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塩山芳明の漫画屋BLOG

編集プロダクション漫画屋編集長・塩山芳明(多分現役最高齢)の冥土みやげの戯言。

しおやま・よしあきの腰曲がり薄毛爺さん疫病街徘徊(その1988)

2024年12月01日 07時09分07秒 | 独り言

12月31日…結局今年の見納めは、「高崎電気館」の『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』になりそう。新鮮さには欠けるが、確実な水準の作品で締めたい(「シネマテークたかさき」の主要作が、見物済みのせいも)。同館、3日からは恒例の寅さん大会。『男はつらいよ/寅次郎夕焼け小焼け』&『同/翔んでる寅次郎』。これまた再見に値する2本(女癖の悪さで知られた松田政男が、生前山田洋次&愛川欽也をやたらと毛嫌い。”新左翼会の山田和夫”の素朴な信者はホントに損してる)。いつもの大型チラシが、半分大になってしまったのはガッカリ。

    「高崎電気館」。朝10時からの『荒野の用心棒』、続いての『夕陽のガンマン』。各20人弱の入り。若い姉チャンもそれぞれ2~3人。映写状態良し(音響は少し割れる)。同館オリジナルの半券の構図が素晴らしい。名刺大で、「シネマテークたかさき」と比べて小さいのがやや不満。帰りに「room’s」でホットケーキセット(プチ洗面器大で650円。サラダ、果物、コーヒー付き)。行き帰りの上信線での『坂口安吾全集/12』(ちくま文庫/”安吾捕物帖/上”収録)も楽しかったし、不平文句グダグダ爺さんとしては穏やかな一日だった。

 日本の財政健全化策はガキでも可能なレベル(財務省不要)。以下を廃止するなり削減すればいいだけ。先進国への復活はお茶の子さいさい。もんじゅ(全廃)。辺野古基地工事(全廃)。米国占領軍朝貢費(全廃)。経団連トヨタ他主要企業消費税注入(全廃)。青天井の皇族費用(完全民営化)。こんな簡単な事も出来ないとすれば、その国家は滅亡するしかない。

12月30日…そのシネコン「109シネマズ高崎」。観客評価業界最高と自画自賛してるが、昨日はこの寒いのに館内暖房を途中で遮断(12時45分開始の回)。後半はブルブル震えての鑑賞。あたかも「109シネマズ谷川岳」。高崎だけの蛮行ではあるまい。老人料金1500円も取る封切館がこの仕打ち。東宝系映画館の紳士面した強欲振りに負けない、松竹東急系の土方の地下足袋的悪臭漂うえげつなさ。「早稲田松竹」(松竹系子会社の運営)の爪の垢でも煎じて飲め。全国の109系シネコン、冬場は絶対に行くべきでない(脳溢血死希望者は別)。ココに比べ「シネマテークたかさき」「高崎電気館」は良心的。後者は天井の高い古い小屋なので、やや暖房の効きは悪いが。

 春陽文庫収録分以外も読みたくて、『坂口安吾全集/12』(ちくま文庫)を(”安吾捕物帖/上”収録)。刊行時順番に片付けてるはずだが、まったく記憶に無い。先日読んだ春陽文庫分まで忘れては問題だが、若い頃体験した映画や小説が常に新鮮というのは便利(ボケの効用)。どの程度記憶してるか、半世紀前に旧「文芸坐」のオールナイトで繰り返し観た、『非行少年 若者の砦』を久々に「シネマヴェーラ渋谷」でと思ってたが、脚が重くて断念したのは残念。

 笹沢左保御大の『過去は雨の中に佇む』(’88角川文庫)。舞台が中古瓶回収業界というのがユニーク。まったく未知の世界だったが、今でも多数の業者や業界団体も健在。多分カンやペットボトルに押され気味なのだろうが、カンはともかくプラスチックの汚染が顕在化してる今、中古瓶の再利用は市電並に復活するのでは。ペットボトルなんて”日々の原発”同様だし。

12月29日…トランプが死刑を精力的に続行しろとほざいたそうだが、遅れてるなアメリカ帝国次期大統領。大日本帝国の上川陽子元法相など、精力的どころか狂ったように死刑を粛々と実践、16人もあの世に送りまくり、”永田町の血まみれサイコ婆さん”、あるいは”国会の死刑執行人”とまで絶賛支持され、次期首相候補だ(ギネスに申請したかどうかは未確認)。やたらと卑下するのではなく、自国の自慢すべき点は国連等でも声を大にして主張を。「日本は今後も20人、30人と人数にこだわることなく、ドンドン犯罪者を死刑にして(冤罪被害者込み)、中国やロシアの脅威から自国民を守る決意です!」国威発揚間違いなし。

 「109シネマズ高崎」で『ロード・オブ・ザ・リング/ハ―ロンの戦い』。観客4名。面白い。最初は人物の劇画的体形(頭が小さすぎる)、濃密で重厚な背景に比べて安っぽい人物処理、馬脚の地につかなさ等が気になって仕方なかったが、次第に引き込まれた。お姫様の織田信長っぽさや、ロマンスをほぼ排除したドラマ構成は斬新。無論、悪党は殺されるまで改心など一切しない(アベシン同様に)。さわやか。

12月28日…昨日の「東京堂書店」。平積みしてあった『ぼくの文章読本』(荒川洋治・河出書房新社)を手に取り、後半折り返しの著者略歴を。各種受賞歴の末尾に”芸術院会員”と。細い書体だったが本当はこの部分だけ大きさを倍増、ゴナEで表記したかったのでは。『文学は実業である』とかいう本も出してたな。買わずに戻す(昔はファンだったが、俗物化スピードにあきれて離反)。相向かいの工事中の「三省堂」。2026年初めには完成と。「東京堂書店」の天下ももう1年。同店、(四)(五)はあるのに、『過去と思索』(ゲルツェン・岩波文庫)の(三)が無かった。イライラ。

 昨夜、「シネマテークたかさき」の顔見知りの美女スタッフに、「今年の見納め映画には何を?」と尋ねられて一瞬言葉につまる。「今月は今日まででまだ15本。もう5本は片づけたいので、まだ分からないよ…」。暇な爺さんには付き合い切れないと言った顔を(当然です)。それより心配なのが、同館向かって左側の空き地の工事。今までは駐車場だったが最近更地にされ、今にも建築工事が始まりそう。その間の騒音が心配で。

 集団強姦疑惑の岸和田市長の似た者夫婦振りには非難殺到だったが、窃盗団の汚れた金8億円をシャーシャーとごっつぁんしてる、赤い羽根を運営する中央共同募金会が批判されないのは奇怪至極。コイツら、泥棒、人殺し、麻薬カルテル、幼女売春組織からも、金なら何でも受け取りますと宣言したに等しい。確かに金自体に罪は無いが、出所による色はシッカリついてる。マネーロンダリングを公然となす自称福祉団体なんて、即刻潰れちまえ!

