『NHKにようこそ』って言う題名はどこから来たのか…、題名だけでは本当中身がまったく分からなかった。それにきっと私自らはこの本を手に取らなかっただろう。
息子のお薦めである。
外にでるのが大変だという母に対する揶揄か? と思ったが、どうも息子はそこまで母の病状に敏感ではないらしい。確かに、ずっとでずっばりの仕事(アルバイト)で遅くまで居ないし、休みの日は遊びに行くか、寝てるかだしね。母がどんなふうなのかわからんでしょう。
この本はそのものずばり、N(日本)H(ひきこもり)K(協会)への入会物語でした。といっても、会長と会員一名だけだけど。
大学を追い出され、次第に自信喪失となっていくひきもり青年が主人公。そこに可愛いが得たいの知れない女の子やら、エロゲーを愛する後輩が絡む。とても悲惨な生活がえんえんと続きます。苦悩する青年はなんとか脱出したいと思うのだけれど、取る方法が、はちゃめちゃで救われない。けれども、親と一緒の住まいではないので、どうしても外へ出て行かなくてはならないから、本当のひきこもりとも違うのかもしれない。
今日の新聞に38才になってもひきこもる息子を父親に「もうあきらめた」と言わしめているものがあった。ただ、親はいつまでも生きているわけではない。親が居なくなったら、この息子の行く末はどうなるのだろう……、と不安が暗くのしかかるのだろう。うん。分かる。きっと野たれ死ぬしかないのだろうなあ。冷たいようだが、自分が死んだ後の息子のことなど、心配したって仕方ないんだと思う。生きていける奴は生きていけるだろうし、だめな奴は、きっと、死ぬしかないんだ。
私も半ひきこもりみたいなものだ。外出はかなりの躊躇と決心の間を行きつ戻りつして、ようやくなのだから。まあ、出歩いてもちっとも楽しくないし、具合が悪くなったらという不安が吐き気に繋がるし、薬飲んだらボーとしてしまうし。
終わってるな、自分の人生……なんて、この主人公じゃないが、思ってしまうよなあと妙に共感したのさ。
それでもまだ見捨てないで居てくれる友達もいるし、たよりない息子もいるから、なんとか時を過ごしている。まあ、大好きな本も読めるしね。不幸とはいえないよなあ。