Firenze

旅の思い出

医療系大学(看護・理学療法・作業療法)の解剖実習

2006-09-30 18:34:25 | Weblog
 人体解剖実習は、法律上は、医学部・歯学部のみで行うことができるということになっています。制度上は、医学部・歯学部の解剖学講座の教授・助教授のみに解剖資格が与えられています。これを規定する法律が死体解剖保存法という法律です。詳しくは、山下のホームページをご覧ください。

 医学部・歯学部の学生(医師・歯科医師を目指すコース)が解剖実習を行なうのは、解剖学講座の教授・助教授が解剖実習を行う現場に立ち会って、これを見学することとなるわけです。実際には、学生さんが実際に解剖を行うわけではありますが。

 最近、大学の解剖学の助手が「無資格」で、人体解剖を行ったことが「悪いこと」として報じられました。しかし、上記の通り、解剖資格は、医師・歯科医師であるかどうかを問わず、解剖学講座の教授・助教授のみに限定されていますので、報道は、本質的に間違っています。問題となった講座の教授が「自分が命じて解剖を行わせた」と言えば、法律的には何ら問題とはなりません。

 ところで、近年、医療系大学等の増加に伴い、看護師・理学療法士・作業療法士・放射線技師・臨床検査技師・臨床工学士・管理栄養士・救急救命士の教育に力が一層こもるようになっています。また、卒業後に、各分野の専門家として活躍するためには、解剖学的知識が不可欠となっています。

 これらの方々に、人体解剖見学の機会を設けることはできないかということが、日本解剖学会・白菊会連合会(篤志解剖連合会、献体を行う会の全国組織)・文部科学省で検討されてきました。

 広島大学では、これらの流れを受けて、医療系大学等の学生さんに、可能な限り、解剖実習見学を行っていただける環境作りに取り組んできました。

 大学当局・医学部長・歯学部長の理解のもとに、解剖学講座の青山裕彦教授をはじめとする、解剖学教育にあたる教官層が動いて、今年は8月下旬から、9月下旬にかけて、毎日、関連大学の学生さんが解剖実習を見学することができました。

 関連大学では、広島国際大学の隅田寛教授、呉大学の山本正夫教授が活躍されて、解剖実習見学を行う大学等の取りまとめを行いました。

 これからも、この試みを推進してゆく予定です。さらに、現在は、美術系の学生さんたちにも見学の機会を設けるべきかどうかを検討しているところです。

 ひとえに、大事なお体を提供してくださる、白菊会の会員の皆様、また、その御家族の方々の深い理解の賜物であると感じております。


 

救急医療体制の充実

2006-09-29 11:17:36 | Weblog
 広島市の救急医療体制の充実について、同市病院事業局長の原田康夫先生と相談しました。

 先生は、体制の充実を最重点項目として取り組んでおられます。広島市が持っている、広島市民病院、安佐市民病院、安芸市民病院、舟入病院を統括し、将来の市の医療体制の舵取りを担っている立場から、広島市民病院、舟入病院が24時間救急患者さんを受け入れて、最高の医療を提供することを目標としています。

 今までの実績としては、
1)広島市消防局救急救命士養成所の教育の充実、さらに
2)救急救命士の資格を取得した隊員を、広島大学の大学病院、市民病院の麻酔科・手術部で3ヶ月研修を受けさせること、これによって、気管挿管をはじめとする技術を習得させることができる。
3)舟入病院における、小児救急医療体制の充実
があげられます。

 これから取り組むべき課題としては、
1)広島市民病院において、スタッフ(医師、看護師、臨床検査技師、手術部の方々)が24時間稼動できるようにすること。
2)広島市の統括する病院だけで、救急医療体制を年間1日の休みもなく稼動させることは、非常にしんどいことですから、広島市にある他の中核病院(県病院、大学病院、赤十字病院)にも参加を呼びかけること。
があります。

 いずれにしても、昼間には、救急医療体制が充実しているわけですから、夜間にも、どこかの病院が、そのレベルを保つことができればいいということになります。

 現場のスタッフには、激務かと思いますが、関東エリアでは、確立されている体制を何とか、地方の中核都市でも稼動させたいと思います。

曼珠沙華のころ

2006-09-28 18:02:37 | Weblog
 曼珠沙華(彼岸花)が満開です。職場の近辺を散歩していると、20本くらいが一斉に咲き誇っているのを見ました。男性が世話をしておられるので、お尋ねすると、「山に咲いているのを1株、自宅に持ち帰り植えたところ、このようになったのです」とのこと。