12月27日…公金泥棒集団(別名自民党国会議員)アジトの飯炊き婆さん、畝本直美検事総長。相変わらずの鮮やかな仕事振り。裏金議員65人を一斉に不起訴と。見た目の悪い野良犬にも、腐った残飯は喰わせてておくもんだ。職務放棄無能集団のせいで、また公金を使っての検察審査会が。日本の検察は法体系の破壊者(国民皆保険の破壊者はサントリー)のみならず、もんじゅ並の国家財政浸食テロリスト組織。『日刊ゲンダイ』社長だった川鍋孝文、『噂の真相』編集長の岡留安則両名の評伝類はなぜ出ないのか。売れると思うが。

 全然期待しないで行った「古書会館」。ところが映画関連本雑誌を中心に、20冊以上買う嬉しい想定外の事態に(9割方「古書二イクロ」)。約7000円(「矢口書店」なら3~4冊しか買えない)。初めてここでの”送り”体験(着払いの郵パック)。お陰で週末に予定してた高円寺参りが休める。高崎線で『魔窟/知られざる「日大帝国」興亡の歴史』(森功・東洋経済新報社)。かなり面白い。学生の頃、『印刷タイムス』という業界紙で一時アルバイトを。そこの元日大全共闘が。顔に深い傷が。噂では日大芸術学部で関東軍に襲撃された際に出来たものと。お元気だろうか。「シネマテークたかさき」で『ヘヴィ・トリップⅡ俺たち北欧メタル危機一発!』。1作目に比べるとかなり落ちる。観客20人弱(初日)。

12月26日…事務所のパソコンのメールが不通になり(湘南新宿ラインを真似るな!)、女房に直してもらおうと引っ担いで来たので肩がコチコチ。年に1~2度はこう。前回は自宅で配線するなり復旧。今回はそう行かずに今日に持ち越し。運転、商品発送、食事の用意、庭の枝切り、パソコン類は老妻担当。せどり、出品&再出品、皿洗い、枝焼却(夏は草刈り)、古本処分だけの俺に比べて過重労働気味。我が担当仕事を増やそうか。水飲み百姓同様に、古女房は生かさず殺さずもと言うが。主権者を殺してケツの毛まで抜く自公国民維新政権に比べれば、狸オヤジ一家支配の江戸時代はまともだった(生活保護費アップ月額500円。100歳越えで死んだ皇族の葬儀費用3億円以上)。命懸けの百姓一揆も各地で起きてたし。日が沈み続けてるのは明治維新以来なのか。

 『作家の日記』(ドストエフスキー・岩波文庫)、5巻目になったら再び面白くなった。4巻目はもっと早めに放棄すべきだったと反省。ただドス様。作家だからよかったが、政治家なら完全にひげ面のプーチンだよ。WOWOW。3カ所のどっかで70年代東映プログラムピクチャーと言うか、韓国暴力映画をバンバン流してて心がなごむ。『ゴールデンカムイ』のゲロ糞宣伝中止してくれりゃ、身も心も更に浄化されるのに。

12月25日…『東京新聞』最終面の「私の東京物語」。どうでもいい一山幾らかタレントの愚連載が続いたが、金平茂紀の登場でようやく眼を。同世代だが、田舎と東京じゃ”青春時代環境”に随分差があるなと(荒木一郎との落差ほどでもないが)。この人の眉毛は好々爺っぽく垂れてるが、かく風貌の人間は激短気な人が多いので御用心(爺様の体験談)。

 昼前の湘南新宿ラインに約1時間の遅れ。女車掌さん、社内マニュアル通りなのだろうが、事故や遅れ等の言葉を禁句にして、”一時的な時間調整”との言葉を連発。お陰で浦和駅から京浜東北線への乗客移動までに、実に無駄な時間が費やされた。客の都合より自らの体面を優先させる、値上げ申請を控えた傲慢な銭ゲバJR東日本。お陰で煮え切らない内容の、『皇室とメディア「権威」と「消費」をめぐる一五〇年史』(河西秀哉・新潮選書)は結構進行。こんだけ逃げ場を確保した筆致なら、どこからも抗議されない(『週刊新潮』のヨイショもシッカリと)。過剰な尊称を使用してない点はいい。

 「シネマテークたかさき」で19時開始の『眠り姫』。観客6名(1名途中退場)。7~8年前、姉ちゃんがハンモックで寝てるだけの映画があったが、あれ以来の”前衛”さ。”天才”は同時代では理解されないのが常。本作演出者を前衛とも天才とも思わないが(塚本晋也タイプのうぬぼれ人間)。ほとんどナレーション&景色だけ。ビンボな箱庭風邦画の最終形態か。最後の字幕登場人物数がハリウッドの大作並(実際に画面で確認できる人間は1人のみ。←途中で1度寝てるので推測)。クラファン参加者? 濡れ場だけは人間も出せば良かったのに。尺80分は演出者の唯一の良心か。

12月24日…今世紀になり”生きざま”という恥語をようやくめったに耳にしなくなったら、”’マジで泣く”が登場。どうにかして欲しいが、どうにもならないだろう。2番目に嫌いな日本語。1番は言うまでもなく皇族の名称の後にくっついてる、”さま”。映像面だと、嘔吐場面で写す必要のないゲロをアップにする馬鹿演出家。ジョン・ウォーターズじゃねんだから。トイレにかがむ後ろ姿を、ロングで見せりゃ分かるよ。

 盛林堂ミステリアス文庫と言えば、『密書の行衛/コナン・ドイル少年少女翻案集』(北原尚彦編)も数日前に。中身より古ツア(小山力也)のレイアウトがカッコ良かった。同文庫は文字が大きく行間に余裕が。ギッシリ系のちくま学芸文庫や昔の岩波文庫の間に開くと気分転換に。自民党の企業献金を死守したい各種トンデモ屁理屈。強姦も正常位なら罪に問われないと、大久保清が居直ってる風。あるいはスキンしてれば許されるとかのレベル。皇国の警察、検察、司法はそれに同意しつつあるから怖い。強姦者の力強い味方中村格は、日本生命でどんだけ収入を? NHK平職員の平均年収、1800万の数倍だろう。腐った十手持ちのゴロツキは、昔から乞食同様に1度やったらやめられねえな。

 吉本隆明の娘が漫画家&小説家なのは有名だが(吉本ばななはともかく、姉ちゃんのハルノ宵子は日本出版社やヒット出版で仕事を。中森ばぎなや中総ももに毛が生えた程度か)、花田清輝の孫、十輝もアニメのシナリオライターと(お爺ちゃん命名)。前から伝え聞いてたが、今回初めてウィキをチェック。まだ現役の売れっ子(1本も観てないが)。隆明の長女は父親の想い出を本にして一時話題に(未読)。十輝にも爺ちゃんの回想をと一瞬考えたが、69年生まれ。爺ちゃんは4~5歳で亡くなったのだし、無理筋な期待だな。

12月23日…値がつかない本や雑誌を、蔵や自宅奥から少しづつ集めゴミ収集場に運んでるが、全然減ってる感じがしない。大江健三郎、山口昌男、井上ひさし、富岡多恵子、川本三郎、矢作俊彦、田中康夫、松尾スズキ、『キネマ旬報』、『イメージフォーラム』、『映画芸術』、『映画秘宝』、『ユリイカ』…無尽蔵に湧き出る泉のごとし(小林信彦はある思惑からまだ保存)。瞬時に消え去った(お札になって)、オーウェル、山田稔、西村賢太、『季刊FILM』、『芸術倶楽部』、『海鳴り』、チラシポスター類の芦川いづみ、タルコフスキー、エドワード・ヤンは実に読者孝行だったが。

  「シネマテークたかさき」で『こまねこのかいがいりょこう』『ゴンドラ』。観客4名、7名。前者結構面白かった。邦画は実写より、ドラえもんや本作他のアニメの方が現実を直視(雪男編に関心)。後者。撮影(構図、深度決めまくり!)や役者は揃ってるのに、監督が兼ねてる脚本が下らな過ぎて。チェスゴンドラ→コスプレゴンドラ→レズゴンドラ→演奏会ゴンドラ→自爆ゴンドラ。そもそも両名はどこから資金を? 願望で物語を勝手に展開するあたりは邦画的。

 帰りの上信線で『夢をまねく手 他二十一篇』(宮野村子・盛林堂ミステリアス文庫)。行間がタップリで読みやすい。本書、大量の乱丁が出たと小野店長が渋い顔を(お陰で乱丁版完全版の2冊を所有)。冒頭の2編、いずれも中国人が悪役でソ連兵が善玉(敗戦後の大陸が舞台)。珍しいパターンだ。

