あらすじ
優勝者が後に有名なコンクールで優勝するというジンクスで注目される芳ヶ江国際ピアノコンクールに挑む栄伝亜夜(松岡茉優)、高島明石(松坂桃李)、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)、風間塵(鈴鹿央士)。長年ピアノから遠さがっていた亜夜、年齢制限ギリギリの明石、優勝候補のマサル、謎めいた少年・塵は、それぞれの思いを胸にステージに上がる。
原作は読んでいます。文章だけで、まるで自分がコンクールの場に来ているかのような臨場感だったため、この映画でどう表されるのか楽しみにしていました。
という面からの感想ですが、、、
やはり映像化するには難しいのかな?という印象。厚めの文庫本2冊分の分量で、心理的描写も多く、そこをカバーできるように2時間で収めなければならないので、こういう感じになるのは何となくわかるのです。描き方が繊細で緻密、雰囲気も大変好みなのですが、前編・後編とか分けてじっくり作っても良かったのではないかなと思いました。
演奏シーンは迫力ありです。ここは良かったところ。特に、亜夜の最後の曲は原作では省略されていたのでそれがちゃんと聞けたのは嬉しかったです。弾き終わった瞬間は鳥肌立ちそうでした。あと雨と馬のイメージ。馬なんて出てきたっけ?と思ったのですが、帰ってから原作を見直したところ亜夜が最初に登場するシーンでちゃんと描写がありました。ここは美しいシーンでした。
(ジョン・ウィックを観た後だったので、さっきキアヌが乗ってた馬?ってなりましたけど…)
残念な部分もあります。各キャラクターの抱えているものが省略されていたので関係性もわかりにくい気がしました。マサルと亜夜の子供時代の話も重要だと思うし、そこがあってのコンクールでの再会がドラマチックに感じられたはずなんですが、あっさりしすぎていて残念。それと映画には出ていない奏ちゃんという存在。彼女を通して見るコンテスタントたちの描写が好きだったんで、彼女がいないというだけでも割とショックでした。
塵くんについても。彼の登場シーンで「え?これだけ?」っていう…。彼がこの物語のキーパーソンなはずなのに。あと、イケメン好きとしては(笑)、マサルをもっとキラキラさせてあげてほしかった!演奏をうっとりしながら聞いてみたかった…
他にもカットされたキャラクターやシーンが多すぎて、とにかくすべてがあっさりしすぎていて、とにかくもったいないな~と。の割には、逆に映画だけに追加されたシーンがあって、う~ん…っていう。
原作でどっぷり浸れた私ですが、期待しすぎてしまったのかもしれません。でも音楽の素晴らしさとかピアノに向き合う若者たちの姿勢とか、改めて映像として観られたのは良かったです。