L'Appréciation sentimentale

映画、文学、漫画、芸術、演劇、まちづくり、銭湯、北海道日本ハムファイターズなどに関する感想や考察、イベントなどのレポート

札幌限界研究会

2013-03-29 22:25:32 | アート・文化

という謎の組織(と言えるほどカッチリしたものではない)を頼まれたわけでもなく勝手に立ち上げましたw

つい先日も2050年の札幌についてのイベントを行ったばかりだが、今回のテーマは「札幌の限界」である。札幌は200万人近くの人口を擁する都市でありながら、文化的事業を行う際、人が集まらない、いつも集まるのは同じメンツばかりなどと言うことがよくある。もちろん、多くの人が押し寄せて賑わっているイベントや団体もあろう。問題は、サステナブルな仕組みを作って多くの人を呼び込むか、である。その辺のノウハウも、意味もなく集まるような場所もトークライブの会場となるハコも札幌は未整備なままだ。いくら住んでみたいと都市ナンバー1に輝いても、文化的な面の改善余地はたくさんある。
   
そこで、「札幌の限界」をありとあらゆる角度から徹底的に浮かび上がらせ、新たな突破口を探って札幌に希望を見出すために、本音炸裂のトークイベントを決行。時間無制限ではてしなき札幌論を展開し、様々な知見、大胆な仮説をいくつも提示しながら、札幌の根源に迫っていこうという試みである。真の創造都市札幌とは何か?USTREAM中継予定

【要 項】
・会場: SAPPORO UNDERGROUND「NECCO」
・時間: 3月30日土 19時開場、20時頃開始、21時頃からUst中継
・会費: 飲む人 2000円、飲まない人 1500円、中・高校生 1000円
・備考: 21時頃からテーマトークをUstream中継予定


どうぞよろしく!


無事終了!

2013-03-19 17:36:02 | アート・文化

一年ほど時間を費やして準備してきた札幌オオドオリ大学の授業 「勝手に札幌のマチの未来像をわりと具体的に考えてみた ――藤村ディレクターと13人のゼミメンバーが、未来について熱く語ります」が先日土曜日に行われた。2050年の札幌はどうなっているかを月一回、藤村さんとメンバーが集まり、ひたすらディスカッションして意見を出しつづけた集大成である。自分もゼミメンバーとして会場のKRAPSホールの舞台に立って発表を行ったわけだが、藤村Dに「声が聞き取りずらい」という指摘をうけるなど、自分のダメな部分がもろに出てしまった。初のUSTREAM中継だったし、やっぱ緊張するとだめだなぁ。

大喜利形式のメンバー自己紹介、4つの分科会(交通、教育、仕事、自然)からの報告、報告を受けて参加者とのワークショップ、意見発表など3時間で相当濃い内容だったと思う。自分が担当したのは2050年における札幌の仕事について。2050年の札幌では「会社<個人」となり、個人が企業に雇用される形式ではなく、コミュニティーやプロジェクトに人が集い、お金だけではなく充実した体験や刺激を得ることがメインとなり、無駄と思われることが奨励され、誰とでも社会と接点が持てる仕組みがいくつもある。社会との接点として「ニート発電」(!)のような仕組みがある。

これらの内容は、リンダ・グラットン『WORK SHIFT』(プレジデント社)とも重なり合う部分が多い。2050年は『WORK SHIFT』よりも25年先の未来だ。個人が主体となっていくのは、世界的な流れとして少しずつ加速していくだろう。では、札幌の固有性は何とどう違うのか、という問題があるが、それについては自分なりのまだ答えが出ていない。

今回の報告会は、話し合って出た結論というよりは、話題提供である。あえて「決めないこと&答えを出さない」方法によって、「ではどうでしょうか?」と提言する。そこから何か新しい気づきを得ることができれば、十分意義があることだ。コミュニティーが立ち上がるなど、新しい動きがあれば言うことはない。一番のポイントは、まちづくりはかくあるべし、という「べき論」を極力排することだ。「○○でなければならない」という理論に収斂したとたん、まちづくりは至極つまらないものになってしまうからだ。

参加者とのワークショップでもユニークな意見がたくさん出た。見ず知らずの他人同士が「札幌」をテーマに雄弁に語り合うのは、壮観なものがある。自分の住んでいるまちに対して何か言いたい、何か提言したい、しゃべらせろ、という欲望は、人間の根源に根付いている気質なのだろう。まちについて語り合うことは、人をつなぐための容易な橋渡しのツールたり得る。「まち」がテーマになると、コミュニケーションスキルのない人間は他者と広くつながることはできない、という幻想など、木っ端みじんにする威力があるものだ。飛び入りでステージに上がった嬉野さんが言っていたように「まちについて話し合うことが未来を作る」。まちづくりは、行政に任せるのではなく、一人一人が語り合うところから生まれていくのだ。