12月22日…『底が抜けた国/自浄能力を失った日本は再生できるのか?』(山崎雅弘・朝日新書)読了。副題は間抜けだが、内容はXと異なる種々の工夫が施されている(適菜収もここらは見倣って欲しい)。引用される新聞記事の9割は『東京新聞』。うるう年に1度くらいは『朝日新聞』もついでに(どうでもいい感じで)。”朝日人業界”での出世を諦めた、書籍出版編集部の長田匡司、担当編集者の日吉久代はまともだ。

 自らへの戒めも含めてだが、親馬鹿に陥らぬためには並々ならぬ努力が。しかし昨今は”子馬鹿”が急増中。一定の名を成した物書き、映画監督、俳優等のガキどもに顕著。どうやら親を誉めまくる事で、自らのステイタスがアップすると確信してるらしい。真逆だよ。身内を他人の前で賞賛するなんて、世の中で2番目に恥ずかしい行為(1番目は親に手淫行為を目撃される事)。立派な業績を残した人だが、子供の教育には大失敗したようだと、並の神経教養を持った人間は素直にう。「だまらっしゃい有名人の馬鹿っ子ども!」と親切に言って上げても、全然理解不能なのが連中の特徴だが。

 アンソニー・マン監督の名前は、信頼に値する著者の本で散見してたが、『脱獄の掟』(’48米)を再見して改めて凄い演出者だったのだと(コスミックの10枚組DVD、『名優が演じる裏切りの世界』収録)。語り手の熟女クレア・トレヴァーは南田洋子、若い女弁護士マーシャ・ハントは浅丘ルリ子を連想。つまり初期小林旭&舛田利雄監督コンビの傑作、『女を忘れろ』の世界。70年代初頭、『キネマ旬報』に「日活アクションの華麗な世界」連載中の渡辺は、同作ロケ場所が自宅近所でそのまま残ってると執筆(俺は当時目黒区東山の「熊沢牛乳店」に住み込み、森永ホモ牛乳を配達中。忙しくてロケ現場見物など出来ず)。聞けば渡辺宅は付近でも周囲を睥睨する大邸宅だったと。金井美恵子。ボケないうちに”少女詩人時代”の意地悪な回想を是非。『マダムジュジュの家』を圧する代表作になるのは眼に見えている。

12月21日…最初からスラブ主義演説ばかりで辟易してた『作家の日記(四)』(ドストエフスキー・岩波文庫)。100ページ残して放棄。併読してた『過去と思索(二)』(ゲルツェン・岩波文庫)の面白さのせいも。ただロシア文学を後者に一本化するなり、著者の結婚にまつわる芝居めいた自慢話が延々と始まりゲッソリ(ドス様の呪い?)。(二)を片づけたらドス様の(五)に戻ろう。その後で(三)だ。紙上の猟色家気取り。

 ホントに駄目な『東京新聞』文化欄。文化勲章もらったチェリストに、でっかい写真入りの按摩ヨイショインタビュー。文化欄担当者なら、文化勲章自体の存在意義でも根本的な検証をしてみろ。差別の大明神直結の前近代的精神的奴隷制度を、今更有難がってんじゃないよ。文化欄と言えば一昨日触れた、豊崎由美&杉江松恋(俺は版元子飼いのコピーライターかと思ってたが、文芸評論家らしい)。2人の傑出した才能に頭を下げる大事な仕事を忘れていた。驚愕すべき事に両名の会話は、その一言一言が完璧な新刊書の帯の推薦文になっている(空也上人立像も裸足で遁走する鮮やかさ)。その陶酔の境地たるや、とても素人が真似できる次元ではない。素直に脱帽。そして敬礼!

 夕方、『過去と思索(二)』(ゲルツェン・岩波文庫)読了。ドストエフスキーや『収容所列島』のソルジェニーツインに比べ、随分と牧歌的流刑囚だと感じてたが(『ロミオとジュリエット』ごっこまでするし)、やはり作者は境遇をオーバーに語ってるらしい(昔から批判があったと)。そもそも流された場所がシベリアのずっと手前だし、流刑囚と言っても県庁に勤務(田舎じゃエリート階級)。流刑というより本社から場末の支店の転勤させられた程度。皇帝に連なる名家出身者ゆえの特別待遇。自らを飾りたがる癖は読み始めるなり察知。俺は別にどうでもいいと思ったが(他人の描写は抜群だし)、訳者かいせつで長縄光男は特別弁護人を志願。説得力ゼロの弁明をグダグダグダ。みっともない。お前はただの訳者だろうが。すっこんでろい!(馬鹿の贔屓の引き倒しが、御本尊をよりチャチにする)

12月20日…脳溢血で倒れたペイントロボ。大分回復、病院にも一人で通えるようになったと、当人から聞いて一安心。左下半身にやや後遺症は残るが、日常生活にはほとんど支障がないと。お母さんに寝たままだなんて言われたら、どう答えていいか分からないし、連絡してなかった薄情者(初期段階で妄想じみた手紙はもらっていた)。妄想に関しては俺も覚えがあるが自然と正常に戻る。しかし歩けなくなると家族が…と心配を。とにかく良かった。

 気の毒な姉ちゃん。ロングヘア―の美人が、「日高屋」飯田橋駅東口店の3人用カウンターで麺類を。髪を気にしながら食べてたが、全然音がしない。あんなんじゃ味がしないだろう。両側は死に損ないの爺さん(左側は俺)。60台以上の年寄りはもう観葉植物。ラーメンもそばも気にしないで音を立てて食べな(ただ鼻かぜらしく何度も鼻をかんでた。あの調子で食べりゃいいの)。

 「シネマテークたかさき」で19時30分からの『アット・ザ・ベンチ』(初日2回目)。観客25名前後の大入り。広瀬すず、吉岡里帆、岸井ゆきの他の人気者のせいか(若い男女メイン)。スカした字幕英語映画の割には悪くなかった。ただ4話目の後の楽屋落ちにはドッチラケ。こういう真似はフェリーニ、寺山修司ランクの人にのみ許される特権(ガキの行書体)。1話目の右下に、フィルム交換マークみたいなのが何度も出たのも謎(訳が?)。ただやっぱ邦画。今ベンチを取り上げるなら、排除ベンチネタは排除できないはず(韓国映画なら絶対に触れた)。邦画の9割は分野を問わずに、現実から眼を逸らしたファンタジーだな。後半の英語字幕を見てて、入りの良さの現因がも一つあるなと。第1話と第5話の脚本が生方美久。富岡出身でかつてこの映画館でも働いてた人物。古臭いが一番こなれていた。録音はどの話もカンペキで、50~60年代の五社映画並にクリアー。他邦画作品も見倣うべし。

12月19日…自らが面白いほどポンコツ化するのを実感する日々(面白かないけど)。穴に落ちて以来の右ひざの軽い痛みは半年たっても引かないし(骨に異常はないと)、半月前左足をねじった際のヒビは今日再検査だしでウンザリしてたら(プラスチック板まだ履いてます)、夕べからは右奥歯周囲が脹れておたふく顔に。しつこい湿疹を加えると4方向、つまり天地左右から攻撃にさらされてる爺さん。50前なら1方向からだけでゲッソリだったろうが、71にもなると各種病気、障害への耐久性が自然に身についてる事にも驚く(驚きたくねえが)。

 ヴィクター・マチュアとの共演だし、これかなと思って買ったコスミックの10枚組DVD、『名優が演じる裏切りの世界』。収録作『美人モデル殺人事件』が狙い。しかしミュージカル場面など皆無(映画自体は悪くなかった)。良く調べたら、余りに素晴らしいボクシングミュージカル場面があるのは、『フットライトセレナーデ』。コスミックのシリーズからは出てない。場面自体はいつでも楽しめるが(オーディション場面も最高!)、通して観たいのに。マチュアと言えば、似てると言われた体験を主軸にした花田清輝の面白いエッセイが。確かに似ている(特に横顔)。本人も柄にもなくやに下がってたっけ。

