夢の続きの中で

真・恋姫†無双のSSを書いていきたいと思います~

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第3章 ~天の御遣い争奪戦~

2009-02-08 23:16:47 | 蜀END 長編SS

「そっ、それは、一体どういうことだっ!?」

「はわわっ」

「あわわっ」

 雛里の言葉に、もの凄い剣幕で詰め寄る愛紗(嫉妬全開ver.)。
 
 そして、ビビりまくる軍師ーズ。雛里にいたっては、すでに涙目だ。

「わわっ! 愛紗ちゃん、落ち着いて!」

「これが落ち着いてなどいられますか! どうして、曹操や孫策を、我らがご主人様が、つ、つつ…妻に娶らなければならないのですか!?」

 ガオーーーーッと天に吠える今の愛紗の彼女には、桃香の言葉でさえ届かない。
 
 大陸を支える王であり、盟友であったはずの曹操と孫策は、愛紗の中で、今、『最も警戒すべき敵(恋敵)』となったのだ。

 一方、話はますます飛び火していく。

 それが蜀ワールド。

「鈴々も!鈴々も! お兄ちゃんとの子供たくさ~ん欲しいのだ!!」

「ねー。ご主人さまとの赤ちゃん、きっと可愛いんだろうな~」

 笑顔で明るい未来(若干の妄想がアクセント)について語りだす義姉妹。次女は怒り心頭中なのでスルーで。

「たんぽぽも、ご主人様との子供が欲しいな♪ お姉さまだって、そうでしょ?」

「あっ、あ、あたしは、べ、べつに、ご主人様との子供なんて…」

「ふむ。ならば、翠は主の寵愛はさして欲しくない…と」

「どど、どうして、そういう話になるんだよっ!」

 (ほんと、お姉様は素直じゃないんだから…)とため息をつくたんぽぽ。だが、星が意地悪く笑いながら翠を追い詰めていく。

「主を好いている乙女は、両手では数え切れない程いるのだからな。『らいばる』が減って、私の伽の番が早まるなら言うことはないであろう?」

「なっ!?」

「昨夜も主は、私を何度もお求めになられた… 気高い眼差し、誇り高き志、そして…床の上でのあれ程の手練手管…… 主ほどの男性はそうはいないだろう。やはり、私の目に狂いはなかったということだ」

 頬を染めて、恍惚そうな表情でつぶやく星。妖艶なことこの上ない。

「それに…… 翠も、主から頂いたあの衣装で、楽しんでいるのだろう?」

「〇▼※?<∴!!」


 ボンッ!!

 
 いきなり自分に話題を振られた翠は、羞恥心で顔を真っ赤にさせ、口をぱくぱくさせている。何度か経験を積んだとはいえ、ウブな彼女には、まだまだこの手の話題は苦手なようだ。

 そして、そんな姉の姿を見て何もしないたんぽぽ嬢ではない。単に、場をかき乱して面白くさせたいだけとも言うが。

「うん、そーだよっ! この前も、たんぽぽとお揃いの服で……(もがもがッ)」

「ばっばか! たんぽぽっ、何言ってんだよ!」

 爆弾発言をかまそうとした従姉妹を翠が慌てて取り押さえる。そして、やれやれと苦笑する星を尻目に、そのままドタバタと暴れまわる馬家姉妹。


「はいはい、みんな、話を戻しましょうね」

 紫苑が手を叩いて注目を集め、カオスがかっていた場をとりまとめる。

「愛紗ちゃんも落ち着いて、ね? それじゃあ、朱里ちゃん、続きをお願いできるかしら?」

 次は男の子が欲しいわねと思っていただけに、自身の心境も穏やかでないはずだが、そんなことは表に出さずに、慈愛の表情を浮かべる紫苑。


 流石は、年長……

 うそです、ごめんなさい。ごめんなさい。だから、笑顔でこっちに弓を向けるのは止めて下さい。


 ごほんっ。


 流石は…、とかく暴走しがちな蜀面子の数少ない良心の一人であり、包容力があって、魅力ある素敵な大人の女性である。(棒読み)


