前回からの続き。
鈴木直道市長の話は、最初は財政破綻に関する経緯から始まって、その後に参加者からの質疑応答という流れになった。
「財政破綻からどう立ち直っていくかが問題。お金を返すだけならサービスを考えなければ可能。でもそれはまちを疲弊させる」。街を疲弊させずに借金も返し、夕張を復興させるにはどうすればいいのか。
座談会で出た内容は以下の通り。
・DMV(デュアル・モード・ビークル)を使うことでバスの待合室が鉄道の駅にもなる。住宅の再編だけでなく、交通も有機的に機能することが可能!
・市長の給料手取り19万。交通費、交際費なし。本州の講演会に行く交通費も他のイベントとタイアップして捻出するなど、工夫している。
・新しいものを創らず、古いものを活かす。
・夕張新聞といった、地元民のブロガーによる情報発信も行っている。
・カタールにメロンを輸出。一玉100万円でも購入するアラビア人はたくさんいる。
・反面教師としての夕張を題材にしたドキュメントを制作している集団がいる。ベネッセの教材でもインタビューを受けたり、JTBとタイアップした夕張ツアーも行っている。
※ダークツーリズムとしての夕張は面白いはずだ!
・廃校利用として、使用条件を無料にして使って欲しい。
・夕張は市の施設が多いので維持費が大変。
・図書館と学習塾もないので、子どもたちの集まる場が必要。錬成会が夏期合宿を行っている。
・老人の集まる場はたくさん有り、
・夕張国際映画祭は、6千万円ほどかかる費用のマネタイズが大変。市は一円も出していない。スポンサー募集中です!
などなど。
夕張は、65才以上の割合が45.9%で日本で一番高齢者が多い。産業がなくなり若者が流出など、マイナスのカードだらけに見える。
だからこそ、である。
逆手に考えると、プラスに転じることが出てくるはずだ。
人口減少モデルの最先端を走っている夕張は、日本の未来をリアルタイムで経験できる。これは巨大なアドバンテージだ。先例がないゆえの難しさはあるが、だからこそ、突拍子もないアイデアを実現させやすい。夕張を考えることは、日本の未来を考えることと同義だ。夕張発の新しい事業は、日本をよみがえらせる先進的なロールモデルとして、ピンチをチャンスに変える起爆剤となるだろう。
そのためにも、周りの市町村や有志の人たちとの連携も不可欠だ。札幌に住んでいる人たちが、もっと夕張を活用して面白いことを創出し、発信していく必要がある。
埼玉出身、元東京市職員で「夕張を夕張だけで見てはいけない」と話す鈴木市長の視野は果てしなく広い。中央との太いパイプを持ち、「自分を上手く使ってほしい」と自らを広告塔に持ち前のフットワークの軽さで縦横無尽に飛び回り、人を引きつける明るいオーラを漂わせる鈴木市長。「夕張なんてなくなった方がいい、と言う人がいるが、なくせるものならなくしてみろ、と言いたい」と、ひるみ無く毅然とした態度も心強い。鈴木市長からは見習うところだらけだった。
終了後は、参加メンバー何人かと食堂で夕食をとり、夕張市に貢献。この夕鹿の湯も市の施設でもあるのだ。引き続き、夕張の問題については今後も考えていきたい。