 花田清輝執筆時代の「大波小波」と、今のそれを比較してもむなし過ぎるのに似て、今日の『東京新聞』文化欄の自称”文芸評論家”2頭、豊崎由美と杉江松恋の回顧対談もホント~に下らなかった。文芸イコールミステリーか? バッカじゃなかろうか。もっと視野を広く持て。営業書評家豊崎には元々何も期待してないが、杉江は文庫解説で10回に1回くらいはまともな原稿を。ただ多少売れると、馬鹿になるな凡人は。同紙文芸欄は「大波小波」込みで廃止すべきだ。

12月18日…昨夕は「シネマテークたかさき」で『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』。観客8名。本特集で初めて本格的退屈感を満喫(終始)。『真夜中の虹』や『マッチ売りの少女』でカウリスマキファンになった男の子が、自信を持って彼女と本作を観に行った場合、大いに弁明に窮したろう(「へ…ヘアスタイルと靴はさすがで…」等と力なく)。人間の内面描写の達人が、外面の奇抜さに頼っては画面は死ぬよ。いちいち聞いた風な字幕も腹立たしい。

 日産は東芝と同じく図体がでかいだけの明日なきポンコツ企業だから、実質的にホンダに吸収されるのだな。60年代半ばに、日産ががスカイライン他で技術力を誇った、プリンス自動車を国策に沿って合併吸収した際のように。同社の労働組合は日産のそれと異なり強かったが、労働貴族で塩路天皇とまで呼ばれた男が牛耳る日産の御用組合にいじめまくられたと。今度は立場が逆転。首にならずとも日産社員は針のむしろの毎日(いい気味!)。天皇じゃなく笹沢左保御大の昨日読み終えた分は、『夢剣』(光文社文庫)。「桑畑の中の栄五郎」「早立ち妻籠追分」が特に良かった。

 残念!飯田橋にも高崎にも富岡にも「ミニストップ」は無い(知る範囲で)。東陽片岡が『日刊ゲンダイ』連載、「おスナック・ブルース」で、同チェーンの「彩り幕の内弁当」(429円)を絶賛してたのだ。俺も1度味わいたい。ココは昔、唯一コンビニで『噂の眞相』を扱ってたとこか。いやそれは「ヤマザキデイリーマート」だったか。どうでもいい事だな。「ミニストップ」。調べたら群馬県内にも41店もあって、高崎にも郊外に3店舗あるらしい。

12月17日…映画館でも1~2本観た記憶がある、今朝WOWOWで放映中の『トランスフォーマー』シリーズ。ヘブライ語か何かの授業を受けてるよう。面白いとかつまらないの次元じゃなく、「??????」。ロボットも役者も何の引っ掛かりも無く、ただ画面上を通り抜けて行く。製作され続けてるからには、当然ファンも多いのだろう。これが世間に置いてかれる事であれば、是非永遠にそうしてほしい(棺桶に入っても)。背景の自然の緑のみ、ごくたまに眼にしみるが。

 まったく勘違いしてた。いトうの地元の熊谷にあるのは立正大学で、南陀楼綾繁の新刊を出した出版会を抱える大正大学は、巣鴨にあるのだ(立正大学が高崎線内で宣伝を流してるのを聴いて、初めて気づいた)。関係者に不快な思いをさせて申し訳ありません(白々しい)。そういや昔、『comicロリポップ』(笠倉出版)に対して、『comicロリタッチ』(東京三世社)なんて亜流誌が出来て、関係者のひんしゅくを買ったらしいな。どうでもいいが。

 在庫が無くなって、「シャブをくれえ!」状態だった笹沢左保御大の文庫本(新書判は数冊あるが2段組みで…)。前回は「小宮山書店」の100円均一文庫コーナーで10冊(9月頃かな)。残りがと思って数日前に行くと、ホントに15~16冊。躊躇なく10冊購入。3か月は持つ。笹沢御大は眠らないように机に向かい、立ったまま執筆してた時期があったと。それを思い起こさせるのが上信線内の景色。スマフォでなく参考書類を開いてるガリ勉系女子高性が、席が空いてるのに良く立ったまま学習を。左保御大同様に、眠らないための対策か?

12月16日…宮内庁のお偉いさんまで詫びさせられてたが、扶養してもらってる主権者をいじめっ子扱いしたり、息子悠仁の東大への”公然たる裏口入学”(筑波大学入学へも大いなるモヤモヤ感)を模索したり、昨今の秋篠宮夫婦は象徴というよりは”皇帝”。国立競技場で親指を地面に向けて下げるんじゃと、マジで心配に(映画『グラディエーター』シリーズ豆知識)。当然韓国なら、糾弾の大デモが起きてるだろう(一方で現天皇は異様なまでに影が薄い。悪目立ちするよりはマシか)。日本が韓国を圧倒してる分野がもうひとつ。1万軒を突破した子ども食堂の数だ。ざまあみやがれ!!(………)

  「シネマテークたかさき」で『オアシス』『愛しのタチアナ』。観客6名、9名。後者は言うまでもないが、前者も結構楽しめた。次回作に期待。ただ女優選択には一考の余地が。本作の女優さんもけなげに健闘してるが、やはり地味過ぎる(同タイプの”首吊るし女”にも喰われてるし)。上りの上信線で『永瀬清子詩集』(谷川俊太郎編・岩波文庫)読了。後半は読む必要なかった。下りで読み始めた『もういいか』(山田稔・編集工房ノア)。俺のボケ母ちゃんと同じ歳なのに、相変わらずの冴えまくり。帰宅後仕事の最中にも手が離せず、夕飯前に読了。無敵の”自由自在物忘れ芸”が本棚前で連続念仏爆発。この人がいつ亡くなっても、さわやかな底意地の悪さは林哲夫あたりが継承するのでは。

12月15日…前にも触れた『総長賭博』特集の『月刊シナリオ』69年7月号(正確に記すと当時は、”月刊”の文字が表紙裏表紙から消えている)。鼎談、「幻想の殺意が人を刺す」(石堂淑朗、斎藤龍鳳、中島貞夫)に大きなお詫び広告が。縦11・5センチ、横7・5センチもあり、実話雑誌の仁侠団体(暴力団)への謝罪文並(同誌はA5判)。中身は前々号掲載のシナリオ『御用金』に関して。大きさからして脱落部分でもと思ったら、掲載の際のクレジットタイトル順に誤りがあったと。誤 『御用金』五社英雄・田坂啓 正 『御用金』田坂啓・五社英雄 神経質すぎる気もするが、それは基本的な正邪の逆転にさえ麻痺してしまってる、ならず者無法国家人民の自らへの無力な慰めなのかも。警察、検察、司法が犯罪者免罪機関化した国が持つはずがない。”クレジット・タイトルは作家の主体的位置を意味するものであります。それを間違えましたことは、私共の重大なミスという他ありません”(謝罪広告の一部)。失敗や罪を素直に認めた人間の姿はさわやかだ。

 どうにかしてくれ『東京新聞』。今日は読者欄、最終面と2カ所に田中優子”さま”の御真影が(後者はカラー)。エロ本だって目次に同一名は並べない。やむを得ない場合は、一方を異なるペンネームに。田中婆さんは写真入りだからそれも無理だろうが。電通筆頭株主の共同”ハレンチ誤報尻尾切り”通信のように、白髪婆さんが『中日新聞』の大株主だという噂も聞かない。でも書きものが多少面白けりゃ救いも。けど鎌田慧と並ぶシャチハタリベラル振りフルストッフル。自己顕示欲の異様な肥大化以外に、注目すべき点は皆無。同タイプ先祖の鶴見俊輔風無節操セールスマン&ウーマンが、この国の左翼を日々堕落させて来たのだと、いい加減で悟るべき時代だ

 湿疹がまた悪化(下半身中心)。理由は不明。死ぬまだ治らないと認識してるが、やっぱりかゆいよ。ダニやムカデに刺された跡のように、異様に腫れたり痛む事はないが、諸行無常人生の感慨を自然に。地黒肌人間。昔は虐めてましたが、今は尊敬すべき対象に(古女房)。

