埋まりゆく本棚

読んだ本の感想なんかを好き勝手に綴ってます。最近忙しくてなかなか本が読めませんが…。

エミリー

2006年07月26日 19時05分35秒 | 小説
嶽本野ばらさんの小説を読むのは、今回が初めて。
雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載してるエッセイは毎号図書館で読んでるけどね…。
いつか小説のほうも読んでみたいなぁ思ってたら、今日大学の生協で集英社文庫が13%引きになっていて、ちょうどこの本も売られてたのでついつい購入してしまった。

「孤高の乙女魂と、永遠の思春期を抱く全ての人に放つ、珠玉の恋愛小説集」とのこと。
残念ながら、私はこの条件に見事にはまってない気がするんだけど…(笑)

収録作品は
 レディメイド
 コルセット
 エミリー

「レディメイド」はアートが絡んだ恋愛小説。
「コルセット」と「エミリー」は洋服が絡んだ恋愛小説。
以下、ちょっと簡単に感想を…

◇レディメイド◇
主人公の女性「私」と「貴方」の恋愛小説。
「私」は「貴方」の前だと、どうしてもいつもの調子が出なくなってしまうらしい。
「それって恋なんじゃないの~?」って茶々入れつつ読むけど、2人の会話はアートのことばっかり。
でも、ちょっと大人っぽい感じもする2人…こんなんちょっと憧れるかも。
ただ、2人の会話に出てくる固有名詞(画家の名前とか絵画の名前)がほとんど分からなかったよ。

◇コルセット◇
山羊好きで自殺願望のある男性と、病院の受付嬢をしてる平凡な女性の恋愛。
知らない洋服のブランド名がどんどん出てきました。
でも彼の「被服というものの宿命」という考えには、目からウロコだった。納得。

◇エミリー◇
「エミリー」と「貴方」…どっちもかなり重いものを背負っていて、そんな2人の支えあう姿にきゅんとした。
お互いがお互いにとって、数少ない自分の居場所で、でもなんかそれが少し切なく感じた。
「エミリー」がいつも着ているのは、Emily Temple cuteというブランドのもの。
どんな服なのか気になって、早速Emily Temple cuteを検索してみた。
ひらひらでかわいい柄のカラフルな洋服ばっかりで、なるほど「エミリー」はこんな服を着てるのか…と一人で納得。
かわいいバッグもあって、さっそく欲しくなってしまいました…。
でもいくら位するんだろ?
値段が分からないってこわいなぁ…。

嶽本野ばらさんの小説を初めて読んで、なんとなく文体が丁寧、清楚、お嬢様みたいな印象を受けた。
「エミリー」のつらい境遇も、静かな文章で書かれてるからすごい悲惨な雰囲気にならないのかな…。
小説全体の雰囲気も静かな感じだったし。
でも、こうゆう感じの小説も好きだし、またこの人の作品は読んでみたい。
次は『鱗姫』かな…。


●嶽本野ばら『エミリー』集英社文庫.2005●