曼荼羅大学

 

おれの自転車のサドル抜いて、代わりにうまい棒挿したバカ出て来い。

フルメタル・ジャケット

2009年11月28日 | 外国映画



人間が狂う様、葛藤する様を説得力十分に、かつあれだけスマートに見せる監督はさすが。
ハートマン軍曹のおかげで緊張感が持続する前半部が特にいい。
前半部ではフルメタルジャケット(完全被甲弾)の製造過程、すなわち新兵の訓練過程が描かれるが、
「口でクソたれる前と後に『サー』と言え!分かったかウジ虫!」
「人種差別は許さん 黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん!すべて平等に価値がない! 」
「パパの精液がシーツのシミになり、ママの割れ目に残ったカスがお前だ!」
「まるで、そびえ立つクソだ!」
「じじいのファックの方がまだ気合いが入ってる!」
とまぁみんな大好き罵詈雑言が矢継ぎ早に浴びせられる。
ハイライトでは冷たく不気味なBGMが盛り上げるが、エンドロールとともに流れるストーンズの「Paint It, Black」の選曲がいいね。






青春デンデケデケデケ

2009年11月28日 | 日本映画



60年代後半、香川の観音寺を舞台に高校生がロックバンドに青春をかける。
バンドメンバーはみんないい奴で、純情。
メンバー以外の主要な登場人物も、戯画的なクセはあっても基本いい人。
そこを「ありえない」と批判することもできようが、この映画は「青春デンデケデケデケ」だ。
青春はひねくれた人間には訪れないものだし、ひねくれた人間は青春の風景に水をさす。
これでいいんです。
日常生活の一挙一動に垣間見えるメンバーひとりひとりの個性。
こういう奴いたなー、自分にもこういうところあったなーと思い出す。
何より卒業を意識しだした時の寂しさを上手に表現できていたのがよかった。





白痴

2009年11月28日 | 日本映画



ユーウツでギスギスした雰囲気とモノクロ画面の陰影がマッチしていて好きだ。
話の筋は冒頭字幕で示される。
「原作者ドストイエフスキーはこの作品の執筆にあたって、眞に善良な人間が描きたいのだ、と云っている。
 そして、その主人公に白痴の青年を選んだ。皮肉な話だがこの世の中で眞に善良であることは白痴<バカ>に等しい。
 この物語は、一つの單純で清浄な魂が、世の不信、懐疑の中で無慙に亡びて行く痛ましい記録である。」と。
「單純で清浄な魂」の行く末を上手く表現できていたかと問われればまず失敗だろうが、そこは妥協せざるをえない、仕方のない部分だろうと思う。
疑うこと、憎むことを知らぬ主人公と並置されることで浮き彫りとなる(正常とされる)人々の愚かしさ、主人公が絡む波乱含みの愛憎劇は身につまされるところがあった。
特筆すべきは役者の熱演で、どのシーンも舞台を見ているかのような迫力がある。
みんないいんだけど、やはり原節子の存在感、表情の演技は鮮烈。
時に過剰すぎるぐらいだが、女優然としてて好きだった。
2時間半を超える長さがあるし、中盤ちょっとダレるが、芯のしっかりしたいい映画だと思います。






イングロリアス・バスターズ

2009年11月26日 | 外国映画



ハマらなかったなぁ。
この映画のテーマは復讐、殺戮。
劇場における作戦決行が最大の見せ場だが、これが大味なつくりで監督の趣味性が炸裂。
趣なんてクソ食らえ、とにかく一匹でも多く殺せ!っていう湿り気のなさすぎる大量虐殺。
ヒャッハー!ってなれなかった観客は蚊帳の外だろう。
映画全体にわたってあぁいう悪ノリについていけるかが評価の分れ目だと思う。
部分部分で見ていけば、ニンマリするようなシーンは多々あるし、いい働きをした役者もいっぱいいたのにな。
第4章の会話劇なんか、無駄話を楽しみつつ、<さぁいつ始まるんだ?>とお決まりのパターンを存分に楽しませて頂いた。
第5章初っ端のボウイの曲がかかるシーンはクールだったなぁ。







