京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

おにぎりの花?……ではありませんよ

2020-06-18 07:16:21 | 雑学・蘊蓄・豆知識
梅雨の合間の五月晴れの日の朝早く、参拝がてら真如堂(真正極楽寺)に立ち寄ると、本堂前でナツツバキ(夏椿)が咲いていました。




咲いていたと言っても早朝だったので、まだ完全に開ききっておらず、丸くてふっくらした咲き姿です。




ナツツバキはツバキ科ナツツバキ属の落葉高木で、寺院では「沙羅の木」「沙羅樹」「沙羅双樹」と呼んで仏教の三大聖樹のひとつのように扱われます。でも本当の沙羅双樹はインドから東南アジア原産のフタバガキ科の熱帯性の常緑高木で、ラワンの一種のレッドラワンと同属の樹木なのです。4月頃に小さな星型の白い花を咲かせますが、耐寒性がないので冬は温室内でないと日本では育ちません。そのため、昔の人は本当の沙羅双樹に葉が似ているナツツバキを代用した、あるいはナツツバキを沙羅双樹だと勘違いしたなど、ナツツバキを沙羅双樹とした由来は諸説あるようです。

有名な「平家物語」の冒頭「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す」に出てくる沙羅双樹もナツツバキのことです。

さて、このナツツバキですが、2年前に京都御苑で出会った花のようにもちろん完全に開ききった花も好きなのですが、個人的には咲き始めの姿のほうが好きです。


京都御苑のナツツバキ(2018年6月撮影)


それはなぜかというと、ただ食い意地が張っているだけなのかもしれませんが、花の位置やかたちによっては、このかたちの花をみるとどうしても「おにぎり」を連想してしまうからです。海苔を巻いたら小さな三角おにぎりに見えませんか?




そして今日6月18日はなんと「おにぎりの日」という記念日なのだそうです。これは昭和62(1987)年11月に日本最古のおにぎり状の炭化米が見つかった「杉谷チャノバタケ遺跡」がある石川県鹿島郡鹿西町(現在は中能登町)が町おこしの一環として行った「おにぎりの里」の制定に併せて記念日を登録したからで、平成14(2002)年に日本記念日協会認定の記念日になったそうです。

どうして6月18日なのかというと、6月は町の名前の読みである「ろくせいまち」と「6」の語呂合わせで、18日は昭和54(1979)年に三重県が制定した毎月18日の「米食の日」に合わせたのだそうです。なお、この「おにぎりの日」に似た「おむすびの日」もありますが、こちらは阪神・淡路大震災でボランティアによるおむすびの炊き出しが人々を大いに助けたことから、いつまでもこの善意を忘れないようにと1月17日がその記念日です。

コロナ禍の影響で柄杓を置かずに使えないようにされていましたが、アジサイ(紫陽花)を添えた花手水も趣があった真如堂のナツツバキと、花の咲き姿から連想した「おにぎり」とその記念日のお話でした。



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