はじめまして、北郷一刀です。
巷では、『天の御遣い』とか呼ばれているその人です。
さて、魏呉蜀の三国同盟が成立してから1年が経ちました。
大侵攻を目論んでいた五胡の脅威も遠のき、盗賊や山賊の輩はその姿を消して、大陸は久しく平和を享受しています。
仲間たちもとても元気です。
麗羽・斗詩・猪々子の三人にいたっては、美以と一緒に、南蛮へと財宝探しの旅に出ています。
白蓮も、斗詩さんと一緒にセーブ役として付いて行きました。ホントにいい人です。
国が栄え、市で盛んに取引が行われて、民が笑顔で暮らしている姿を見ると、自分が天下安寧のために少しでも役に立てたのではないかな~と思っています。
愛する仲間たちと身も心も一つにして、剣劇と馬蹄が響きあう戦場を一心不乱に駆け抜けてきたことは本当に僕の誇りです。
……えっ? 口調が変だって?
仕方ないだろ。
歴史にその名を刻む英傑・豪傑たちの視線を全身に浴びていたら、俺みたいな一般人が現実逃避をしたくなってもしょうがないじゃないか。
そう、一刀は絶体絶命の危機を迎えていた。
周りは糾弾するがごとく(一部好奇の視線アリ)の視線を突き付けてくるばかりで、援軍の見込みはゼロ。
だが、危機と言っても、今までの一刀の行いが招いたことなのだから、自業自得と言えないこともない。
因果応報と言われても否定はできないだろう。
怒りの原因は明白だった。
魏の曹操・呉の孫策から桃香宛てに来た二枚の手紙だ。
二枚の手紙には、要約するとこう書かれていた。
『一刀のことを、(自分を含めて)仲間たちが非常に気に入っている。
そして、末永く安定した時代を保つためにも、天の御遣いの血を魏(呉)の両国に広く浸透させたい。だから、一刀に魏(呉)に来て欲しい』
そう、事実上の、種馬要請だったのだ!!
「さて、ご主人様」
「はいっ!?」
朱里から渡された二通の手紙を一刀が読み終わると、さっそく愛紗が切り出す。
見惚れるような笑顔だが、目はワラッテいない…
「何か弁明はございますか」
「あの~、愛紗……さん? その前に、こちらに向けている青竜刀は何…なのでしょうか……?」
戦場以上の命の危機を感じ、背中に流れる冷汗を感じながら、必死に言葉を絞り出す天の御遣い。
「お気になさらないで下さい。 我が青竜刀は、悪を討ちはらい闇を切り裂く義の刃。ご主人さまを傷付けることなど決してありません。
……尤も、ご主人様には多少のお仕置きは覚悟していただきますが」
「今、お仕置きって言った!」とか、「俺は何も知らない!」とかいろいろと言いたいことはあるが、愛紗の黒いオーラがそれを許してはくれない。
むしろ魏や呉の将の真名を言ったら逆効果だ。
火に油を注ぐどころか、ニトロやジェット燃料を投入するような結果になるのは目に見えている。
くっ! 誰か俺を助けてくれる人はいないのか!?
わずかの希望を抱いて、視線を軍儀の間に居並ぶ将たちに向けるが、その願いを聞き入れてくれる者は誰もいない。
ニコニコと笑顔を向けている桃香と紫苑。だが、もちろん目はワラッテいない。
軍師ズは、目に涙をためてうるうる状態。
恋も、不安そうな瞳で見つめてくる。
鈴云は、頬っぺたを膨らませて不満さをアピール。
「こっ、この、エロエロ魔神!!」と顔を赤らめて怒っているのは翠。
「詠ちゃ~ん、ご主人様が~~」と泣きつく月を慰めながら、詠は憎しみを込めて睨みつけてくるし。
星・たんぽぽ・桔梗は、ニヤニヤしながらこっちを見て傍観者を決め込んでいる。
焔耶と音々音にいたっては、「これで、桃香様(恋殿)は、私(ねね)のものだ(なのです~)!」と、妄想を膨らませてあっちの世界に逝っていやがる。
つまり、味方はゼロってことか。
空気が重い! というか、空気が痛い!! いたたまれない!!!