スラムドッグ$ミリオネア

2009年11月23日 | 外国映画



アカデミー賞作品賞、監督賞ほか多くの賞をかっさらった作品。
周知のクイズ・ミりオネアのルールや音楽が効果的に用いられていて、娯楽性に富むつくり。
一番興奮したのは主人公の動向を見守って、インド中が盛り上がるシーン。
音楽の効果が絶大(下の動画の1:33秒以降の部分)!
でも、やっぱいまいち。
主人公もその兄も、主人公が一途に思いを寄せる女性もあまり魅力的に見えなかったことが大きい。
平板もしくは中途半端。
人物の心変わりのきっかけもよくわからなかった。
貧困だの宗教紛争だのインド社会の暗部にもスポットライトを当てているのはいいが、ショック療法のごとき見せ方をしてくるから好感をもてない。
「クソまみれ」みたいな笑えるエピソードがもう少しあれば変わったかも。









晩春

2009年11月23日 | 日本映画



これはうん、いい。
婚期を逃しつつある娘・原節子とその父・笠智衆。
この父娘の愛情関係、心の動きが主題だが、お互いが気持ちを探ろうとする時に「何が?」を連呼するところなんか妙にリアル。
最初は原節子の演技に違和感を覚えるも、すぐに馴染み、その愛らしさに心を奪われた。
父さんも上品で朴訥で、素敵。
娘の父に対する思いの大きさから、近親相姦的、エレクトラコンプレックス的とも揶揄されるようであるが、僕はそこまで大事なこととは思わなかった。
本筋と関係ない日常会話に調子外れな感じがあって面白い。





男はつらいよ 寅次郎相合い傘

2009年11月22日 | 日本映画



レールから外れた生き方をしているが、気丈で明るく、人情味のある三流歌手リリー。
映画を見ると彼女が歴代マドンナの中で一番人気だというのがよくわかる。
いいなあっていうやり取りは色々あったんだけど、やっぱ有名な「メロン戦争」は印象に残るね。
リリーも含め、よくできたホームドラマだと思いました。






蜘蛛巣城

2009年11月22日 | 日本映画



黒澤明によるシェイクスピア『マクベス』の翻案物。
権力欲に取り付かれた男が暗黒面に堕ちて破滅するというお話はよくあるから、その面では刺激に乏しい。
しかし、靄なんかの視覚効果がいいし、役者の演技(特に山田五十鈴)もよくて退屈はしない。
象徴的に用いられる兜が印象深い。






雨月物語

2009年11月06日 | 日本映画



予告編の言葉を借りれば、「美しい幻想と厳しい現実との交錯」。
ストーリーがドラマチックで、後半一挙に畳み掛けてくる。
まっすぐな出世欲、夢をかなえるんだという思いが自分や大事な人を破滅させるというお話なんだが、これが今の自分にとっては示唆深かった。
あと、戦(争)は生活を滅茶苦茶にするというのをリアルに感じさせてくれる。
とにかく画がきれいで、うっとりする映画。
是非名画座で見たい一本。








殺人狂時代

2009年11月06日 | 日本映画



1967年の作品だが、まったく古さを感じさせない傑作。
テンポよく展開する荒唐無稽なストーリーと全編を貫く洒落っ気、茶目っ気。
仲代達矢のヌケ作っぷり、天本英世の気狂いインテリっぷり。
どことなく漂うドイツ表現主義の雰囲気。
仲代演じる主人公の「のぞけ!」って台詞が意外性抜群で好きでした。





竜馬暗殺

2009年11月06日 | 日本映画



なにやらアートくささの漂うドキュメンタリータッチの映画。
竜馬最後の3日間を淡々と描く。
竜馬と周辺人物との軽妙なやり取りはおもしろいが、人物の内面の描写は不親切でドラマ的魅力は皆無。
行動原理が明確な竜馬だけが光って見えたな。
原田芳雄演じる野性的な竜馬は色気があってよかった。