汚物にうごめく
無神経な生き物
あちこちに痰や唾
異様な乾きに
喉に悲鳴の声
枯れた空気
放射線状に散る
喉の悲鳴が切れる
網膜の映像には
何も映っていない
何もない
澱むものもない
漂うものもない
思考のカケラも
感情のカケラもない
気だるさが
頭の先から
足の先まで
ずっしりと
のしかかる
思考を止め
感情を乱し
浮遊する神経
チグハグな動き
苛立ちが走る
主のいない
館にたむろする
不純な感情
白痴のせせら笑い
嘔吐を撒き散らす
いつものことながら
思案に暮れて
袋小路に入って
思わず
手を合わしている
知らず、知らず
祈りに導く
この仕草
いつも誰かと
一緒なんだなあ
思案の袋小路
いつも闇の中
いつも寒々と
いつもいつも
凍りついている
目の前の
袋小路の先に
誰かが
明かりを灯して
手招きしている
その灯り
凍えた体を
凍えた手足を
凍えた心を
包んでくれた
絡めた手のひらの
指の結び目
凍えたまま
開かないまま
胸に抱いていた