何年か前、友人たちとの話。
Aさんは当時ある事情で、ご主人と別居していました。
別居生活が何年か続き、妻であるAさんはご主人に「一度も帰って来いと言わないね」と言うと、
ご主人は「君が別居すると決めたことだから、戻ってくるのも君が決めることだ」と言ったそうです。
私はそれを聞いて、「ご主人はAさんを尊重してる」と言いました。
ところがAさんと、一緒にいたBさんの二人はご主人の言葉を「冷たい」と言います。
「夫婦なんだから、それは冷たい」と。
同じなのにこれだけ意味の違いがあると、再確認しました。
ラカンは、人は自分の辞書を持っていて、言葉の意味が皆違うと言います。
言語学のソシュールが言った、シニフィエ/シニフィアン(シニフィアン分のシニフィエ)。
シニフィエ=記号・言語、シニフィアン=意味、これをソシュールは〇で囲み、広辞苑の辞書のように固定した言葉と意味にしましたが、
「記号としての言語・言葉や文章は同じでも、その下の意味は人によって違い、その人なり意味が滑り込む」、とラカンは言います。
個人の持つ辞書が違うので、「全ての人のコミュニケーションは誤解から始まる」とも言います。
正にその通り、別居している妻に「一度も帰って来い」と言わない夫を「冷たい」と意味づける友人たちと、「尊重」と意味づける私。
これだけ意味のつけ方、受け取り方が違います。
どれが何がいい悪いではなく、正解でもなく、他者との違いを認めることが難しい。
人はつい、自分の考えと人も同じだろうと思いがちです。
違う意味や意見、考え方を言われるとびっくりしたり、また、自分の意味が正しいと主張したりします。
相手の意味や考え方を自分に合わさせようとしたり、否定することもあります。
これは自他未分化です。
自分が個として自律・独立していれば、他者と自分は違うことを認識し認めます。
だから、違うこともあれば同じこともある。
決して、他者を自分と同じに合わさせようとはしません。
違いは違いとして、他者を尊重します。
自他未分化の基は、母子関係に遡ります。
人間は自立するまでの依存期間が他の動物とは比較にならないほど長いため、親から巣立ち、分離が難しいです。
自立には、空間的自立、経済的自立、心理的自立の三つがあります。
心理的自立をするには、母、父を一人の女性、男性と見、対等な人間関係を築くこと。
女性なら20歳を過ぎれば母とは、一人の女性同士として付き合うことです。
これができている人は少ないと思います。
いつまでも子供時代が終わらないことが、様々な問題を起こします。
人にとって、本当の意味で大人になるのは難しい課題です。
自他未分化である限り、いつまでも親の手の中で影響を受け続けます。
しかし、親と分離するれば、自分の本来の特性、良さが発揮できます。
ライト.a精神科学研究所 登張豊実
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