「川島なお美さんはもっと生きられた」 近藤誠 文藝春秋2015年11月

ああ、近藤先生また登場かと思いながら読んでみた。しかし、この記事はちょっとどうかと思うところがたくさんあった。そもそも見出しがいかがなものか。目をひくことだけを目的にしているようで、しかし取りようによっては、遺族を責めているようにもきこえてしまう。

そして、「法律上、亡くなった方は医師の守秘義務の対象ではなくなります」と書いているが、確かに、個人情報保護法上では死亡者は対象外だ。でも、守秘義務はどうなのだろうか。法律的なことはわからないけれど、医師道にもとる行為ではないか。なによりご遺族の気持ちを考えて欲しい。

また「彼女のような有名人が亡くなった場合、治療にあたった医師らが逃げの沈黙を決め込むことで、むしろがんに対する誤解が世の中に広まってしまう」ことが問題だと書いているが、私には意味不明で理解できない。彼らは医師の守秘義務を守っただけではないのか。

彼女の選択と経過は近藤誠氏の「すすめ」に準じているように感じたこともあったが、まさか死後にこんな暴露劇が展開されるとは、彼女も予想していなかったのではないだろうか。

画像はネットから拝借した

以前に読んだ「近藤誠のリビングノート」でもがんで亡くなった芸能人の例を取り上げていたが、今回は彼女がセカンドオピニオンに訪れたという自信が背景にあるのか、暴走しているような気がした。