チャキッ。
刃を横にねかした青竜刀が、一瞬のうちに一刀の首の横に構えられる。
「ご主人様? 私と話している時に、他の女性に色目を使うとは随分と余裕でいらっしゃるのですね?」
「はは…。 そんなこと……ないですよ………」
眉が釣り上がり、黒いオーラが全開状態となった愛紗を見て、一刀の額を背中を冷汗が滝のように流れていく。
嫉妬する忠犬の背後には浮かぶのは般若か、それとも羅刹の姿か。
うぅ…
こうなったら、桃香に頼んで……
「主。 女を好む英雄たるもの、ここで愛紗の怒りを受け入れられないようでは男の器量も疑われるというのも。ましてや、桃香様に泣きつくようなことはしないでしょうな?」
ニヤリと笑みを浮かべながら、一刀の逃げ道をふさぐ星。
「ご主人様がそんなことするはずないじゃ~ん♪」
「お館様。ここは覚悟を決める場ぞ」
ニシシと笑うたんぽぽに、不敵に微笑む桔梗がさらに追い打ちをかける。
「ぶー。ここは反省しなきゃダメだよ、ご主人様。 私だって、怒ってるんだからね。」
そして、頬を膨らませながら拒絶の意思を示す桃香。
最後の望みを断たれ、『神は死んだっ!』と思わずにはいられない一刀に、裁きの時間が訪れる。
「うむ。この関雲長、皆を代表してこの任を全うしよう。 では、ご主人様。歯を食いしばって耐えて… もとい、我ら家臣一同の気持ちを受け取ってください」
お仕置き執行は、もはや逃れられないようなだ。
「あの愛紗?」
「何でしょうか?」
「気持ちいっぱい、手加減をお願いします…」
にっこり。
「「「「ご主人様のバカーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!!!!」」」」
愛する仲間たちの怒り声が響く中、頭に青竜刀の柄が振り下ろされ、
一刀は意識を手放した。
巷では、『天の御遣い』とか呼ばれているその人です。
さて、魏呉蜀の三国同盟が成立してから1年が経ちました。
大侵攻を目論んでいた五胡の脅威も遠のき、盗賊や山賊の輩はその姿を消して、大陸は久しく平和を享受しています。
仲間たちもとても元気です。
麗羽・斗詩・猪々子の三人にいたっては、美以と一緒に、南蛮へと財宝探しの旅に出ています。
白蓮も、斗詩さんと一緒にセーブ役として付いて行きました。ホントにいい人です。
国が栄え、市で盛んに取引が行われて、民が笑顔で暮らしている姿を見ると、自分が天下安寧のために少しでも役に立てたのではないかな~と思っています。
愛する仲間たちと身も心も一つにして、剣劇と馬蹄が響きあう戦場を一心不乱に駆け抜けてきたことは本当に僕の誇りです。
……えっ? 口調が変だって?
仕方ないだろ。
歴史にその名を刻む英傑・豪傑たちの視線を全身に浴びていたら、俺みたいな一般人が現実逃避をしたくなってもしょうがないじゃないか。
そう、一刀は絶体絶命の危機を迎えていた。
周りは糾弾するがごとく(一部好奇の視線アリ)の視線を突き付けてくるばかりで、援軍の見込みはゼロ。
だが、危機と言っても、今までの一刀の行いが招いたことなのだから、自業自得と言えないこともない。
因果応報と言われても否定はできないだろう。
怒りの原因は明白だった。
魏の曹操・呉の孫策から桃香宛てに来た二枚の手紙だ。
二枚の手紙には、要約するとこう書かれていた。
『一刀のことを、(自分を含めて)仲間たちが非常に気に入っている。
そして、末永く安定した時代を保つためにも、天の御遣いの血を魏(呉)の両国に広く浸透させたい。だから、一刀に魏(呉)に来て欲しい』
そう、事実上の、種馬要請だったのだ!!
