人間が狂う様、葛藤する様を説得力十分に、かつあれだけスマートに見せる監督はさすが。
ハートマン軍曹のおかげで緊張感が持続する前半部が特にいい。
前半部ではフルメタルジャケット(完全被甲弾)の製造過程、すなわち新兵の訓練過程が描かれるが、
「口でクソたれる前と後に『サー』と言え!分かったかウジ虫!」
「人種差別は許さん 黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん!すべて平等に価値がない! 」
「パパの精液がシーツのシミになり、ママの割れ目に残ったカスがお前だ!」
「まるで、そびえ立つクソだ!」
「じじいのファックの方がまだ気合いが入ってる!」
とまぁみんな大好き罵詈雑言が矢継ぎ早に浴びせられる。
ハイライトでは冷たく不気味なBGMが盛り上げるが、エンドロールとともに流れるストーンズの「Paint It, Black」の選曲がいいね。
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ユーウツでギスギスした雰囲気とモノクロ画面の陰影がマッチしていて好きだ。
話の筋は冒頭字幕で示される。
「原作者ドストイエフスキーはこの作品の執筆にあたって、眞に善良な人間が描きたいのだ、と云っている。
そして、その主人公に白痴の青年を選んだ。皮肉な話だがこの世の中で眞に善良であることは白痴<バカ>に等しい。
この物語は、一つの單純で清浄な魂が、世の不信、懐疑の中で無慙に亡びて行く痛ましい記録である。」と。
「單純で清浄な魂」の行く末を上手く表現できていたかと問われればまず失敗だろうが、そこは妥協せざるをえない、仕方のない部分だろうと思う。
疑うこと、憎むことを知らぬ主人公と並置されることで浮き彫りとなる(正常とされる)人々の愚かしさ、主人公が絡む波乱含みの愛憎劇は身につまされるところがあった。
特筆すべきは役者の熱演で、どのシーンも舞台を見ているかのような迫力がある。
みんないいんだけど、やはり原節子の存在感、表情の演技は鮮烈。
時に過剰すぎるぐらいだが、女優然としてて好きだった。
2時間半を超える長さがあるし、中盤ちょっとダレるが、芯のしっかりしたいい映画だと思います。
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ハマらなかったなぁ。
この映画のテーマは復讐、殺戮。
劇場における作戦決行が最大の見せ場だが、これが大味なつくりで監督の趣味性が炸裂。
趣なんてクソ食らえ、とにかく一匹でも多く殺せ!っていう湿り気のなさすぎる大量虐殺。
ヒャッハー!ってなれなかった観客は蚊帳の外だろう。
映画全体にわたってあぁいう悪ノリについていけるかが評価の分れ目だと思う。
部分部分で見ていけば、ニンマリするようなシーンは多々あるし、いい働きをした役者もいっぱいいたのにな。
第4章の会話劇なんか、無駄話を楽しみつつ、<さぁいつ始まるんだ?>とお決まりのパターンを存分に楽しませて頂いた。
第5章初っ端のボウイの曲がかかるシーンはクールだったなぁ。
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アカデミー賞作品賞、監督賞ほか多くの賞をかっさらった作品。
周知のクイズ・ミりオネアのルールや音楽が効果的に用いられていて、娯楽性に富むつくり。
一番興奮したのは主人公の動向を見守って、インド中が盛り上がるシーン。
音楽の効果が絶大(下の動画の1:33秒以降の部分)!
でも、やっぱいまいち。
主人公もその兄も、主人公が一途に思いを寄せる女性もあまり魅力的に見えなかったことが大きい。
平板もしくは中途半端。
人物の心変わりのきっかけもよくわからなかった。
貧困だの宗教紛争だのインド社会の暗部にもスポットライトを当てているのはいいが、ショック療法のごとき見せ方をしてくるから好感をもてない。
「クソまみれ」みたいな笑えるエピソードがもう少しあれば変わったかも。
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Yeah Yeah Yeahsが来年1月、来日とな!!
やっときてくれるかー!!
ひいいいいいいやあああああ!!!