この映画はさながら幕の内弁当。
上映時間も3時間近くのボリューム。
歴史大河であり、スポ根ものであり、ラブ・ストーリーであるが、どこをとっても見ごたえ十分の大作。
2人の京劇役者と1人の女の悲しき結末に、ただただ心が痛む。
終盤の批闘大会のくだりは目を背けたくなるほど残酷だった。
かつて娼婦であったことを衆前で暴露され、夫にあんな淫売など愛していないと宣告されたときの妻(コン・リー)の表情が脳裏に焼きついている。
本作には中国人が文革を見つめなおし、その欺瞞を暴いた歴史的価値がある。
本作がただの歴史大河で終わらなかったのは、程蝶衣(レスリー・チャン)が耽美主義者で同性愛者だったから。
京劇のメイクをした時のレスリー・チャンは美しく、女性というよりは世俗を超越した何かだった。
彼の女に対する嫉妬心の露骨さも見もの。
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