ゼミの内容については、書籍化予定である。乞うご期待。 

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これからの変化について

2013-03-13 17:50:19 | アート・文化

3月に入ってから、ものづくりコワーキングカフェSHAREで行われたワークショップ、オオドオリ大学3周年パーティ、n次創作観光トークイベント、genronスクール、CoSTEPのシンポジウムなど、怒濤のイベントラッシュだった。自分がかつて関わっていた組織もあれば、知り合いからイベントの通知が来て参加したのもあり、種類も内容も様々だ。

いろいろと話を聞いたり、参加者と意見を交わしたりする中で感じたことは、今後私たちは単なる一ユーザーとしてものを消費するのではなく、自分がほしいものを自らオーダーメイドして作りあげていくMAKERSの当事者になっていくということだ。企業ではなく、個人が主役となっていく。MAKERSは3Dプリンタのような立体のオリジナル製品を作り出すだけにとどまらない。iPS細胞の医療技術が発達すれば、人間の寿命も伸びていくことになる。人間は人間の寿命までオーダーメイドして好きなものを好きなようにMAKEしていく時代もそう遠くはない。

そうなると、生き方や働き方、社会のあり方や産業構造が明らかに変化する。それは目には見えない、ごくゆるやかな変化かもしれない。あるいは、一夜にして突然世界が変わるような、急激な変化かもしれない。前者は、テクノロジーの発達やデバイスの発明によってサービスが届くまでの流通経路が短縮されるなど、古いシステムが消えて新しいシステムに移行していく変化だ。後者は、災害などで一瞬にして変わる。

「3.11」から二年経ち、札幌の町並みは高層ビル化が進んでいる。なじみの店がどんどん閉店し、新しい風景に更新されていく。その変化はゆるやかなようで、気がつくとかなりの年数が経って驚くことがよくある。北海道は素材がいいものが多くてポテンシャルがある、とよく言われる。それは確かにそうだろう。だが、それをどのように生かしていくのか、知恵を絞って、ゼロから一を作り上げていく必要がある。それは単純に東京にキャッチアップすることではない。北海道だからこそ、北海道でしかできないことを追求して地元の人間が地元の素材を使って創り上げていくことだ。それが何なのかは、これからの大きな課題だ。

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狸小路商店街の「だっこポン」がコミュニティーの主役として「つなぐ」役割となる!?

2013-03-01 00:34:46 | アート・文化

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先日、紀伊国屋書店札幌本店にて、〈つなぐ人〉を育てるデザイン文化の学びという題で、
渡辺保史さん(東海大・デザイン文化学科客員教授)と伊藤明彦さん(同教授)東海大学・デザイン文化学科のトークセッションに参加する機会があった。

最初のトークセッションでは、「つなぐ人を育てる」というテーマ。
デザイナーが専門知を駆使し、売れる商品を開発する時代はもう終わり。これからは、みんなが方向自体を作り直しながら、社会をよりよくするために、ものと関係性を作っていく時代になるという。デザインとは社会や人とを「つなぐ」役割があり、関係性を築いていくことであるという。クリス・アンダーソンの『MAKERS』(NHK出版)で詳しく解説されているように、ものづくりパラダイムシフトは着々と進行中である。

後半は、狸小路商店街を活性化するアイデアを学生さんがプレゼン。学生さんが考案したのは、狸小路のマスコットキャラクター「だっこポン」が一か月間空き店舗に住み着いて、焼き芋を販売したり、地域の人々と交流をして、別れを惜しみながら山へ帰る、というストーリーである。

アイデアは大変面白いと思う。
途中、スペシャルゲストとして「だっこポン」本人(本狸?)が登場!

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狸小路商店街の看板で、「だっこポン」のイラストをよく見かけるが、実物として動いているのを見るのは初めてだ。名前も初めて聞いた。途中で周辺の人と意見交換を行ったとき、隣に座っていた方も「だっこポン」の名前を初めて聞いた、とのこと。地元の商店街のマスコットキャラクターなのに、ちょっと寂しいぞ。

なので、日本ハムファイターズのB・Bや中日ドラゴンズのドアラのような、みんなに愛されて声援を受ける存在となる必要があるだろう。札幌ドームの観客が増えたのは、B・Bの影響も少なくない。
まずは、「だっこポン」知名度からだ。
キャラクターとしてのかわいさ(「萌え」とはまた違うように思える)はあるので、さらなるスター性やカリスマをどう育て上げていくか。そのためには、「だっこポン」の稼働率を上げて、狸小路商店街=「だっこポン」というイメージとストーリーを市民に定着させる必要があるだろう。

商店街と人をつないで、関係性を構築していく「だっこポン」へ。狸小路のあたらしい歴史物語は、「だっこポン」の魅力を発信して市民に届けるところから始まっていく。

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