第79回アカデミー賞が発表された。日本人女性で助演女優賞にノミネートされた菊池凛子は惜しくも受賞を逃したとはいえ、現在沸騰中である。一躍時の人になった菊池凛子だが、去年スガイで行われた映画イベント「寺島進ナイト」で公開された熊切和嘉監督の『空の穴』のヒロイン役の女性が菊池凛子であることを思い出した。『空の穴』では菊池百合子という名で出演しており、当時は全くの無名の存在だった。「寺島進ナイト」から半年後に世界が注目する女優に飛躍したことに驚きを覚えてしまう。あの情けないダメ男のヒロイン役ではその才能はまだ十分に発揮されていなかったが妙にハマっていたのは確かだ。出演作の『バベル』はメキシコの奇才アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの新作だから期待せずにはいられない。
一方でアカデミー外国映画賞を受賞したのは、やはりというか当然というか『善き人のためのソナタ』である。シアターキノでの公開が待ち遠しい。脚本賞は『リトル・ミス・サンシャイン』で、偶然にも現在蠍座で公開中である。その蠍座ではロシア映画特集がかなり長いこと続いていてる。ソクーロフの『太陽』はスガイとシアターキノに続いて三度目の上映である。悠仁親王が生まれた前後にこの作品が一般公開されたのは何かの偶然かもしれないが、昭和天皇を演じた主演のイッセー尾形は実によくやったと思う。『カラマーゾフの兄弟』も二度目の上映が今週行われている。これを逃すと3時間半近いこの作品を劇場で見る機会は今後皆無に等しい気もする。いずれにしても話題作や質の高い作品がリアルタイムで劇場で公開されるのは何とも楽しみなことは間違いない。観てきたらまたレビューを書きます。