12月14日…昨夜7時。「シネマテークたかさき」で『白いはなびら』。観客13名。7割が老人で3割が若者。特徴的なのは老人に婆さんが多い点。これはどの作品でも同傾向。この監督はまだ忘れられてない。フィルム上映。最初の方で画面右上に懐かしい丸印を確認。

 上信線で『ヤンキー母校に恥じる』(河野啓・三五館シンシャ)。まだ半分だが、”ヤンキー第一発見者”のハンパな懺悔本。発見→売り出し→ドキュメンタリ―で成功→ドラマで成功→出版で成功→映画で成功→周囲と衝突教師退職→アベシンのパシリ政治家に。ある意味、この本は利害関係者のマッチポンプ的最終章(死体のバラ肉販売)。そこらが読んでて不快感をぬぐえない理由か。無論、クズ野郎ヨシイエは徹底糾弾されるべきだが、奴に群がって一時はいい思いをしたテレビ局、学校法人、出版社等同業者への執筆者の視線の過剰な優しさが笑止。半年も休暇が取れる職業はこの国では稀有。よっぽど会社に儲けさせたのだな。

 上信ハイヤー労組がストライキと(『東京新聞』群馬栃木版)。羽物一隆記者にしては分かりやすい記事。田端信幸委員長は、「公共交通を対象とするのは心苦しいが…」と述べてるが、それこそがストライキ。立場上もっと堂々としなきゃ駄目じゃん。一番下のベタ記事で、栃木&群馬各県警の犯罪不祥事警官を匿名報道(前者恐喝未遂の43歳の警部補で再逮捕。後者は同僚から数千万の借金をした警視)。何しても実名を報じられず、依願退職で退職金満額ゴッツアンじゃ、警官&検察官犯罪が減るはずねえよ。記者クラブ御用マスコミは犯罪警官培養機関(共犯)。桐生市生活保護費問題で奮闘する同紙だが(今日の紙面にも、訴えた被害者の前橋地裁での審議に触れている)、ドッチラケ。桐生市の福祉課窓口でも、申請者を退職裏金ゴロツキ警官が常に脅迫してたのだし。こいつら、暴対法の対象にしろよ。『永瀬清子詩集』(谷川俊太郎編・岩波文庫)を。なかなか。

12月13日…「高崎電気館」、ホントにインド映画が好き。また18日からインド(ジガルタンダシリーズ)&イーストウッド(マカロニ系)大会。うな丼&カツ丼セット。インド製うな丼は苦手なので、カツ丼だけ何回か喰いに行くか。明日からの、入場無料クリスマス上映会はより謎のプログラム(『かもめ食堂』『怪盗グルーのミニオン超変身』『銀座カンカン娘』他)。公営映画館ゆえの悩みも多いのだろう。

 午前中の湘南新宿ラインで『されど魔窟の映画館/浅草最後の映写』(荒島晃宏・ちくま文庫)読了。面白いと書いたが、それは著者の旧著『映画館のまわし者』(近代映画社)に比べた話で。『名画座番外地/「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記』(川原テツ・アウトロー文庫)や、書名は忘れたが確か「金沢名画座」関係者による類書よりレベルは低い(青っぽい表紙で健さんのイラスト入りだったような)。やたらと涙ぐみ、そういう自分を気持ちよさそうに描写してる部分が非常に気色悪い。私生活へのストイックさをこっちで示せ(吐露ほぼゼロ)。『ニュー・シネマ・パラダイス』本3センチ前。

 飯田橋駅東口界隈個人商店事情。まずいパンでおなじみのファミマ手前。時計とメガネの「甲玉堂」のシャッターは相変わらず下りたまま。ずっと九段寄りで目白通り反対側の薬局、「マルマツ堂」も今年いっぱいで閉店と。両店ともに大いに世話になってたので、心配だし悲しい(前者、まだ特に閉店等の表示はない)。「ドトール」や「アパ」のカレー屋なんか一日も早く閉店すればいいのに。ムカムカ。

12月12日…昨日「シネマテークたかさき」に着いたのが12時30分頃。2本観終えて退館したのが6時30分近く。何せ『二つの季節しかない村』が198分。退屈する駄作ではないし、超不愉快な男を主人公に据えた点は異色だが、アンゲロプロス映画同様に、かく時間を捧げるほどの価値はない(基本的に展開がのろくてくどい)。高価だったフィルム時代は制作者にも自制心があったが。上信線の行き帰りは『過去と思索(一)』(ゲルツェン・岩波文庫)。自伝や回想類にはありがちだが、周囲の人物描写は鋭いのに、自らをとなると飛ばしたくなるような書き手が。ゲルツェンも例外ではない。自分だけでなく、周囲の人物全員を自己顕彰の道具にしてしまう、重信房子タイプに比べれば罪は軽いが(これまた結構多い)。

  朝8時台の上信線で「高崎総合医療センター」の定期健診(3か月に1度)。診察料300円、薬代2000円。高崎駅ビルに戻り、「無印良品」で長袖下着2枚&セーター1枚。6000円チョイ。「くまざわ書店」では『10月はたそがれの国』(ブラッドベリ・創元SF文庫)『されど魔窟の映画館/浅草最後の映写』(荒島晃宏・ちくま文庫)。反社企業サントリー以外の飲み物&お菓子を買った「イオン」のトイレに寄って後、「シネマテークたかさき」。『ビバ・マエストロ!』『コントラクト・キラー』を続けて。観客9名、6名。グスターボ・ドゥダメルを全然知らず、「グルメ映画だと思ってたヨ」と帰宅後女房に話し、鼻先で嘲笑われる。小沢征爾はスト破りで売り出したが、指揮者も色々だな。帰りの上信線で『されど魔窟の~』。書名や装幀は最低だが中身は面白い。

12月11日…文春新書編集部と同じく、同社極右派の巣窟らしい月刊『文藝春秋』。それゆえ驚いてはならないのだろうが、ハンナ・アーレントと三浦瑠璃の対談が実現したのかのごとき大広告(エマニュエル・トッド&成田悠輔)。まあトッドをアーレントと見なすのは極端だな(瑠璃&悠輔は一卵性双生児)。退職した売れっ子人口統計学者の、お金目当ての地方どさ回り営業を、巻頭で仰々しく誇示する同誌編集部のアベシン的厚顔無恥さに啞然。今のテレビ局と放送作家のレベルを連想(昔の放送作家には、出版業界や映画産業何するものぞとの誇りや見識が)。

 「シネマテークたかさき」で、『対外秘』『二つの季節しかない村』を続けて。観客、前者11名、後者3名(後者、全員70台男性老人。ハゲ2人&白髪1人/白髪は俺)。『対外秘』、平凡だが結構楽しめる。ただ肩すかしな終幕で観客の反乱が心配。韓国映画界の余裕を示す1本か。脚本にも穴が多いが、2度殺される内部告発者への描写はあんまり。それをフォローするのが脚本家の職務かと。 

12月10日…職務放棄して高給を食んでる、畝本直美”居直りボンクラ鼻息”検事総長や、東京”無能無策無恥”地検特捜部を見倣ってるんだろうな、兵庫県警。全国のこんなダニ連中扶養してんだもの、各種税金がベラボーなだけじゃなく、70過ぎても働くしかねえはずだよ。飯田橋駅東口の、老人経営の時計屋さんにシャッター。10歳くらい歳上みたいだったし、心配。よくここでで電池交換を。付近の年寄りの社交場でもあった。

 また裏庭で残りの枯れ枝を燃やす(全部処分するにはもう1回)。今日は救急車も消防車も、上空にオスプレイっぽいヘリも姿を見せず、かなり退屈だった(ブレヒト的日常)。堤防を散歩してた幼なじみの爺さんと立ち話。まだ母ちゃんは自宅にいると思ってたらしい。ちなみに母ちゃん、施設に居ながらも自宅で自活してると思い込んでいる。これは入所するかなり前から。こちらも合わせるしかない。

