世界経済のリーダーとして
2012-05-08
川辺賢一氏、ブログ転載
フランスでは社会党オランド氏が大統領になり、ギリシャでは
反緊縮の急進左派政党が第二党になり、政策の不透明さから、
世界的な株安になっております。
フランスではサルコジ氏が自由主義的路線で改革を行って
おりましたが、緊縮財政では雇用が回復せず、公共投資拡大に
よる成長路線を訴えるオランド氏が当選された流れのようです。
ヨーロッパでは「財政危機だから即・緊縮」では結局景気が低迷し、
税収も増えないということ、成長のためにも財政支出が必要で
あるという認識が徐々に定着しつつあるようです。
もちろん、バラマキ礼賛型の反緊縮には問題がありますが、
経済理論的な観点からも極端な緊縮政策は景気低迷と税収減を
もたらすということが主張されているようです。
オランド氏は社会党らしく富裕層への増税など
格差是正・バラマキ型の政策も提唱しておりますが、
オランド氏の勝利は社会主義万歳の声というよりも、
「サルコジへのNO」であり、極端に社会主義国化していく
こともないだろうとも言われております。フランスは伝統的に、
よく言えば愛国的な国柄ですので、ハンガリー移民系であり、
アメリカ追従のサルコジ氏に飽きてしまったということかもしれません。
しかし、「市場は正直に反応している」ということも事実です。
ヨーロッパでは左翼系の政党の台頭とともに、
民族主義的な右翼系の政党も台頭し、政情が不安定化しております。
左右両極端の政党にありがちな傾向としては、
保護貿易が挙げられます。
私自身、共通通貨ユーロや共通国債の発行、ユーロ圏財政の
一体化には問題があると考えますが、人・もの・金・情報の
交流を活発化させた自由貿易圏としてのEUは評価される
べきだと思います。
EU問題のやっかいさは、EU域内での自由化促進という
表看板の裏で、EUを一種のブロック経済圏とするような
保護主義的政策が推進されていくところにあるように感じ
ます。その意味でイギリスはうまく距離を取っているように
思います。
1920年代後半、世界的な経済不安から各国が保護貿易主義に
走ったことで、世界恐慌、世界的大収縮を引き起こして
しまいました。
きっかけは当時、世界一の債権国家だったアメリカが保護貿易と
金融引締めに転換したことでした。そして大恐慌は世界大戦の
きっかけになりました。
保護貿易は近隣窮乏化政策と言われており、一見、自国産業の
保護は自国にとってはプラスのようにも見えますが、保護貿易
政策は自国のみの一方的な輸入拒否にはならず、相手国の反撃的
な保護貿易を誘発し、結局、世界経済全体の取引量を縮小させて
しまうということです。
このようなときこそ、世界一の債権国家である日本は、
TPPその他の自由貿易促進型の政策を推進し、
自由市場の価値を世界に訴えるべきです。
間違っても日本のような経済大国がTPP参加を
翻すような政策転換をしてはなりません。
また金融政策も重要です。
日経平均株価は大きく下落しましたが、日本の長期金利は
むしろ低下(日本国債の価格は上昇)しております。
政府・日銀としては、さらなる長期国債の購入など、より
積極的な金融緩和を行うべきです。
長期金利が下がって、株価が低迷しているということは、
日本の金融機関が日本株から日本国債へ資産構成を変更
したということを意味しております。
であれば、さらなる金融緩和を行うまでです。
こういうのをカウンター・サイクリカルな政策と言いますが、
株安・国債価格の上昇という流れは、日本政府としては
カウンターをかけるチャンス、生かすべきチャンスです。
政府は消費税増税などせずに、今こそ、長期国債を発行し、
大開発を行うべきです。
そして長期国債を日銀が引き受ければ、世界経済の収縮を
防ぐこともできます。
日本はFRBと協力して、日米共にインフレ率3%程度を
目標に金融緩和を行っていくべきでしょう。
金融緩和は通貨安を引き起こすので、これも近隣窮乏化で
あると言われますが、変動相場制国同士の金融緩和合戦は、
むしろ近隣富裕化をもたらします。
なぜなら金融緩和による自国の通貨安は相手国の金融緩和・
通貨安を誘発させ、結果的に両国にとって適度なインフレ率の
ところまで金融緩和が続き、為替レートは適当なところに
落ち着きます。変動相場制国同士の間では、経済活動にとって適
度なインフレがもたらされるとされます。
ちなみに中国のような為替介入国には、日米の巨大な
金融緩和によって過度なインフレがもたらされます。
過度なインフレを止めるために金融を引き締めれば、日本の
「いわゆるバブル崩壊」の二の前です。
日米の巨大な金融緩和は中国に対して、為替の自由化か、
バブル崩壊か、二者択一の選択を迫ることにもなります。
日本は世界一の債権国として、恐慌を事前に止めるための、
自由の価値を守るための、世界経済のリーダーとしての
行動が求められおります。
転載、させていただいた記事です
http://ameblo.jp/kawabe87/entry-11244993489.html
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