「はい。私達が早急に考えなければならないこと… それは、もちろん、この手紙に対してどう返答するかです」

 さっきから何も話が進んでないじゃないかという突っ込みは野暮である。細かいことは気にしてはいけない。

「返答など決まっている! 婚姻の申し込みでさえなく、このような… ただご主人様の血が欲しいなどという無礼な申し出など、受け入れられるはずがなかろう!」

 怒気もあらわに愛紗は気炎万丈に叫ぶ。

周りの表情を見るに、だいたい皆も同意見のようだ。ただし、朱里と雛里を除いては…

 そして、心の葛藤を何とか抑えこみながら、朱里が言葉を紡ぎだす。

「それは…残念ながらできません……」

「なっ!? 朱里っ!それはどういうことだ!お主は、ご主人様が魏呉で種馬になることをみすみす認めよとでも言うのか!?」

 激高し思わず詰め寄ろうとする愛紗であったが、

「愛紗さん、落ち着いて下さいっ!!」

 いつも控え目な少女には珍しい程の大声に、愛紗は押しとどまり、周りの皆も眼を見開いて驚く。

「私だって… 私だって、みなさんと気持ちは同じです!ですが…、これは、華林さん・雪蓮さんという個人としてのお願いではなく、曹孟徳・孫伯符という王としての申し出なんです……」

「相手が王としての立場で申し出ている以上、私達の個人的な感情で動くことはできません…… そして、向こうは治世の安定という大義名分を掲げている以上、断るにはそれを上回る理由が必要なのに……」

 話の途中で、朱里は俯き悔しげに唇を噛む。

 朱里という自分は、主人としても一人の男性としても愛している一刀を奪われたくないと叫ぶ。

 だが、諸葛公明というもう一人の自分は、これが持つ『理』と『利』が必要だと主張する。

(ご主人様………)

 今、彼女は、一人の少女と軍師の狭間に苦しんでいた。


 相反する想いに苦しんでいる親友を見て、雛里が後を引き継いで話を進める。

「……ご主人様はお優しい御方です… 初めてのお子様が生まれるということになれば、御子様とその女性のお側にいらっしゃろうとすると思います…… そして、曹魏・孫呉の女性の方が相手方であれば、結婚して、蜀を離れることになるかもしれません………」

 責任を取るためか、又は、妻と子供の拠り所となりたいという想いからか、理由は多々あれ、一刀の性格ならば逗留することを厭わないだろう。

 そして、一刀のことをよく知っているからこそ、彼女たちも主人の行動が容易に想像することができた。

 だからこそ、その時、時が止まった。

 北郷一刀が蜀からいなくなる…?

 自分たちの側から愛しい方がいなくなってしまう……?

 もう、あの笑顔も、あの声も、あの温かさも、何も感じることができなくなってしまう………?


 雛里の言葉は、それほど衝撃的なものだったのだ。


 身も心も捧げた唯一無二の存在であり、自分の半身とも言える男性と会えなくなる。それは、たとえ想像の域を出ないとしても、魂を引き裂くような痛みを彼女たちの胸に突き立てる。

「鈴々は嫌なのだ!絶対、絶対、ぜぇーーったいお兄ちゃんと離れたくないのだ!!」

 皆の心を代弁して鈴々が叫ぶ。
 
 彼女たちとて一刀のことを疑っているわけではない。一刀がいれば、「ここが俺の帰る場所だよ」と笑顔で言ってくれると信じている。全員を平等に愛してくれると分かっている。

 だが、

 自分たち以上の愛が注がれうる存在が出現すれば、どうなるかは何の保障もない。ましてや、いくら同盟関係にあるとは言え、重臣である彼女たちが他国に気軽に出向けるわけではないのだ。