 ミュージカル映画で一番ゾクゾクするのは、カップルが踊り出す瞬間や音楽&舞踏のサビ部分かと思いこんでたが、最近は考えが変わった。ワンサガール集団後方から、ヒロインが「私が主役よ!」と全身で絶叫するように前面に踊り出て来て、周囲のダンサーが内心はともかく、場所を譲り引き立てる瞬間が一番かと(ヒロインは歌舞伎風の見栄を炸裂させる)。『踊るニュー・ヨーク』のエレノア・パウエル、『美人モデル殺人事件』のベティ・グレイブルを見てると、そう思うしかない。

12月9日…山添拓が国会での質問で用いたプラカード。事前の場で自民党から、”軍事費”を”防衛費”に改ざんさせられたと。文字通りの言論、表現の封殺。ゴロツキ裏金機動隊が、暴力的にデモ隊を道路の端に押し込むような暴挙(立派な韓国のデモ!)。こういう些細な事の一つ一つが、民主主義を徐々に窒息させる(逆に世襲ボンクラ裏金自民党議員のグルメ生活を保護強化)。『赤旗』のお陰で議員を増やした立憲民主党の国対は、共産党を守る道義的義務が。薄情な真似を続けてるとまたポイされる。と思ってたら、国賊アベを復権させた張本人の代表が、選挙で維新と提携と。ウスラ馬鹿や犯罪者集団を助けるのが政治家の職務と思ってる、千葉の肥溜めの老イボ蛙。

 この著者の本は富岡高校図書館で借りた『浪漫的亡命者』(’70筑摩叢書)以来だから、50数年ぶりか。朝から『過去と思索(一)』(ゲルツェン・岩波文庫)を。ドストエフスキーが一番嫌ったタイプのロシアインテリだろうが、ドス様のこぶ梨のような甘みと異なる、絹ごし豆腐っぽい余韻が舌に。全7冊と。プルーストの『失われた~』は一巻目で即放り出したが、これは最後まで楽々行けそう。その前にドス様の『作家の日記』も片付けなければ。

 「シネマテークたかさき」で『ラヴィ・ド・ポエーム』。観客11名。90年代のカウリスマキにはスカなし。同館開館20周年記念のカウリスマキ監督特集。兄だか弟が撮ったのもココで観たが、中国市場を過剰に意識した不愉快な凡作だった。19日まで。けっこう未見作があるが、この足の調子じゃなあ。痛み等は全然無いが、指や甲の変色が不気味で(見えないがヒビも日々怖いよ)。

12月8日…俺が気づかなかっただけかも知れないが、小田光雄の追悼記事を眼にしなかった。方々で見掛けた福田和也とは天地の差。確かにネームバリューに落差はあったが、物書きとしては同等の水準だったと(キッパリ!)。福田はともかく、小田には未単行本化原稿も大量にあるだろうし、論創社は是非刊行の英断を。ゾラの品切れ翻訳本の復刊もな。高額でもいいから。

 一時の田中優子並に連日紙面を飾っている、『東京新聞』紙上のデビ婦人の麗しきカラーお写真(買取「まねきや」の宣伝)。気になる点がひとつ。鼻筋に白い縦ラインが1本クッキリ。光の具合だろうがいかにも不自然。修整してあげればいいのに。鼻の整形手術を受けるとああなる場合も多いと。無論、生来の美貌を誇るデビ婦人には無縁な事だが、誤解の元は事前に摘んでおくべき(大津綾香に関しては深~い謎)。『東京新聞』の広告担当者も、大スポンサーへの思いやり不足。

 その後も仕事の合間に読んでた『昭和39年の俺たち』1月号。但馬オサムの”「アヘアへテープの女」小柳ルミ子”にも痺れた。文末の、”ルミ子ににとって乳首の色は女としての履歴書といえるのかもしれない”は特に名文で、シムノンの小説を読み終えた様な感慨を。問題の”アヘアへテープ”ではなく、通称”ルミ子のオマンコテープ”。当時売れっ子風俗ライターだった高田次郎から複写をもらい、こっそり聴いたがおかずになるレベルではなかった。個人的趣味もあろうが。

12月7日…『転売ヤ―闇の経済学』(奥窪優木・新潮新書)を知ったのは『赤旗』書評欄。面白さの中に資本主義の本質をうかがい知ったかのような、執筆者の率直な感想が興味を誘った(無署名短評)。同紙書評欄は今一番信頼出来る(約3割を占める党系列版元本へのヨイショを除く)。『日刊ゲンダイ』も『東京新聞』も、書評に関しては広告主へのお礼奉公&身内仲間ぼめオンリー。五木寛之の連載が何年続こうが眠いだけ。ただ『東京新聞』、ここんとこ田中優子の御真影が掲載されないのでつかの間の安堵を(倍返しの日々到来に脅えつつ)。

 ノーベル賞受賞の被団協。授賞式参加の渡航費用不足でカンパを募ってたが、目標に達したのか?(俺はしてない)。100歳超えで大往生の皇族の葬儀費用に、3億も臨時出費する余裕があるのなら、それ削って全額出してやれよ。衰退一直線国家日本の久々に明るい、文字通り”世界的ニュース”なんだし。米国占領軍、コジキ財界、皇族向け予算だけは超青天井。百姓は生かさず殺さずという、支配者の最後の良心も持ち合わせない狂人支配腐敗国家(徳川家康はアベシン以下よりマトモだった。殺しちゃ独裁者も甘い夢を長期間は見られない)。足、まだ10日以上中敷き歩行せねばならぬと。でっかいドタ靴めっけなきゃな(30センチサイズの靴を無事に「セキチュー」で発見)。

  こんなにも面白かったのか。数十年振りに再読した『明治開化 安吾捕物帖』(坂口安吾・春陽文庫)。ただいくら年月を経ても、かすかに残ってるはずの記憶がほぼゼロ。無論、当時も楽しんだのだし(半世紀ほど前)、小指の爪程度の痕跡はあっていいのに(痕跡本の収集家、最近名前を聞かない)。多分若い頃は、安吾のバルザック的魅力が理解出来なかったのだ。まだ3分の1だが、「冷笑鬼」の素晴らしさにゾクゾク。

12月6日…土踏まずをなるべく地面に付けずに歩いたほうがいいらしく、プラスチック製の中敷きのような物を足に合わせて作ってもらい、包帯で巻いてギクシャクテクテク。確かに緩衝となり飲み薬の効果も加わってか、痛みも大分やわらいだ左足首の周囲(ぷっくり膨れて茶色に変色した部分も)。明日あたりは「シネマテークたかさき」に行きたくてムズムズするだろうが、女房が駅まで車で運んでくれないだろう。ただ月曜日には出社せねば。どういう靴を履いて行くかが問題。

 チャップリンの『黄金狂時代』風の左足を引きずりながら、今日は朝から考え込んだ。結局は思い浮かばなかったが。映画、歌舞音曲、文学、マスコミの自立度、政治システム…。我が神国大日本帝国にも、先行する韓国の後塵を拝せずに済む分野があるのではと(俺にも通俗的愛国心が多少)。王室制度(韓国のそれは、陛下の股肱が殺戮殲滅)、人口、税金、政治犯拘留日数、被疑者有罪率、国会議員の歳費、ネトウヨ人口、エンゲル係数、死刑執行者数、記者クラブ、三権不分立、犯罪警官検事匿名報道、エロ雑誌…自慢になるようなものがほとんどない。無理矢理一つだけ身辺で発見。各表媒体でのエロ描写度。来年は追い抜かれてるか。

 別名ネトウヨ新書の新潮新書はめったに買わない。だが新刊、『転売ヤ―闇の経済学』(奥窪優木)は抜群の面白さ。体を駆使した取材に加えて、文章、構成も巧みでページをめくる手を休ませない。著者が最初から意図したとは思えないが、結果的に中国批判に収れんされる結末は、版元の社是とも一致。商売柄興味を抱いて買ったが、全然違っていた。喫煙中坊と山口組構成員くらいの落差が。

12月5日…先般の入谷コピー文庫の新潮文庫における芥川賞特集。反応が一通も無いと無いと堀内恭編集長の手紙に。俺は結構楽しんだが(でも無精して感想は書かなかった)。奥さんがコロナで慌てたらしい同編集長。相変わらずパソコン&携帯とは無縁な生活を送ってる模様。俺もスマホは単なる携帯でしかないが、パソコンは終日仕事道具だし、その徹底ぶりには恐れ入る。スイカとかも俺同様に無関係のはずだ。生ける化石に乾杯!

