Lに捧げるちいさな図書館

≪ L ≫至上主義の図書館へようこそ。司書は趣味嗜好のまま、気の向くまま、あちこちへと流浪しますゆえー♪

夜神月降臨!  乙一「ZOO2」(集英社文庫)より『神の言葉』2006-12-02

2011-08-18 | 本・映画・ドラマのレビュー&気になる作品
(既出:2006-12-02 )



「僕」の必殺の武器はデスノートではない。
小さいころから[本当に美しい]と言われた≪声≫である。
腹のなかのどす黒い部分に力をこめて念じる。
両手を握り締めて全身の筋肉をひきしぼるようにして声を出すと、
願望が効果となって現れる。
はじめて声の力を使ったのは小学校1年生。
何でも1番でないと気がすまない「僕」は
他人の目を意識せずともまわりから好かれる同級生の、
「僕」のより大きく美しく咲いたアサガオを枯らせた。
地響きのような唸り声で「僕」を威嚇する犬を黙らせた。
弟なら黙って許すくせにゲーム機で遊ぶ「僕」に怒る父。
ゲーム機から指を放さない父に「この指よオオオ、外れエエろオオオ!」と叫んだ。
父の指は根元からすっぱりと5本とも外れていた。
一度言葉の効果を使うと、もとには戻らない。
父の記憶を消し、家族には父の指がないのは今までずっとそうだったのであること、
何の不自然もないように思い込ませた。
 「僕」は他人に完璧な人間だと思われるように演じ、そしてそのことをやり遂げてきた。
だが、他人の目を気にせず、生きたいように生きる弟、
その弟が「僕」の卑屈さを熟知していることに我慢がならない。
「僕」は弟を殺そうと決意する。
そして世の中から我慢のならない人間を始末していこうと考え始め・・・。



 乙一を知ったのはデスノート前編を観に行ったあと。
Lに衝撃的に魅了され、デスノート原作を読み漁りました。
次に原作者に想いをはせました。
原作者・大場つぐみは架空の人間で、原作者は別にいるという噂を目にし、
ガモウひろし説、乙一説などがあると知りました。
ガモウひろしというひとはギャグマンガを描くひとらしいですが、
そういうひとがデスノートの作者であってなんかほしくないという願望から、
勝手に原作者説を削除。
本屋さんで見かけたことのある乙一の本にダッシュしたのでした。

 ZOOは1と2に分かれていて、「神の言葉」は2に所蔵されている
のですが、読むなり、くらくらきました。性格はアレンジされている
けど、負けん気強い夜神くんにそっくり。夜神くんは白月のときは
良い子だったかもしれないですが、キラが入ると、その邪悪さを
Lに見抜かれていましたよね。で、Lを抹殺にかかる。
「僕」の弟もいい子なんです、何も悪いこと、してないんです。
兄の正体を見破っているだけ。兄にとっては邪魔な存在であるだけ。

どうです? 「僕」って夜神くんに似てません?
「僕」が違うのは正義の御旗を振りかざさないところだけですよ。
「僕」のほうが次元は低いし人間っぽいんだけど、効果は絶大。
デスノートに狂いなし、って言葉、思い出しますが、
この短編小説を読むと、心臓の奥から震えが起こりますよ!
デスノートファン、必読です。
やっぱり、乙一が原作者だと思えてなりません。




 「
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サマソニに《MAN WITH A MISS... | トップ | 8月17日(水)のつぶやき »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
う~ん (さたつ)
2006-12-02 11:26:44
似てるといえば似てるし、違うといえばちがう・・・難しいところですね・・・
私は数年前に「できそこないの青」から入って衝撃を受けました。いっきに乙一本を買い漁りました。
全作を読み終えてもなお、「もっともっと」という気持ちが押さえられず、乙一に似た作品を探すように。最初に手にとったのは、山田なんちゃらの「親指さがし」でした。(これがデビュー作なのか?)
ストーリーはまず良しとして、問題は表現方法というか、言い回しがワザとらしいというか、「ボク小説家だから、こんな言い回しします」っていうのが見え見えで、尚且つ 乙一を完全に意識しているような・・・
(好きだったらごめんね今更・・)
それでガッカリして乙一以外あんまり読まなくなっちゃった。
唯一読むのは、石田衣良だけ。「うつくしい子」とかはジャンルは違うけど、乙一好きは読めると思う。

あっ!私長い?