 重い空気が場を支配し、普段は飄々とした星でさえ苦りきった表情をしている中、雛里が口を開いた。

「……はい。だからこそ、私はここは守るのではなく、あえて攻めに出るべきだと思うんです」

「守るんじゃなくて…」

「…攻める?」

 桃香と愛紗以外にも全員が疑問符を頭に浮かべる。誰も雛里の真意を理解できていないようだ。だが、朱里は何かに思い至ったかのように顔をあげる。

「守ではなく攻……… 雛里ちゃんっ、まさか!?」

「うん… 朱里ちゃんが考えている通りだよ」

「でも、それだとご主人様の気持ちが……」

「それはそうだけど… これ以上の策はないと思う」

「…でも……」

 そして、頭脳明晰な軍師二人が再び思考の海に戻ろうとするが、これ以上の放置プレイはごめんとばかりに周りが動きだす。

「うーうー、二人だけで話してて鈴々たちは置いてきぼりなのだ!」

「そうだぜ、あたしたちにも分かるように言ってくれよなー」

「ふむ。鈴々と翠の脳筋コンビと同じ…というのはいささか不本意だが、私も説明をお願いしたい」

「朱里ちゃん、雛里ちゃん、私達にも分かるように説明してもらえないかな?」

 あははと笑いながら、桃香が二人に話しかける。もっとも、本人も全く何が何だかわかっていないのだが。

「あっ、すみません。えっとですね… 問題を整理すると、まず、私達には、ご主人様の血を統治に役立てるという大義に反論はできません。そして、魏呉の女性との間に、初めてのお子様が生まれるということになれば、ご主人様がこの国を離れることになる可能性が大きいと思います……」

「確かに、曹操も孫策も、主に対する接し方はいつもとは違う様子であったからな。これ幸いと、主を自国に迎い入れようとしてもおかしくはない」

「では、どうすればいいというのだっ!?」

 星は苦々しく述べ、焦れたように愛紗が叫ぶ。どうやら、三国同盟を祝して開かれるお祭りでの、華琳や雪蓮が一刀に時折見せる乙女の表情を思い出して気が急いているらしい。

 そこに、軍略の天才・鳳士元として策を披露する。

 だが、その顔はどことなく恥ずかしそうだ。


 さて、その策の内容は??


「……策はあります…。…私達の誰かが、先に、ごご主人様の……」


「「「「「「ご主人様(お館様)(お兄ちゃん)(主)の?」」」」」」


「お、お妃さまになるんです!!」


「っ!!!???」

 一瞬にして、将たちの顔がポッと朱に染まる。

 星までが顔を赤らめて、どことなくソワソワしているところを見ると、どうやら、まんざらでもないらしい。

 雛里にいたっては、羞恥心が限界を突破したのか、目をぐるぐる回して「はうぅぅ~~~~」状態だ。

 他のみなも、一刀が愛の言葉を囁く甘い空間を思い浮かべたのか、ほわわ~んと桃色の雰囲気が広がっていく。

 愛紗や翠といったウブな人は言わずもがな、紫苑や桔梗といった大人の女性も、どこか照れた様子が実に艶やかで艶めかしい。


 閑話休題。


 そんな桃色の雰囲気が広がりそうになる中、朱里の咳払いがそれを阻止する。

「こほんッ… とにかくっ、わたしたち蜀の重臣の誰かがご主人様のお妃様になれば、魏呉にご主人様のお子様がお生まれになっても、ご主人様が蜀から離れることはなくなると思います… もちろん、ご主人様の気持ちあっての策ですが……」

