましょう。

その指摘事項の中でのポイントを記すと、以下かな。

・市場の重要さの再認識
・コレからはハードよりもソフトの時代(トヨタとアップルの勝敗を分けたモノ)
・現状日本の最大の問題はデフレ・円高よりもインフレ・円安
・新興国頼みではジリ貧に、中国の「量」に幻惑されるコト勿れ
・日本の産業構造は為替レートに振り回され過ぎ(日本の今後のモデルは産業構造を逸早く転換した米英にあり)
・過保護な政府政策が逆に日本をダメにしている
・真の国際化の重要性(英語化、ホントの意味での国際化、国際水平分業、留学等)
・経済感覚に敏感たれ

特に、従来日本国債を買い支えている生保や年金が団塊世代のリタイヤや高齢化によってその積立金を取り崩す側に回り始めており、今後の買い余力に明らかな限界が見えている点、即ち日本国債の暴落する日は着実に近付いていると言う指摘は、正にその通りだと思います。
それに加えて、現在の財政状況を続けていくのであれば、日本国債の償還が行き詰るのはどんなに長く見ても10年以内に到来するだろう、と断言されちる点は特筆モノでありましょう。
そうなった場合のコトを想定した上で、日本国民は自己防衛を図らないと、トンでもないコトになってしまうとも書かれています。

そしてまた、日本を再生させる為には一度創造的破壊が必要(特に、今の大企業=ゾンビ企業)、しかも再生余力があるウチにやらないと、どんどん大変なコトになる、との説も開陳されております。

まぁ、労働人口(勿論、総人口も)減少しつつある日本、他のアジア諸国に比べてもヤル気が圧倒的に少ない日本、ホント子供・孫達の時代にどうなっているかが心配になる今日この頃ではありますが、現世代として出来るだけのコトはやった上で、次の世代へのバトンを渡して行きたいと考える次第であります。

ま、お時間があれば、読んでみて下さりませ。

野口先生は、今回の東日本大震災を100年に一度のターニングポイントであると考えておられるようで、先週金曜日に「大震災後の日本経済」と言う本を出されたようです。
今日からの出張に合わせてamazon.co.jpでコレも買っておきましたので、読んでみますかな。
読後の感想は、また後日。