2021年現在、プラスチックごみの海洋への流出量は、全世界で毎年800万トンと言われており、多数の海洋生物に対して深刻な悪影響を与え続けています。
プラスチックごみの厄介な点は自然に分解されにくいことであり、一度流出してしまうと、それが100年、1000年と滞留してしまう可能性があるという事です。
自然に分解されにくい素材を複雑な形状に加工したものが水中を漂うことは、水生生物の誤飲および体内への蓄積に繋がる可能性が高いので、プラスチック以外の素材に関しても、その取扱いに関しては注意が必要であり、何らかの対策をもってして早急に流出防止策を検討しなければならないと言えます。
このような場合、最も効果的な方法は、プラスチックごみの全体量を大幅に減らすことでしょう。要するに、ゴミとして排出されないシステムを構築し、移行すればよいのです。
たとえば、丈夫で繰り返し使うことのできるタッパーを大量生産して、そのタッパーを消費者、小売店、生産地、工場、そしてタッパー洗浄工場の間をグルグル循環させるようなシステムを構築することができたとすれば、おそらくその時点で9割ほどのプラスチックごみが排出されなくなり、結果として海洋へ流出する量も同じ割合かそれ以上の割合で減少させることができると思われます。
この時、図のようにして、タッパーの大きさに少しずつ体積差をつけて、それをマトリョーシカのように重ねることができるようにしておくと、消費者が返却に行くときコンパクトになって喜ばれるでしょう。
タッパーは、その素材や製法によっても異なりますが、おそらく少なくとも千回以上、ものによれば1万回以上は洗浄して繰り返し使用することができると思われ、無限に使用できない点が逆に石油の需要となって石油産出国の経済を守ることにもつながるので、あとは洗浄に用いる洗剤を天然由来成分にすることができれば、その価格低下にもつながり、結果として水質汚染も抑えることができて、控えめに言っても良いことずくめなのではないでしょうか。
さらに、食品以外の小物雑貨や家電製品の販売や運送に使用される紙の箱の代わりにタッパーを使用することができたとすると、毎年毎年全世界で伐採されている数十億本にも及ぶ樹木を保存できることに繋がるため、これはもうやらない手は無いと断言できるでしょう。
と言うか、何で今までこの数十億本にも及ぶ樹木の大量伐採が問題視されてこなかったのかが逆に疑問です。
ペットボトルに関しても、もう少し全体をぶ厚くデザインしなおして強度を向上させ、フタと本体との間のくびれを無くして洗浄しやすくしたうえで、洗浄して繰り返し循環流通させることができれば、リサイクル時に使用する電力などを大幅にカットすることができると思われます。
ちなみに、数十億本の樹木は、北海道二つ分くらいの面積の森林となり、800万トンのプラスチックごみの体積をイメージしやすいように表現しなおすと、100世帯が暮らす8階建てのマンション999棟分くらいになります。
すごい量ですね。