連休中で緊急事態宣言の発出中とはいえ、家に閉じこもっていてばかりでは心身ともによろしくないと思い、京都府立植物園は臨時休園中なので少しだけ北へ足を伸ばし深泥池に行ってみました。
ひょっとして今年は咲き始めが早いのでは、もう終わっているかな、と思いながら行ってみると、まだまだ花盛りでした。白花のカキツバタ(杜若)です。
もともとは花被すべてが純白で、アイと呼ばれる部分だけがほんのり淡黄色を帯びているだけだったらしいのですが、近年は花被に紫色の筋が入ることが多くなってきているそうです。ただ、今年はすべてではないですがかなり純白に近い花が多く感じられ、このカキツバタも外花被の基部に少し紫色が混じりますが、ほぼ純白に近い色だと思います。
このカキツバタとよく似ているのがアヤメ(菖蒲/文目)やハナショウブ(花菖蒲)ですね、でも、その違いはご存じですか?
ハナショウブはカキツバタやアヤメとどこが違う? - 京都園芸倶楽部のブログ
あちこちでハナショウブが見頃を迎えていますね。ところでハナショウブと、よく似たカキツバタやアヤメと区別はつきますか?1枚目の写真は早咲きのハ...
違いは過去記事に譲るとして、アヤメやハナショウブと同じ「菖蒲」という名前で、こちらが元祖とも言えるショウブも池畔で花を咲かせ始めていました。今日は端午の節供なので菖蒲湯に入るという方もいらっしゃるでしょうが、花はご存じないという方もいらっしゃることでしょう。
カキツバタを含め、アヤメやハナショウブはアヤメ科に分類されますが、ショウブはショウブ科で花はいわゆる肉穂花序と呼ばれ、サトイモ科の植物の花と同じようなものです。サトイモ科で身近な植物だと観葉植物としても親しまれるアンスリウムの花や山野草がお好きな方ならミズバショウ(水芭蕉)やザゼンソウ(座禅草)の他、テンナンショウ属の植物が同じようなかたちの花を咲かせます。
なお、菖蒲とは中国ではセキショウ(石菖)のことで、日本に輸入されると古くは万葉集に見られる「あやめぐさ」と呼ばれていたショウブにこの字が当てられ、セキショウは石菖蒲(いわあやめ)と呼ばれていたようです。そしてアヤメは、このショウブに葉が似ているけれど花が美しいので当初は「花あやめ」と呼ばれていたのが次第に「あやめ」と呼ばれるようになり、それに従い「あやめぐさ」が漢字の音読みであるショウブに変わったとされているそうです。
ならばハナショウブ(花菖蒲)はというと、もともとアヤメもハナショウブも区別されずにどちらも「花あやめ」と呼ばれていましたが、江戸時代になるとアヤメは「花あやめ」でハナショウブは「花しょうぶ」と分けるようになったそうです。
ショウブやアヤメの和名の変遷については、ハナショウブの研究に造詣が深い玉川大学の田淵俊人教授のホームページを参照させていただきました。
さて、そのショウブの葉に、おそらくクロイトトンボ(黒糸蜻蛉)だと思いますが、羽化して間もない幼体が静かに止まっていました。成熟すると腹部の尾端と胸部が鮮やかな水色に染まり、胸部の横は粉を吹いたようになります。このクロイトトンボの幼体ですが、マクロレンズでかなり接近しているのに逃げる気配もなく、ひなたぼっこを楽しんでいるかのようでした。
幼体を子供と譬えるよりは元服前と譬えるほうがよさそうですが、祝日法では今日は「こどもの日」ですね。今日で連休も終わり、明日から通常運転に戻るという方が多いことかと思いますが、あまり無理せず菖蒲湯にでも浸かって英気を養うことにしましょう。
聞いてみてからどうするか考えて保留してますが。
この計画のすべてを否定するつもりはありませんが、発表されている内容では植物園もアミューズメント施設の一部で、まるで「公園」のようになってしまい、植物園が担う植物に関する研究や教育といったものが蔑ろにされるのではないかという危惧を個人的に感じております。
この頃,基礎的な研究教育などが,蔑ろにされることが多いように感じています。
反対の署名をすることにします。