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日本共産党の志位和夫委員長が31日の記者会見で発表した見解「もはや欺瞞(ぎまん)は通用しない――『日米核密約』に関する質問主意書への回答について」を、1日付「しんぶん赤旗」より紹介します。
ぜひお読みください。
もはや欺瞞は通用しない
「日米核密約」に関する質問主意書への回答について
2010年3月31日
日本共産党幹部会委員長 志位 和夫
2010年4月1日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長が31日の記者会見で発表した見解「もはや欺瞞(ぎまん)は通用しない――『日米核密約』に関する質問主意書への回答について」は次の通りです。
昨日(3月30日)、私が3月17日に提出した「『日米核密約』に関する質問主意書」にたいする政府答弁書が、鳩山総理名で届けられた。
答弁書は「討論記録」そのものが密約であることを認めた
政府答弁書では、私の第一の設問――「1960年1月6日に日米間でかわされた『討論記録』を、日米間の公式の合意文書であることを認めるか」という設問に対して、つぎのように回答している。
「当該、『討議の記録』は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第6号)第6条の実施に関する交換公文の交渉過程において、交渉の当事者であった藤山外務大臣とマッカーサー駐日米国大使との間の共通の理解を記録するために文書自体については不公表とすることとして両政府の間で作成された合意文書であると考える」。
この政府答弁書は、「討論記録」そのものが、「文書自体については不公表とすることとして両政府の間で作成された合意文書」――日米間の密約であることを、政府が認めたものにほかならない。
しかも、政府答弁書では、「討論記録」は日米両国政府間の「共通の理解を記録」したものであるとしている。それでは「共通の理解」とは何か。政府は、「討論記録」の解釈をめぐって日米両国政府間に相違があったとしているが、政府のいうアメリカ側の理解が「共通の理解」なのか、それとも政府のいう日本側の理解が「共通の理解」なのかが、根本問題として問われてくる。
昨日、わが党の不破哲三元衆議院議員は、1958年~60年の日米交渉の経過と内容を示す二つの新たなアメリカ外交文書を明らかにした。この二つの文書は、日米安保条約改定にいたる交渉経過において、(1)アメリカ側が、公式の席上、核兵器を積載した軍艦が日本への事前協議なしに日本に寄港することを、条約上の権利として最初から主張していたこと、(2)日本政府が、日米安保条約、事前協議についての「岸・ハーター交換公文」、「討論記録」の全体およびその解釈を一体のものとして受け入れていたことを示している。この二つの文書は、「討論記録」を作成する過程で、核兵器を搭載した軍艦の寄港は事前協議の対象としないというアメリカ側の理解を日本側が受諾したこと――アメリカ側の理解こそが「共通の理解」であったことを、疑問の余地なく明らかにするものである。
これまで、政府は、「討論記録」の存在を認めながら、日米双方の政府間に解釈の相違があることを理由に、それを核密約――核兵器を搭載した米艦船・航空機が、事前協議なしに日本へ寄港・飛来することを認めた秘密の合意であることを否定しつづけてきたが、もはやこの主張が成り立たないことは明瞭(めいりょう)である。
答弁書は、核搭載能力を維持した米原潜の寄港を否定する根拠を示せなかった
政府答弁書では、私の第二の設問――「政府は、1994年以後も、日本に核兵器搭載能力を維持した原子力潜水艦が寄港している可能性があることを認めるか。それを否定するというなら、その根拠は何か」「政府は、寄港する原子力潜水艦に核兵器搭載能力を維持したものが含まれていないことを保証できるか。保証できるというのであれば、その根拠は何か」という設問に対して、つぎのように回答している。
「1991年の水上艦及び攻撃型潜水艦を含む米国海軍の艦艇及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨、1992年の同撤去を完了した旨の表明等これまでに公表された米国政府の核政策に基づけば、現時点において、政府としては、核兵器を搭載する米国の艦船の我が国への寄港はないと判断している」。
政府答弁書は、「現時点において、核兵器を搭載する米国の艦船の我が国への寄港はない」と断定しているが、その「根拠」とされているのは1991年に米国がとった核兵器に関する政策である。
しかし、すでに質問主意書でも具体的に指摘したように、米国政府は1994年9月に発表した「核態勢の見直し」(NPR)で、「水上艦艇に核兵器を配備する能力を廃棄」するが、「潜水艦に核巡航ミサイルを配備する能力を維持する」という政策変更をおこなっている。この核兵器政策は今日にいたるまで続けられ、核兵器搭載能力をもつ原子力潜水艦が日本に寄港しつづけている。1991年に米国がとった核兵器に関する政策は、核兵器搭載艦船の寄港の可能性を否定する「根拠」にはならないのである。
こうして、政府答弁書は、1994年以降も、日本に核搭載能力を維持した米原潜が寄港していることを否定する根拠を何一つ示せなかった。また、寄港する米原潜に核搭載能力を維持したものが含まれていないことを保証する根拠も示せなかった。これは我が国が、「非核三原則」が守られる保証が何一つない状態に置かれ続けていることを、示すものにほかならない。
核密約の存在を正面から認め、それを廃棄し、「非核の日本」への実効ある措置を
政府が、これ以上、「日米核密約」に関する欺瞞(ぎまん)をつづけることは許されない。わが党は、政府が、核密約の存在を正面から認め、これを廃棄し、文字どおり「非核の日本」にすすむための実効ある措置をとることを、重ねて強く求めるものである。
■関連キーワード
核密約
核兵器廃絶
国会議員の活動
もはや欺瞞は通用しない
「日米核密約」に関する質問主意書への回答について
2010年3月31日
日本共産党幹部会委員長 志位 和夫
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