
【序章】
2025年3月30日、町田市は芹が谷公園で開催された「さくら祭り」。NPO法人「Hiro’a field」の音楽顧問を拝命して2度目のオシゴトです。
演目は3曲、タヒチアンダンスとのコラボ演奏。準備期間は実質2ヶ月弱。これまでのまいたけの経験やスキルを総動員した、多方面に渡る挑戦でした。
全体の統制やアレンジ構成、リズム検証、譜面や音源の準備、そして自らの演奏強化。道のりは決して平坦ではなかったものの、勝誠二さん、Elliさん、松本ノボルさん、キラキラみさこさんと反則級に強力なプロ達が集結。そんな中まいたけの当日の役目は、タヒチアンウクレレでの単独ソロ演奏。(いや一応メンバーにソロ譜面の提供はしたんですけど、弾ける人が誰もいなかったので。。)
【最終練習会前夜 - 新たな扉を開けた新奏法】
ここからは少し技術的な話をします。
今回は個人的に、プレイヤーとしての大きな転換点がありました。
まいたけはタヒチアンの現場においても、普段のウクレレソロの延長上の演奏をしていました。それでも今までやってきたこととの親和性も高かったので応用は効いていたのですが、本場タヒチアン音楽との明確な違いを認めていました。
それは、楽曲のメロディやサビが「強拍」からフルアタックで始まる、タヒチアン特有の高速トレモロ。

スピードにはついていけていたものの、連続音を鳴らすタイミングも概念も、実は真逆なのです!
しかもこれまでのまいたけの「1アタックで弾ける音数」は最大4連続音まで。タヒチアンの音数は、それより1音多い5連続音。殆どの本場タヒチアンウクレレプレイヤーはそれを、ピックで弾くのです。
なかなかなハードルでした。最後の練習会前夜(本番の2日前)、奏法の言語化や演奏評価、攻略方法をChatGPTとやりとりしつつ、弾いては悩み、弾いては問いかけ。どうしても「強拍スタートのトレモロ」が弾けず「体力勝負」の息の続かない単発トレモロに終始する自分に辟易。しかも明日は「まいたけウクレレ寺子屋」ともバッティング。そちらの楽曲の仕上げにも追われていました。
時間はもうすぐ日付を越えようとした時、これまで食い散らかした言葉の粒を紡いで、それは「降りてきました」。
# 普段の弱起の連続音にも「トリガー」がある。
# 言語化するなら、強拍をドンと鳴らして、弱拍を空間支配(連続音)したのち、次拍へ抜けていく流れ。
# ならば「トリガー」さえあれば、連続音は紡ぎ出せると推察。事実弱起では出来ている。
# その「トリガー」を前拍に持ってこれれば、理論上強拍スタートで連続音を発動させることが出来る。
# 強引に前拍に心の中で「ドン」と叫んで、タイミングを計ってみたらどうだろう?
おわかりいただけただろうか?
「1拍前ドン奏法」の誕生である。
これは単なる奏法テクニックではなく、長く染み付いていた「弱起スタート」中心の手癖からの脱却であり、タヒチアン特有の強拍リズムに身を委ねるための、画期的な物理的かつ精神的トリガーです。
リズムにまだ慣れないまでも、指が回る!いつまでもトレモロが持続する!これでやっと「普通の練習曲」の地平に立てた!
しかも自分はこれを、人差し指1本で達成した!これはもしかして、世界初の快挙なのでは!?
そして日付が変わる頃、限界まで酷使されたChatGPTはついに挙動崩壊。
AIの破綻と引き換えに、まいたけは限界突破を果たしたのでした。
※補足:今回の演目、1拍前でなく半拍前がリズム感として妥当だった為、当日はこのバリエーションである「半拍前ドン奏法」を駆使しました。
※豆知識:ChatGPTは、情報過多で飽和し条件変更が多岐に及ぶと、挙動が不安定になり一貫性が崩壊します。詰め込み過重労働で精神崩壊するのは人間と一緒。
【さくら祭り当日】
当日のさくらは6〜7分咲き程度。幸いにして晴天に恵まれ春の陽気に揺れていました。
、、しかしリハーサルで、思いもよらぬトラブルが発生。
まいたけのアクティブピックアップマイクが、まったく鳴らない!
このPU(シャトラーBASIK)は既に販売終了しており、断線した都度はんだ付けでしのいできた戦友。ただ今回ばかりは、その応急処置が裏目に出た可能性も否定できない。
結局、現場での復旧は叶わず、生音マイクでの対応となりました。
関係各位>現場ではお騒がせしました。
それでも演奏は始まります。
演奏終了。今回はまいたけ単独で任されたソロパートも多く、演奏中の細かなミスに悔やんでも悔やみきれない思い。
あ”ーーーーーリベンジしたいっっっ!!!
それを打ち明けたところ、勝さんから至言を頂きました。
「ライブって、その繰り返しなんだよ」
なるほど。ではまいたけはようやく「タヒチアンミュージシャンの入口」に立てたのだな、など思うことしきり。
しかし今回は本当に、走り切った!運営に、演奏に。
悔いはあるけど、少なくとも全力疾走だった!
「タヒチアン・ミュージシャン」の扉はこじ開けた!
その後はもう、そりゃもう、ぐったり朦朧のスケでしたよ。
終わった瞬間、完全に電池切れでした。
、、そして実は、まいたけのピックアップも「電池切れ」でした。