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劇団美山、再観劇。芝居の芸術性に脱帽!

2014-12-23 | 大衆演劇

★★★追記ありです!

劇団美山、再観劇。
    芝居の芸術性に脱帽!


梅田のスカイビルで開かれているドイツクリスマスマーケット。

毎年行ってるので、今年も覗いてみよう、

そのついでに、という軽いノリで、

先日楽しかった劇団美山を観に行くことになりました。

ついで、が、大化け、すごかったー。

劇団美山のお芝居、素晴らしい!

里美こうた若座長、今日は主役でかっこよかったし、上手かった!

可愛いだけじゃない若座長の魅力、再発見!

そして、巨体・佑樹さんのブリッジにもたまげた!



夫も誘ったけど、相変わらず、大衆演劇は頑なに拒否するので、

息子とふたりで出かけました。

前に観た美山のお芝居《おさん茂兵衛》の美しさを伝えてはいたのですが、

息子はどうも想像しにくかったようです(そりゃそうだよね)

芝居が終わって、息子とずっと芝居の美しさを語りつづけていました。

息子は、美山のお芝居がとても気に入り、

「舞踊ショーって個性に負うところが大きいけど、お芝居は劇団によって全然違う。

ここのお芝居、たくさん観たいなあ」と。

お芝居に魅せられるのは女性だけではないようで、

びっくりするくらい、若い男の子も多かったですよ。10人以上いたんじゃないかな?

それって、珍しくないですか?

舞踊の曲目も最近の曲が多かったりするのも受け入れられやすい要因かも。

もっとも、女形が踊る曲はバラードが多いので、前日宵っぱりだった息子は眠かったそう^^

今回も舞踊ショー、里美たかし座長の曲はせりあがるステージや噴水!照明を駆使して美しかったですよ!

京馬さんとエクボさんの相舞踊は剣舞ですが、見ごたえあったし。

お芝居も舞踊も照明の美しさを極限まで追及しているなあと思いました、とくにモノクロームの世界!

座長の姿にピンスポットが当たって、幻想的な瞬間もあって、ためいきもの!

私は初めて観た前回より、今回の方が、すべてにおいて感動しました。
(もちろん、《おさん茂兵衛》にも感動しましたよ!)


遅くなりましたが、画像UPします。

お芝居の内容と感想はのちほど。



里美たかし座長









里美京馬さん


里美こうた若座長








《お芝居とその感想》

**********************************「遊侠三代」*******************************************

川北の若い親分長治(里美こうた)は子分たちに生き別れになった兄・長吉を探してもらっている。
子分にとても優しい親分、子分には店でうまいものを食べさせ、
茶店の縁台でにぎりめしを食べていた時、みすぼらしい男が長治の財布を盗む。
子分たちが袋叩きにしようとするが親分が赦してやる。
聞けば大雪続きで食べるものにも事欠き、寄せ場?で待っているこどもたちのことを思い、
魔が差したのだという。
長治はその寄せ場に《歳のころなら32,3、津軽のなまりがある旅がらすがいないか》と聞き、
身の上を語り始める。
長治は津軽の出身、おやじが飲んだくれのやくざで出奔してしまった。
歳のはなれた兄と自分を育てた母も2年後に急死。兄は父を探すと家を飛び出してしまった。
6つになったばかりの自分を親戚は、最初は不憫に思っていたが、いつまでも帰らぬ兄に、
手のひらを返したように扱いが冷たくなった。
最初は3度3度食べさせてもらっていたが、それがいつしか、2食、1食となり、
一日食べられない日もあった。いたたまれなくなって、親戚の家から飛び出したが、
6つの子どもだった自分は2日ばかりでこころが折れてしまった。
そこを川北の親分に見つけられ、自分の子どものように面倒をみてくれたのだという。
だから、あんたの気持ちはわかる、と自分の握り飯も差し出してやるのだった。
兄と弟をつなぐたったひとつの絆、御守りを男に見せる。
男はそういう男ならいた気がするので様子を見ておくと約束する。

長治が奥でくつろぐ川北一家に刺客(長吉=里美たかし座長)が訪れる。親分を出せ、という。
長身の子分・京馬(名前わすれたので演じられた京馬さんとします)は親分は不在だと言い張る。
刺客が決闘の場所を告げて去り、京馬は親分に黙ってその場所に向おうとする。
長治はそのことを知り、勝手なマネはするなと言う。
京馬に親元から来た手紙を見せ、「手紙には涙のあとがあるじゃないか。
心細くなったおふくろさんはお前に看取ってもらいたいのじゃないか。親を泣かせるな」といい、
自分が行こうと、刀を用意させる。
京馬は刀の柄で親分を突き、親分が気を失った隙に決闘の場所に出向く。
もうひとりの子分、エクボ(演じたひとの名前^^)に、
こんなに素晴らしい親分を死なせるわけにはいかない、という言葉を残し。

雪が降りしきる中、
親分の羽織をはおってやってきた京馬は刺客(長吉)に斬られて死んでしまう。
雪の中、やってきた長治は子分のエクボと京馬の遺体を見てショックをうける。
遺体にとりすがるエクボ。
長治はエクボに「棺おけをふたつ用意して来い」と言って、その場から逃がす。
長治は刺客と剣を合わせる。
そのとき、短く言葉をかわした長治は刺客の歳の頃、風体などから、もしや、兄ではと思うが、
腕が反射的に刺客を斬ってしまう。
虫の息の刺客に御守りを見せ、刺客が持っていた守りを見て、兄と確信するが、
京馬の仇、と刺客にとどめをさす。