 ネトウヨ新書みたいなのでめったに買わない新潮新書の新刊、『転売ヤ―闇の経済学』(奥窪優木)が抜群の面白さ。体をぶつけての取材に加えて、文章や構成も巧みで読者のページをめくる手を休ませない。著者が意図したとは思えないが、結果的に中国批判めいた部分も多く、版元の社是とも合致。俺の副業と少し似てるからとの興味で買ったが、全然違ってた。喫煙中坊と山口組構成員くらいの落差が(基本は同じだが)。

 秋篠宮もいい度胸。主権者の批判を”いじめ”としか捉えられない思考水準の王族は(批判を中傷と言い換える腐敗政治家を連想)、彼らの経済的庇護から即刻離脱すべきだ(一家総皇籍離脱)。自活後の批判なら御自由に。夫婦そろっての公然たる息子東大裏口入学への道程の恥ずかしさが、まったく理解出来てない。裏口入学はコソコソとするのが筋。国費でアウトバーン裏口街道を開通させるが如き行為は、皇統史上最大の汚点になるとの常識に考えが及ばないとは(実に嘆かわしいと、天皇制即刻廃止論者の俺でさえ)。これを傍観してるだけの右翼にも存在価値ゼロ。

 『昭和39年の俺たち』1月号。石立鉄男、NMC、市原悦子と高鳥都が大奮迅。しかもどれも面白い(俺的には市原悦子編が一番)。これで藤木TDCがペイントロボのように脳溢血で倒れ、下半身不随になっても同誌編集部は安心だ。脳溢血ほどではないが、自室で捻挫した模様(血行が悪いのに無理して立ち上がり、力が入らずあえなく転倒)。左足くるぶし周囲が妙に痛むので市内の病院に。ひびが入ってると。しばらく静かにするしかない。11月は18本しか映画見物が出来ずに猛省。今月は必ず20本クリア―と意気込んでたが、微妙な状況。

12月4日…昨日のたき火の最中、終止上空を米軍だか自衛隊だか分からんが、オスプレイ風のヘリがしつこく旋回。ポンコツ棺桶兵器と言われてる機種の最新覗き見装置なら、下で繰り広げられてたイヨネスコ的光景も確認できたのだろうな。ただ米国占領軍兵士だとすると、暴政への忍耐力だけが売りの植民地住民など興味の範囲外か。逆に面白がって爆弾の一つも落としたくなる可能性が(自衛隊員だとしても)。無料サンドバッグがあれば、誰でも試しに数発パンチを見舞いたくなるのが人情。韓国じゃ有料だが(しかも相当の高値)。

 高崎線で『みすてりい』(城昌幸・創元推理文庫)。痺れるほどいいって作風じゃないが、ハッタリだけの『暗黒公使』(夢野久作・春陽堂文庫)に比べればよっぽど楽しめる。常識人面した人間の変態性の漏れが魅力的(美女の放屁を嗅がされるかのような)。長期間「神保町シアター」に行ってない。ポイントカード、失効しちゃうのかな。ホントどうでもいいけど。「早稲田松竹」、夕方行ければいいけど。

   「早稲田松竹」で『関心領域』。観客30人前後。予想外の愚作。いいアイディアなんだから、ホラーテクも導入してシンプルに仕上げれば間違いなし…だったはずなのに、演出者の実力を伴なわない芸術的野心でメタメタに。無意味な基本ロングショットに加えて、思い入れたっぷりに真っ暗な場面を強制する前半字幕。無意味な所長の河での棒立ち。、小窓の光ダラダラダラ…馬鹿丸出し。ナチをイスラエルに、ユダヤ人をパレスチナ人に見立てて見物する予定が、アホ監督のお稽古映像に付き合わされて雲散霧消。

12月3日…超題名負けした凡作『暗黒公使』(夢野久作・春陽堂文庫)は、四方田犬彦の解説まで例によって激下らなかったのでイライラ。だが引き続き行き帰りで読了した『僕のは名はアラム』(サローヤン・新潮文庫)は、「三人の泳ぎ手」「オジブウェー族、機関車38号」が、他を圧して面白かったので満足。柴田元幸の訳者あとがきも、”商売品”を無理に持ち上げる事なく冷静な筆致(アホな訳者は必ず過大評価してシラけさせる)。下らないのも多かったが、お陰で読後感良し。

 数日前の午後の上信線高崎駅改札出口。急いでたので定期をサッと見せて抜けようとすると、見慣れない白豚風の駅員が「そこのお客さん!」と、オーバーにすがりつく。不正使用客っぽかったから仕方ない。ゆっくり提示。所がコイツ、「あっどうも!」と言えば瞬時に済むのにしつこくグダグダグダ。頭に来たので定期を、そいつのメガネにグリグリ押し付けて去る。後ろでまだブツブツ。上司や同僚にいい顔したかったのだろう。相手を選べよ。

 午後3時過ぎ裏庭で、女房が伐採した垣根で割と派手にたき火。いきなりピーポー音。誰かが消防署にチクった?(野焼きの類いは一応法律違反)。だが姿を現したのは救急車で、400~500メートル離れた隣村の民家裏手に駐車。病人、重症じゃないといいが…と思ってると今度こそは真っ赤な消防車が1台。だが道路から30メートルくらいしか離れてない俺のたき火現場など完無視、先行救急車の近くに停車。隊員も数名現場に走ってったようだ。単なる病人じゃないのか? その後、40分前後そのままの膠着状態。野次馬はほとんど集まってない。4時頃になり両車両も去った。どういう緊急事態だったのか? その間俺は、なるべく目立たたないように枝を少しずつ燃やしてた。

12月2日…意味不明な邦題だな、『国境ナイトクルージング』。字幕の原題はもっと単的でシンプルと推測するが。同監督の旧作には、『イロイロぬくもりの記憶』なんて代物まで。配給会社に恵まれない人(配球2社のうちの一社のニュー・セレクトは、洋ピン配給大手だった)。濡れ場描写は『太陽の少年』の頃より厳しくなってる感じ。”三木のり平”の尻は見せるが、”シムカス”の乳首は封印。一方で男女を問わない喫煙場面の多さには衝撃。絶頂だった前世紀末のホウ・シャオシェン映画関係者の多くが、肺ガンで死に絶えてると想像してるが、本作関係者も20年後には同じ運命をたどりそう。でも国家に命を捧げて喜んでる愛国馬鹿、コケ脅しの鮫&蛇、ヤボなセパレーツ水着の姉チャン等が一切出てこない中国映画は、それだけで貴重。合作映画では互いの国での公開版内容が異なる場合も多い。本作はどっちなのか不明。同じ場合もあろうが、シンガポールがオッパイもお尻も見せない野蛮国家とも思えない。

 イカれた兵庫県知事の味方宣言してるらしい宮崎美子。80年代前半に出た本多勝一の『貧困なる精神12』(すずさわ書店)では対談も行い、帯に自らの写真まで(ジャーナリスト志望だったと)。ボケたのか機を見るに敏なのか不明だが、太田光や志らく、ほんこんや三浦瑠璃よりはるかに長い芸能界生活のせいか、愚かさにも一種の神々しさが。”婆さん巨乳ネトウヨ”が誕生する日も近いのか。