ということで、また。
返信する
石田衣良、良いひとですね! ()
2006-12-02 11:58:06
 先にコメいただいた方にレスしてました。きゃ、またいただいてたのでうれしいです。石田衣良、私も大好きです。青少年(って言い方、ださ)に絶望してなくて、希望をラストに用意してくださるのでラブです。でも、私は池袋ウエストゲートパークなら、まこっちゃんよりやっぱりタカシに憧れちゃいますよ。胸のうちを明かさないキャラが大好きなのです、きっと私がドMだからだわ。石田さんは報道番組なんかに出てらっしゃるときのコメントがとても好きです。やっぱり絶望してないところがいいな。それと自分の世代にきちんと責任を感じてるっていうか、いい加減に言わないところが好感度大。報道ステーションの古館さんも好きなんですが、あの2人が話していたときにはぐっときちゃいました。この国にもきちんとした男がいるじゃないか、なんちゃって。
 そうそ、「親指さがし」、読みましたよ。あんなに簡単に人を殺すなよ、出てくる人間に責任持てよ、お前、ってガラ悪いですが、思いました。あれなら誰だって書けます、いいすぎですけど、たはは。智彦があっさり死ぬとわかって、映画を観るのはよしました。松ケンだったんで。松ケンヲタですみません。
ここでは長々書いちゃってくださって全然OKです。活字中毒なんで、私、すっごく楽しみにしてます。これからもどうぞよろしくお願いしますね、ラブ

返信する
Unknown (tomosaka)
2011-08-18 11:49:59
なるほど。言われたみればそうかも
でも、「ノートに書かなければ防げる殺人」と
声で無意識のうちに殺して気付いた、主人公とはちょっと違うかも
一時期、同じ福岡出身で、年も変わらない私としては、
乙一にはまった時期もあったけど
彼の作風って、ワンパターンですぐに飽きてしまって
「この作家、本気でヤバイのか?」と感じたことも。
活字中毒で、本さえあれば生きていける!
くらいのわたしにとっては
乙一は話題性だけで才能は微妙
山田さんの「リアル鬼ごっこ」は
単行本で購入したのにあまりの稚拙な文章に驚いて、途中で捨てた記憶が・・・。本を途中で捨てたのは初めてだったな。
あ、「リアル鬼ごっこ」の映画は原作より盛り上がりがあって面白かったですよ
オススメです。そんなにグロイ描写もないし。
何をコメントに書いたのか?
訳が解らなくてごめんなさいね
返信する
tomosakaさんへ ()
2011-08-20 10:53:52
こんにちは。

乙一さんのGOTHの神山樹少年が大好きで、
それと岩井俊二監督のラブレターの、
藤井樹からもですが、ハンドルネームをいただきました。
乙一さんは寡作ですよね。
でもって、何度もアンソロジーみたいになってるし、
いらいら感は募りますけどー^、
それでも大好きな作家です。
主人公を甘やかさないのが好きで。
もうこの作品は細部までは覚えていないんですが、
ぞっとしたと同時に、
実は夜神月というような人格って、特異なものではないんだと、
感慨深かったのを思い出します。

山田さんの《親指さがし》、確かに最後まではしんどかったですね。
途中で投げ出したんですか? 最後まで読んだんですが、
え、ありですか?的なね、拍子抜けでした。
あ、「りある鬼ごっこ」でしたね。

私、思い切り、大東俊介くんに感情移入してましたんで、
楽しめました^^
7次元世界でしたっけ?、意味不明だったけど、
それだけ次元があればLに逢えるかな、なんて、
相変わらずのおばかなことを考えましたよ笑

オキニの作家、こんど教えてくださいね!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。