長治は自分の着物を脱ぎ、京馬か長吉か、どちらに着せかけようと思って迷う。
迷ったすえ、京馬に降り積もった雪をはらい、着物をかけてやる。
そして、せめてと兄のからだを抱きしめようと思うたび、
「親分」「親分」というエクボの声に抱きしめられない。
エクボは親分が刺客に殺されていると思って泣きながら帰ってきた。
親分の足があるかどうかをたしかめるエクボ。
そして親分の足が冷たくなっていることに気付き、
親分の足の甲をさすってあたためる。

そこにみすぼらしい男があらわれ、
長治の兄らしい男が斬られていることを知る。
長治は葬ってやってくれ、とただそれだけを男に告げ、
大金を男に渡す。
男は「街道一の親分は清水の次郎長と聞いているが、
川北の親分こそが日の本一の親分だ」と、
去っていく長治を見送る。

*************************************************************************************



茶店の縁台に座って、子分たちと会話するところから、

里美こうた若座長の膨大なセリフが始まるのですけど、

セリフがなんとこなれて、若親分っぷりがリアルなことか!

まだ17歳なんですよね?まじ、信じられません!

茶店で出してくれたおにぎりを見て、

「小ぶりだなあ」なんてアドリブもすごい。

そうそう、男が親分からもらったおにぎり食べている時に、

エクボさんがすそをめくって、啖呵を切るのですが、

それを「物を食べている時に汚いものをみせるな」などとこうた若座長が言い、

場内大爆笑。

京馬さんとエクボさんのノッポとチビコンビも可愛くて、

仲のいい一家だなあというのがひしひし伝わるのです。

だから、お芝居の後半の悲しみが倍増します。

若いながらもいなせな感じの親分、

短いお芝居でも親分がどんなふうに生きてきたかが現われるようでした。

長吉(里美たかし座長)が現われ、川向こうの一家から暗殺を請け負うのですが、

舞台は明るさを極限まで絞られ、一家の親分子分と長吉が無言で対峙する場面は

緊張感があって、息がつまるほどでした。

この無言でモノクロームで彩られた場面、

恐ろしい場面なのに、張り詰めた空気がこんなにも美しいのだと思いました。

決闘の場面、先に殺されてしまった京馬のからだにしんしんと雪が降り積もるのです。

長吉が寒さでこわばる筋肉をほぐそうと首と肩をまわすのが怖くてたまりません。

長治に「よく降るねえ。風邪をひくなよ」と低い声で話しかける不気味さ。

せり舞台の上で、ほかには何も余分なセットがなくて、

そこで向き合うふたりのうえに雪が降り続けるのが、音がないのに音楽のようだと思いました。

呉服座だからこそできるこの高低の舞台、

でもこの劇団なら、劇場にあわせて、上手に演出できるのでしょう。

長吉が殺されて、幕が下りるのかと思っていましたが、

そこからのお芝居が素晴らしかったです。

肉親の絆よりも杯を交わした親分子分の絆の深さ強さと、

兄への募る想いを断ち切って、親分として子分を守って生きていくのだという思いが、

口には出さなくてもしっかりと伝わりました。


たかし座長は斬られてから、まだお芝居が続くので、眠くて、2回くらい意識が飛んだとか(笑)

そして、ただ雪が舞い降りてくるのをじっとしていると、

雪が鼻の穴にはいったり、雪が顔にかかってかゆくなったりで、

「早く芝居を終わらせろ」と思っていたそうです(笑)

しかし、遺体にふりつもる雪は美しかったですよ、たかし座長!

エクボさんが親分の足をさする場面では涙腺が大決壊しました。

泣かせるセリフはまったくないのに、すごいですー、劇団美山!

舞台自体、とてもシンプルで、余分がなく、

それがまた格調高く感じられました。

ここの劇団の芸術性の高さには舌を巻きます。

もちろん、このお芝居が私のツボだったのかもしれないけれど、

《おさん茂兵衛》もよかったし、

そうそう、歌舞伎とかぶる演目を見たいなあ、と思わせる劇団だと思いました。


舞踊ショー、ラストショーは《桜》。

このショーのときにも、暗い舞台で、座長にどんぴしゃのピンスポットが当たって、

もう、美しいったらないの!(笑)

大きなフラッグがあるじゃないですか、あれをまわしての演舞。

芝居と舞踊ショーで疲れた果てにあのフラッグ、すごいですよ、そのファンサービス!

なのになのに、幕がまだ引き終わらないうちに、多くのお客さんが席をたつので唖然。

なんで? アンコールしたりしないの?とびっくり。

あっさりしてるお客さん、でもそれは座長さんたちのお疲れを思ってのことなのかな?

「若ちゃーん、も1回、顔みせてー!」とばかり、力の限りアンコールするけどな、私(笑)


送りだしはなんと、

呉服座のあの5階で! せまーいのに、大丈夫?じゃないよー(笑)

前は1階のエレベーター奥でしたけど、フレキシブルなんですね(笑)

こうた若座長がエレベーター前でお見送り。

息子が急かすので話しかけることもできず。

「ありがとうございました」とだけ、声をかけました。

にっこり笑っての「ありがとうございました」が素敵でしたよ。

ノースリーブの二の腕が細かった^^



関西では2月、八尾グランドホテルで公演があるので、

ぜひ、ぜひ、ほかのお芝居も観させていただこう、と思います!!!

劇団美山さん、

美しすぎるお芝居、こころに残る時間をありがとうございました。




長々、おつきあいくださいまして、ありがとうございます。

大衆演劇新米ファンなので、

いろいろご不満、不備もあるかと思いますが、ひらにご容赦くださいませ。




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