「さて、ご主人様」
「はいっ!?」
朱里から渡された二通の手紙を一刀が読み終わると、さっそく愛紗が切り出す。
見惚れるような笑顔だが、目はワラッテいない…
「何か弁明はございますか」
「あの~、愛紗……さん? その前に、こちらに向けている青竜刀は何…なのでしょうか……?」
戦場以上の命の危機を感じ、背中に流れる冷汗を感じながら、必死に言葉を絞り出す天の御遣い。
「お気になさらないで下さい。 我が青竜刀は、悪を討ちはらい闇を切り裂く義の刃。ご主人さまを傷付けることなど決してありません。
……尤も、ご主人様には多少のお仕置きは覚悟していただきますが」
「今、お仕置きって言った!」とか、「俺は何も知らない!」とかいろいろと言いたいことはあるが、愛紗の黒いオーラがそれを許してはくれない。
むしろ魏や呉の将の真名を言ったら逆効果だ。
火に油を注ぐどころか、ニトロやジェット燃料を投入するような結果になるのは目に見えている。
くっ! 誰か俺を助けてくれる人はいないのか!?
わずかの希望を抱いて、視線を軍儀の間に居並ぶ将たちに向けるが、その願いを聞き入れてくれる者は誰もいない。
ニコニコと笑顔を向けている桃香と紫苑。だが、もちろん目はワラッテいない。
軍師ズは、目に涙をためてうるうる状態。
恋も、不安そうな瞳で見つめてくる。
鈴云は、頬っぺたを膨らませて不満さをアピール。
「こっ、この、エロエロ魔神!!」と顔を赤らめて怒っているのは翠。
「詠ちゃ~ん、ご主人様が~~」と泣きつく月を慰めながら、詠は憎しみを込めて睨みつけてくるし。
星・たんぽぽ・桔梗は、ニヤニヤしながらこっちを見て傍観者を決め込んでいる。
焔耶と音々音にいたっては、「これで、桃香様(恋殿)は、私(ねね)のものだ(なのです~)!」と、妄想を膨らませてあっちの世界に逝っていやがる。
つまり、味方はゼロってことか。
空気が重い! というか、空気が痛い!! いたたまれない!!!
チャキッ。
刃を横にねかした青竜刀が、一瞬のうちに一刀の首の横に構えられる。
「ご主人様? 私と話している時に、他の女性に色目を使うとは随分と余裕でいらっしゃるのですね?」
「はは…。 そんなこと……ないですよ………」
眉が釣り上がり、黒いオーラが全開状態となった愛紗を見て、一刀の額を背中を冷汗が滝のように流れていく。
嫉妬する忠犬の背後には浮かぶのは般若か、それとも羅刹の姿か。
うぅ…
こうなったら、桃香に頼んで……
「主。 女を好む英雄たるもの、ここで愛紗の怒りを受け入れられないようでは男の器量も疑われるというのも。ましてや、桃香様に泣きつくようなことはしないでしょうな?」
ニヤリと笑みを浮かべながら、一刀の逃げ道をふさぐ星。
「ご主人様がそんなことするはずないじゃ~ん♪」
「お館様。ここは覚悟を決める場ぞ」
ニシシと笑うたんぽぽに、不敵に微笑む桔梗がさらに追い打ちをかける。
「ぶー。ここは反省しなきゃダメだよ、ご主人様。 私だって、怒ってるんだからね。」
そして、頬を膨らませながら拒絶の意思を示す桃香。
最後の望みを断たれ、『神は死んだっ!』と思わずにはいられない一刀に、裁きの時間が訪れる。
「うむ。この関雲長、皆を代表してこの任を全うしよう。 では、ご主人様。歯を食いしばって耐えて… もとい、我ら家臣一同の気持ちを受け取ってください」
お仕置き執行は、もはや逃れられないようなだ。
「あの愛紗?」
「何でしょうか?」
「気持ちいっぱい、手加減をお願いします…」
にっこり。
「「「「ご主人様のバカーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!!!!」」」」
愛する仲間たちの怒り声が響く中、頭に青竜刀の柄が振り下ろされ、
一刀は意識を手放した。
それにしても、モテモテだなぁ……アレな気がする上に、私はごめんですけど。
と、言うか、必然ですよねー、平和な時代に彼が動けば、流石は魏の種馬! 呉の孕ませ使者! ついでに、蜀のチ○コ!
……アレな呼び名しか思い浮かばないというのも本当にアレな感じですけど……
まぁ、なんというかがんばれ!
ではー