JR嵯峨野線の二条駅の近くの植え込みに植えられているマンサクの花が咲き始めていました。
早春に咲き始める花のひとつで、マンサクという和名は、他の花に先駆けて「まず咲く」ことから、あるいは花がたくさんつくので「豊年満作」から名付けられたといわれ、漢字では和名の由来にもなっている言葉のとおり「満作」あるいは「万作」と書きます。
さて、このマンサクは日本固有種ですが、近縁で中国原産のシナマンサクという品種もあります。見た目はそっくりなのですが、違いはあるのでしょうか。
(シナマンサク)
まず開花時期が若干違います。シナマンサクのほうが開花時期が早く、1月中に咲き始めることが多いです。マンサクは少し遅く、2月になってから咲き始めることが多いですね。また、わかりにくいですが、花弁の長さはシナマンサクのほうが長く、マンサクのほうが短いようです。そして、花弁基部の色が違います。下の2枚の写真では違いがわかりにくいかもしれませんが、マンサクが鮮紅色であるのに対し、シナマンサクは暗赤色で赤黒く見えます。
(マンサク)
(シナマンサク)
さらに、シナマンサクは開花時期になっても前年の葉が枯葉となって枝にかなり残っているのに対し、マンサクは少ししか残っていないという違いもあります(わかりにくいですが、1枚目のマンサクの写真にも葉はほとんどありません)。
(シナマンサクには前年の葉の枯葉がたくさん)
少しまとめますと、
(1)開花時期の違い シナマンサクのほうがマンサクより開花が早い
(2)花弁の長さの違い シナマンサクのほうが少し長い
(3)花弁基部の違い シナマンサクは暗赤色で、マンサクは鮮紅色
(4)前年の葉の違い シナマンサクは前年の葉が枯葉となって枝に残る(ことが多い)
(5)葉の表面の違い シナマンサクは有毛でビロード状で、マンサクは無毛
になりますでしょうか。(5)はこの時期には確認できませんが、違いということで付け加えました。
ちょっと変わったかたちで、あまり見かけることのない花かもしれませんが、この時期に樹木で早く咲き始める花のひとつです。見つけたら、マンサクかシナマンサクのどちらであるかを確認してみるのも楽しいのではないでしょうか。なお、マンサクには他にもさまざまな品種があり、マンサクとシナマンサクを交配させて作出された品種もあるので、それらを見比べてみるのも楽しいかもしれませんね。たとえば「ルビー・グロー」という品種は花弁が赤く、他のマンサクと趣が違いますよ。