 「シネマテークたかさき」で『SUPER HAPPY FOREVER』。観客11名。題目センスで作品レベルは覚悟してたが、遙かに期待を上回るハイステージ。こんだけ不愉快な場面が続く映画もマレ(特に前半)。しかも後半は前半での過去説明ネームをまんま芸なく映像化。魅力なき主役カップルが、ファミマ前でカップ麺を「うまい!」「おいしい!」と叫び合う醜態に耐えきれず、20分残して退館。台詞が7割程度聴き取れたのだけが収穫か。邦画の臆病な幼児性の検証にはなる。ホラー映画の厚顔な通俗的豆知識ご披露にも赤面。

12月1日…小中陽太郎で思い出したのが、明大べ平連のYさん。温厚な性格で党派を超えて人望もあり、明大夜間部学生運動の象徴的存在。うろ覚えだが、俺が入学する前年の学費値上げ反対闘争で、明大付属中野高校かどこかで逮捕された被告でもあったはずだ(1度だけ東京地裁の”公判闘争”にもヘッピリ腰で参加)。明大は反帝学評(社青同解放派)が牛耳ってたが、その支配形態は早稲田の革マル派と異なり、比較的緩いもので各党派、集団にも干渉しなかった。ところがある段階で(内ゲバでやられっぱなしだったのが要因と推測)、「革マル派を見倣え!」とばかりに、自派に従わない活動家追放に路線転換(一緒にデモや集会をしてた、昨日までの仲間に千枚通し他でテロ攻撃を)。結果的に相当数の勤労学生が大学を中退せざるを得なくなった(ホントに酷い奴ら!)。Yさんはその筆頭で、分不相応な都会派美人の彼女と故郷の東北へ。卒業後に1度だけ神保町で遭遇(彼女も一緒だったような)。疲労感一杯で妙に歳とって見えた。余り話さずに別れた。その虚脱感に満ちた姿は、直前に明大新学館前の階段に座ってた、元学苑会委員長Sさんとソックリだった(通称Sちゃん。最初はホームレスかと思った)。Sさんも人望があり、党派の便利な使い駒に長年(緩い支配時代の顔)。俺が会ったのは出獄直後。喋るの自体が苦痛そうだった。2人ともお元気ならいいが。俺は自分で牛乳配達して稼いだ、初年度入学金他がもったいないので(総額でも10万台だったと)、”青虫”(革マル派の反帝学評への蔑称)の蛮行にも眼を塞いでおめおめと卒業し、苦界に身を。昔から思想信条より身の安全や小金を大事にする姑息な性格だった(反省はしてないが)。 

 誰が流行らせたのか? 雑誌にノンブルを打つ場合に、表紙1枚を除外して2枚目トップからを1ページとする悪習。ホントにおかしいし腹立たしい。台割用紙は1ページから始まってるはずだ。表紙だけ台割枠の外に追いやるのか? 体験的に言うと、スカした糞雑誌ほどこの悪習に罹患(『夜想』っぽいのはほぼそう)。たまに違う雑誌にぶつかると(商売柄頻繁にノンブルチェック)、うるう年に1度くらいしかない経験だが、電車内で日本人の若者に席を譲られたような気分に(ほとんどの場合に親切な乗客は、欧米やアジアを問わない外国人なので)。

 「シネマテークたかさき」で『国境ナイトクルージング』。観客20名前後(映画の日で入場料1000円均一)。70点級の秀作。アジア版『冒険者たち』。主役はアラン・ドロンと言うよりは三木のり平に近いし、佐藤慶似のリノ・バンチュラは子連れ。ヒロインのジョアンナ・シムカスに至ってはチビでペチャパイという大相違は。でも20世紀の映画マニアはクスクスクス。中国&シンガポールの合作だが、広大な中国の閉塞感リアルに描写(検閲者にゴロを巻かせない巧妙な手法で)。脚本監督のアンソニー・チェン。有能かつ巧妙で戦闘的。現独裁政権も永遠じゃない。佐藤慶似が国境を超えんとして官憲に捕まる場面。切られぬ前の完全版を観たい。


11 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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本州でもそんな事が (ぷうぺら)
2024-12-01 14:30:39
はじめまして。当方九州のはしっこでデザイン業務に携わっています。ノンブル問題、地方の悪習かと思っていました(行政の広報誌や病院の定期刊行物などがこの類い)。偶数ページに奇数のノンブルは入力作業時に頭がバグります。昭和人間には引っ掛かっても、2010年代から仕事始めたデザイナーは気に留めずに作業しています。注意する人間に出会わない率増えるのが、個人で賄えてしまうデジタル環境のデメリットかと。
動画で拝見できる「エロスの真相ch.」、気長に待ってます。
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目に余るデザイナー特権。 (塩山芳明)
2024-12-02 07:53:06
 これも最近目立つ。装丁を装幀、あるいはデザイン、造本、ブックデザイン等と表記するまでは、うるさいがまあ我慢の範囲(文字数の多さに比例、センスは悪いのが普通)。
 ムカつくのが自らの名前に続いて、会社名、弟子の名前、女房、愛人(?)等までゾロゾロ並べる自己顕示中毒患者。啞然。執筆者に助手や協力者を、目次や扉に並べる恥知らずは居ない。ノンブル問題の多分根源でもあろう痴呆デザイナーのバッコは、NHK党代表並に害毒を全国に。
 在日特権など完全な虚偽と証明済みだが、いかれた地方の文学館、美術館の図録を見ると、こちらは実在するなと。投稿者は違うと確信してますが。
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Unknown (Unknown)
2024-12-03 16:12:14
動画で見ると小心者の媚びへつらった老人なのに、文章だとネット弁慶。
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枯れ木も山のにぎわい。 (塩山芳明)
2024-12-04 07:41:24
 川の向こうから覆面のまま小石投げるような、紋切り型投稿じゃまず無理だが、当方が老人性うつ病になるような、工夫と悪意ある投稿を期待したい。ホントはどうでもいいけどね。
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Unknown (Unknown)
2024-12-08 03:44:26
素晴らしく面白い本を読んだ直後に記憶を無くしてもう一度読みたい!ということは良くありますが、再読なのに内容が記憶になくてまたすごく面白く読めるってとってもお得で素敵ですね
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Unknown (Unknown)
2024-12-09 03:52:11
買取「まねきや」の宣伝、youtubeにあったので見てみましたが動画だと全然気になりませんでした。ハイライトっていうのでしょうか、鼻筋をシュッとしてみせるお化粧なんだなと(しらんけど)
デヴィ夫人が整形だと疑われないか心配してしまう塩山さんは繊細なジェントルマンですね
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暖冬だな。 (塩山芳明)
2024-12-09 23:14:48
 安吾捕物帖。春陽文庫未収録作も再読せねば。勝海舟は同作登場キャラとは異なり、超俗物だったという本を読んだな(書名失念)。デビ夫人に関してはやや誤解がある気もするが、拙文のせいなら御免なさい。
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Unknown (宮本信)
2024-12-25 00:12:18
ハルノ宵子の晶文社版吉本全集の月報文をまとめた『隆明だもの』、視点が透徹としてとても良かったです。漫画家としての仕事は全く知りませんが。
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晶文社 (塩山芳明)
2024-12-25 07:09:49
 経営陣が変わったゆえだろうが、吉本隆明の全集が晶文社から出た際には驚いた。新日本出版社がトロツキー全集を出すほどでもないが、出版社も生き物だなと。ただ同社の本、長い間買ってない。企画が左右社とかの生ぬるさと同レベルだし。そういや青林堂の噂を最近は聞かない。
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Unknown (hata)
2024-12-28 21:58:19
「三省堂」:「2006年初め」←「2026年初め」では? ただ、21世紀に入ってからの年月の過ぎ方はどんどん速くなり、2006年も「ほんのちょっと昔」という感じですな。
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