Lady Ella

ひとり語り・・・

バーボンウイスキー・・・例えば・・・

2005-05-12 05:05:37 | Liquor
 ワイルドターキー・・・・・

 そんなこんなでバーボンを飲み始めた私はどんどん、どんどんとその深みに嵌っていった。アーリータイムズ、フォア・ローゼス、IWハーパー・・・今ではスタンダード・・・いやぁ~安かったから・・・なんてぇ~奴をもう手当たり次第に飲んで飲んで飲みまくった。

 そんな中でもひときわ酒屋の棚で輝きを放っていたのが、ワイルドターキーって奴。見たこともないような気持の悪い鳥が描かれていて・・・高い。
「ふ~む、こいつぁ~ちょいとやっつけるしかないなぁ・・・」なんぞと勝手に敵意を剥き出しにして
「絶対にこりゃ~BARで飲んでやる」・・・てな事を思う・・・

 そんな機会が不意にやってきた。21歳以下には絶対にお酒を出さないキャリフォルニアでアメリカ人のお友達がBARに連れて行ってくれると言う。いちもにもなく・・・
「ねぇ、ほんとに飲ませてくれるの?」半信半疑ながら行きたくてしょうがない私・・・
「多分、大丈夫・・・だって友達が働いているから、でも、あれだぞ、勉強の為に自分で注文しろよ」って、そのお友達・・・そんな事ぁ~あったりまえだのクラッカーてな調子で喜び勇んで出掛けて行った訳である。

 BARに着いて、最初に思った事・・・暗い・・・混んでいる・・・そしてどこかしら猥雑なんである。ネオン管が毒々しいまでの光を放ちロックがうるさいほどに耳をつく。静々と友達の後ろにつき従ってなんとかカウンターに辿り着く。多分、「こいつが話ししといた俺の友達。お願いだから飲ませてやってよ」って彼は言っていたと思う。何しろ言葉は良く解かんないし音楽がでかすぎてなんだか全く聞き取れないのだ。
 すると突然・・・「ワッリューウォン」て聞こえた・・・・・出きるだけでかい声でもっともらしい発音を真似て・・・「ヴァ~ヴォン」と私はほとんど叫んでしまっていた。するとどうだ・・・
「ハァ~ン」・・・ハァ~ンて言われてもなんともしようがない私はもう一度、もっと大きな声で「ヴァ~ヴォ~ン」って言うしかなかった。
「ワッカイン」・・・ワッカインって、ほほう銘柄を言えって事か、とちょっと落ち着きを取り戻した私は、満を持して・・・
「ワイルド・トゥア~キ~」って恥ずかしながら脳天から声が出てしまっていたのだ。
「オ~ケェイ」とか言うやいなやポーラー付のボトルで小さなグラスにトポトポトポっと注いでくれた。
「センキュー」・・・ちょっと格好をつけた私は様にもならないポーズをとってグビリとそいつを放り込んだ・・・焼ける、熱い、ぬるい、爆発・・・そしてターキーは私の咽喉に張り付いた。ボヘッ・・・とちょっとむせながら・・・「ワンモ~」・・・「ユ~オーケイ?」全然オッケーなんかじゃ~ないんだけれど多分こ~やって飲まなきゃ~いけないって今決めてしまったのだ。
 とは言え2杯目はかなり用心して飲んでみた・・・すーっと、ゆっくりと流し込んでみる。ふわっと広がる。一杯目が嘘のようにそいつは甘く香り・・・じわっと、ゆっくりと咽喉元を通り過ぎてゆく。
「う・う・美味い・・・」思わずうめいて顔を上げてまじまじとバーテンの顔を見ると・・・パツキンの彼女が・・・微笑んでいた。

 以来20数年・・・いまだに私のバーボンの基準はターキーなのである。ターキーよりも甘いのか、辛いのか。重いのか、軽いのか。すべての始めて飲むバーボンを推し量る基準になっている。
 しかしあの時以上に美味いターキーを飲めていないのも事実である。



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