
優の正体
そうなのだ。
僕は、実はとある大会社の御曹司。
でも・・・
子供の頃から、両親についてアメリカ、イギリスと様々なところを点々とさせられ、嫌気が指した僕は家出をした。
そして・・・中学の頃から、父が昔、世話になったという、遠い親戚のこじんまりとしたおうちに、姉と共に預けられた。
そして・・・
今は、その食堂を姉が経営し、僕はそこを手伝いながら・・・・・・・・
今日は 月に一度の会議の日
大久保執事「坊ちゃま お迎えに参りました」
優「ああ おはようさ~ん。いい天気だね。こんな日は外で花見でもしたいね。なあ爺」
優は プレジデントに乗り込み、いつものように父の会社へ向かった。
車を降りると、会社の重役たちのお出迎えがあり、優は囲まれて会社に入った。
なにげなく受付を見た優は驚いた。
そこには凛がいた。
受付嬢 A「あ~、そろそろ 王子様 のお出ましだわ~、髪、乱れていないかしら 」
受付嬢 B「あ~、誰があの 王子様を掴むのかしら 」
凛 「えっ?おじ様?の って 」
受付嬢 A&B ハモッて「おじ様じゃないわよ。 王子様ヨっ!」
しかし、凛は・・・「優さんの方が 」
そこへ、部下を従え、ストライプのスーツに身を包んだ青年が・・・
受付嬢 A&B「来たわよ。来たわ~!」
凛「・・・・・」
優はさっそうと部下と共に風のように通りすぎて行った。
受付嬢 A&B「あ~~あ・・行っちゃった。。でも、いつ見てもステキね。。」
先輩二人は、ハモルように言いながら凛の方を見た。
凛はというと・・
凛「あのぉ。。先輩達が言ってる王子様の後ろ姿しか見えなくて。。。ステキだかよくわからなかったです。」
受付嬢A&B「なんですって!見えなかった??あなたねぇ・・」
凛は・・・「どうせ、私には関係ないし。だって、優さんの方が気になるんだもん。。王子様でもおじ様でも私には関係ない。関係ない。」と先輩達に聞かれないよう、ぶつぶつ独り言を言っていた。
受付から 自分の配属された部署、(韓国担当)に戻った凛は、山積みになった自分のデスクの前で途方にくれていた。
凛「ああ~どうしょう 。今日中にこの資料整理しなきゃあ~ならないなんて・・・」
部長「真行寺君、 ぼ~っとしてないで速く仕事をする」
凛「は、はい、部長」
それからの凛は、ただひたすら目の前の仕事をこなした。
気が付くと周りの人間は誰ひとりいなかった。
凛「わっ!もうこんな時間だわっ!大変!終電 間に合うかしら・・・」
そう言いながら仕事にケリをつけ急いで会社を出た。
凛はひたすら真夜中のオヒィス街を走り駅に辿り着いたが、電車は出た後だった。
重い足を引きずりながら トボトボと歩いていたら
後ろから・・・・・
「凛さん!?」
と、言う声が聞こえた。
はっ 。。。と振り向く凛。
そこには 逢いたくて、逢いたくて心が張り裂けそうになるくらい逢いたかった優の姿があった。
思わず、優に駆け寄り その広い胸に飛び込む凛・・・
疲れた身体を・・・・・
そっくりそのまま
優しく受け止めてくれた優・・・(あむちゃんの詩を、盗作 )
凛は瞬間的に思った・・・
「優さんは、運命の人だ」と。。。
一方、優は、
執事の大久保と、たわいのない冗談を交わしながら、姉の店の手伝いからの帰りの家路についていた時だった。。。
自社の前を通りかかった時、一人の女性が疲れた足取りで歩いていた・・・
凛だった。
優 「爺、悪いけど、ここで降ろしてくれ、歩いて帰るから。」
大久保執事 「かしこまりました、お坊ちゃま、お気をつけてお帰り下さい」
大事な、御曹司の視線の先にいる女性・・・
そしてその女性に向ける視線を、すぐに大久保は悟ったのだった・・・
優 「こんな時間にどうしてこんな所にいるんだ!」
凛 「残業で・・・」
優 「なんて事だ こんな時間まで・・・」
優は、凛が愛しくてならなかった・・・
優 「家まで送るよ、ちょっと待っていて・・・」
優 「ああ、やっぱり戻ってきてくれ。」
まもなく、黒の車が二人の前に止まり、ドアを開けた優にうながされて凛は、乗り込んだ・・・
凛 「 優さん、この車、ロールスロイスよね。。。」
優 「ああ、そうだ、良く知っているね」
凛 「どうしてこんな高級車にアナタが・・・」
凛は 優の横顔をみつめたまま、すわり心地のいい シートにうもれた
優 「この車は 父の車なんだ」
凛 「え”っ!?お父様の!?・・・優さんあなた・・・もしかして どこかの御曹司!?」
優 「その話は また日を改めて。それより、こんな遅くまで女の人を働かせる会社ってどういう会社なんだい!?」
凛 「私の会社は、LBH貿易と言う、輸入会社で、私はそこの韓国担当部署です」
優 「え”っ!?LBH貿易!?そ、そ、それは・・・ 僕の父の会社だ 」
凛 「え”っ~~~~~!?お父様の~~~!?」
優 「ああっ・・・これは明日の会議で、 是非改善しなければならない問題だ!」
そう言う優の言葉になにかしら頼もしさを感じ、その整った横顔をじっと 見つめる凛であった・・・
次の日、優は早速会社の会議に残業の件を持ち出した。
優「女子社員を夜遅くまで残業させている部署があるそうですが、今後女子社員は定時で帰宅させるように。」
社長「まぁ、幹部のみなさん、そういうことで。。」
(なんだか、頼りない社長&大きくない会社(笑))
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