 自分もその候補にちゃっかりカウントしているあたり、実に朱里・雛里らしい作戦であるが、愛紗が疑問をはさむ。

「だが、そううまくいくのだろうか?」

 もっとも疑問なはずだが、そこに茶々を入れようとする人がこの場には一人いた。

「おや? 愛紗は、曹操や孫策よりも先に主の愛を勝ち取る自信がないと?」

「なっ!? 星ッ、何を言うか!?」

「私とて主の愛を独占するつもりはないが、だからと言って…、この趙子龍、愛しい我が主を誰かに譲るつもりは毛頭ないのでな」

 ニヤリと笑いつつ、星は愛紗と他の皆を見やる。その目は、実に挑戦的だ。そして、その目に血の気の多い何人かが反発しようとしたが…、

「皆さん、落ち着いてください。内部に不和があれば、曹操さん・孫策さんという英雄に勝つことはできません… ここは、一時休戦…にすべきかと」

 朱里の言葉に、その場にいる全員が不承不承うなずく。

 相手は、英雄と呼ばれる曹操に孫策。そして、国のトップが敵(彼女たち視点で)に回る以上、魏・呉国の将たち全員が敵(嫉妬心のためそう見える)になることは間違いない。

 家臣として常にお側にいるというのはアドバンテージではあるが、あの二人が本気になったら、そんなものに安心していては足元をすくわれてしまうだろう。


 そう、今、彼女たちは、個人としても将としても心が一つになったのだ!!

 
 動機がいささか不純なことは否めないが。。


「でも、具体的にどうするのだ?」


「うん、えっとね…」


 そして、雛里が策の詳細を話していく。

 この会議は、お昼過ぎになってもまだまだ終わらず、月たちのお仕置き・尋問を受けて一刀が夕方に戻ってくるまで続いたらしい。

 ちなみに一刀は、何度も謝り、恋を食べ放題に連れて行き、月と詠は一日中デートということで何とか許してもらえたようだ。


 相も変わらず、蜀は平和である。
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7 コメント

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更新お疲れ様です。 (こうり)
2009-02-09 08:34:16
最新話読ませて頂きました。読んでる最中ずっと笑いが止まりませんでした…(笑)ナイスな展開乙です。それにしてもさすが一刀…床の上ではまさに三国無双(笑)いっそのこと大陸の床覇王と改名したら如何かと(笑)次回からさらに修羅場指数が増しそうな予感…!楽しみにさせていただきます。
Unknown (nemesis)
2009-02-09 13:52:06
更新お疲れ様です。
一刀を蜀に留める為の策が一刀の后になるか。
それだけだと蜀に留めるのは難しいんじゃないかな?
ちゃんと后になる+御子を一番に産むでないと、決定力に欠けると思う。
まあ一刀の事だから、他国で自分の子供が生まれることになれば長期出張のような形で出かけるだろうね。

だれが一刀の妻になろうが尻に敷かれるのは確実だねw
Unknown (asakura)
2009-02-09 15:18:26
何度読み返しても面白い!

さすがは色々な異名を持つ一刀だなぁと思う。
まず皆がどの様にアピールするのか?そして、一刀はちゃんと気付くのか?…その他にも色々思うところがあるが、今後どの様な修羅場が用意されているのか待ち遠しいです。
最新話頂きました! (び~じぇい)
2009-02-10 06:19:20
面白くなってきましたね!
ずっと楽しみにしてました。

手紙に対して一刀が「え?俺は行くつもりはないよ?」とか、反応したら仲間は驚くでしょうね(笑)
Unknown (猫の使い)
2009-02-15 14:15:09
更新乙です
それにしても・・・・一刀はどんな外史でも代わりませんなw

そしてあの鈍感な全身○太守がどうなっていくのか

楽しみですw
Unknown (武刃)
2009-03-20 09:23:01
おもしろい!
続きをお願いします。
人増えてきましたねーw (魔龍 銀)
2009-11-16 15:23:13
どうも、魔龍です。

それにしても、混乱してるなーw
……まぁ、一刀……君の意思はともかくとして、とりあえず別のくちで三国統一したまへ、主に三国の主を娶r(ry

それにしても、平和だなぁ、良いことだw

ではではー

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