375's ROAD TO BOSTON/ゴールは虹の彼方に

米国在住ランナーの究極目標「ボストンマラソン」とアメリカ50州制覇を目指す人生の旅日記。

本田美奈子.「心を込めて…」 ~魂のラスト・メッセージ。

2006年04月23日 | 本田美奈子.記念館

「心を込めて…」 (2006年4月20日発売) COCQ-84139

収録曲 ①見上げてごらん夜の星を ②命をあげよう ③踊りあかそう ④オン・マイ・オウン ⑤天国への階段 ⑥愛すること(with今井清隆) ⑦Golden Days ⑧オールウェイズ・ラブ・ユー ⑨やさしく歌って ⑩Lovin' You ⑪想い出のサンフランシスコ ⑫美女と野獣(withピーボ・ブライソン) -ボーナストラック- ⑬つばさ
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1年遅れで完成した、本田美奈子さんのデビュー20周年記念アルバム。入院中も、このアルバムの完成を励みにしていたという。

もちろん、当初彼女が意図していた「ミュージカル・ベスト」とは、少し違う形になっているのは仕方があるまい。今となっては、こうして大切にミックスされた彼女の歌声に触れることができるだけで、幸せであるし、完成にまでこぎつけたコロムビアの岡野プロデューサーをはじめとするスタッフの方々に、感謝しなければならないと思う。

このアルバムが手元に届いてから、まだ1日。全曲通して4~5回聴いたばかりなので、たぶん、これからもいろいろ発見があるだろう。でも、まずは第一印象の感動を伝えたいので、さっそくレビューを書いてみることにする。

現時点で、特にすごいと思うのは、①「見上げてごらん夜の星を」と、⑤「天国への階段」の2曲。

「見上げてごらん夜の星を」は、まさに万感胸に迫る名唱、であると思う。今までいろいろな歌手がこの曲を歌っているが、まったく違う。他の歌手の場合、歌っている場所はあくまで地上にある。つまり、このタイトル通り、地上から夜空の星を見上げて歌っているのだが、彼女の場合は、地上を離れ、むしろ星そのものになって、宇宙空間を漂っているかのようなのである。

彼女は「ミス・サイゴン」で主人公のキムを演じるときは、実生活の中でも、キムになりきってしまうという。「演じる」というよりも、主人公になりきるのだ。歌を歌うときも、まったく同じで、歌の主人公になりきってしまう。感情移入の度合いが、並外れているのだ。

この歌の場合、歌の主人公は人間ではなく、星そのものであるといえよう。星になりきった美奈子さんは、最高に美しく輝いている

「天国への階段」も素晴らしい。レッドツェッペリンのロックの名曲が、新しいクラシックの名曲として、生まれ変わっている。しかも、後半次第にテンポが速くなり、クライマックスを迎えると、かつてのロック歌手・美奈子の、迫真のシャウトが襲いかかるのだ! 

まさに、ロックとクラシックの劇的な融合。現代の歌手が到達しうる、最高芸術のひとつと言っていいだろう。

入院前に録音された3つのミュージカル曲の中では、今のところ、オードリー・ヘプバーン主演の映画「マイ・フェア・レディ」への思い入れもあって、③「踊りあかそう」に最もひかれる。アレンジが愉しく、理屈ぬきに幸せな気分になれる一品だ。

残る2つのミュージカル曲、ミス・サイゴンの②「命をあげよう」と、レ・ミゼラブルの④「オン・マイ・オウン」は、本格的な歌入れ前のリハーサルということなので、絵画でいえばデッサンの段階であろうか。それでも、さすがに歌い込んだレパートリーだけあって、訴えかける力がすごい。曲が進むにつれて、自然に歌のドラマに引き込まれてゆくし、打ち震えるような感情の高まりが、生きたまま、胸に伝わってくる。

NHKの番組用に録音された洋楽カバーの4曲も魅力的だ。個人的には、ミニー・リパートンの⑩「Lovin' You」は、ヒットした1975年当時からとても愛着があるので、美奈子さんの歌声でこの曲が聴けるというのは、夢のような話なのだ。

あと、忘れられないのが、クイーンのブライアン・メイ作曲の⑦「Golden Days」。どこか東洋的なわび・さびがあるこの名曲は、今回、ブライアン自身が美奈子さんへのトリビュートの為に、1987年当時の歌声をそのままに、リミックスしたということだ。

この曲をレコーディングした時、彼女はまだ19歳。この年齢で、すでに海外の超一流アーティストの心を捉えていたのである。


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