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UNA GIORNATA ORDINARIA

こんなわたしのありふれた一日

キンモクセイ。

2013年10月05日 | 日記・エッセイ・コラム

10月に入ったというのに、日中30度を超えたり、ツクツクホウシが鳴いている。

秋の気配には程遠いが、それでも夜明けの時刻はだんだんと遅くなり、日暮れも早い。

まだ半袖で過ごしている昨日のお昼、買い物に出かけると、どこからともなくキンモクセイの香りが漂ってくる。

途端に、子供の頃の記憶が走馬灯のように押し寄せる。

走るのが遅いので憂鬱だった運動会、学校のサヨナラ放送、高校生のときの部活(当時はクラブといった)の帰り道、そして遠足の緑色で酸っぱい早生みかんと母のお弁当。

特に、母の作る遠足のお弁当の思い出は、申し訳なさでいっぱいだ。

食の細かった私のことをわかっていなかったのか、遠足のお弁当は毎回、折箱のふたがまともに閉まらないくらい、ぎっしり詰められた豪華版で、母は仕事をしていたのに毎回必死で作っていた。

秋とはいえ動けば暑いし、おやつもあるから、小さな子供が完食できるくらいのお弁当にしてくれればよいものを、おにぎり、空揚げ、卵焼き、煮しめやウサギりんごも入っていた。

食べられず残して持って帰ったときの残念そうな母の顔。

そういえば、着ていく服を作ってくれたこともあったっけ。

朝起きたら、ちゃんと出来上がっていたスカートのことなど、どれも申し訳ない思い出ばかりだ。

ちょっとした香りだけで、あれこれ記憶が蘇る。

甘いよい香りなのに、寂しいような物悲しいような思い出ばかりなのはなぜだろう。