 農村出身の同僚の話では、彼岸花は、根を張る力が強く、周辺の植物を枯らしてしまうほどだそうです。

 植物を育てていると、それぞれに育て方のポイントが異なり、むずかしいなと感じます。美しい花をつける植物は、概して弱く、葉が水に濡れると、病気にかかりやすい等ということがあります。

 植物を育てるのは、失敗と成功が半々で、科学実験や研究の心に通じるところがあるなと思います。若い葉が出てくるのを見るのは、本当に楽しいものです。育ってくれよと祈ることしきりです。

 そんなことを考えていると、自然界に育つ植物は本当に強いなあと感じます。夏の灼熱の炎天下、何日も雨が降らない日が続いても、木々は緑を保ちます。よくも枯れずに元気でいるものです。

 植物を観察することが好きになると、街の風景も変わって見えてきます。街も自分の庭のように感じてしまいますから、おもしろいです。

 広島の街も、私が子供のころは、そんなに立派な樹木はなかったように思います。やはり、平和な日が続いたために、今のような街路樹ができ上がってきたのでしょう。

救急医療体制の地域差は

2006-09-27 18:39:27 | Weblog
 救急医療体制には、かなり地域差があると思います。

 神奈川県葉山に住むFさんは、今年定年退職しました。それまでは、東京の中心部の仕事場に毎日通勤です。朝4時に自宅を出て、2時間かけて、職場には6時に到着です。日曜日も出勤。

 それが、退職に伴い、急に時間ができました。退職前の1ヶ月は、業務の引継ぎで特に忙しかったようです。

 自宅で過ごすようになって、1ヶ月。倒れた時の状況は詳しくは聞いていませんが、脳出血(クモ膜下出血)を起こしました。救急車が呼ばれ、15分後には、脳外科病院に到着。緊急手術。

 出血箇所は、手術の適応でした。

 そのため、術後には順調に回復。今では、麻痺は左半身の軽度の運動障害が残っているそうです。言語機能は、全く問題なしです。

 さて、Fさんの例の紹介は以上ですが、救急医療体制が整っていたことが幸いしたことは、言うまでもないでしょう。

 私自身は、広島市消防局の救急救命士養成所のお手伝いをしています。今年も半年間のコースが開講されました。研修生は40数名。出身は、広島市と広島県の消防局の方が多いです。他には、千葉県、富山県、岡山県、愛媛県、高知県から派遣されている研修生もいます。

 関東地区では、救急診療体制が整っていることを聞いていましたので、講義中に時間をとって、千葉県の救急体制の実情を紹介してもらいました。
1)救急車には、心電図を地区の救急体制の本部に電送するシステムが備わっています。心臓疾患が疑われる患者さんは、現場で心電図をとり、本部に即電送します。本部には、24時間体制で、循環器の医師がつめています。そこで、的確な指示が出されます。

2)受け入れ病院は、あらかじめ決められています。脳血管疾患なら、ここ。循環器系ならここというふうです。受け入れ可能かどうかを現場と病院が相談する必要はありません。

 以上、2点だけかと思われるかもしれませんが、非常に重要なポイントです。さすがは、関東エリアの救急体制はちがうと感じ入りました。他の県の研修生も感心しています。

 以前、ドイツのベルリンで、自分の子供の肘の骨が関節から抜けたことがあります。すぐに近所の知人の車で、地区の病院に運んでもらいました。

 着いたとたんに、大きな救急対応部署に案内されます。廊下の左右には、いきなり、手術室が10室並んでいます。医師が、すぐに整復してくださり、本当にありがたいと思いました。

 さて、救急医療体制の地域差はどのくらいあるのでしょうか。当事者としては、ノーコメントとしておきます。広島市の場合、小児救急は、広島市立舟入病院がセンターとなっています。以前、愚息がお世話になっていた時には、どんな深夜に受診しても、顔なじみの医療スタッフが、笑顔で「おかえり」と迎えてくださっていました。本当にありがたかったです。

 以上です。

化学物質の安全管理

2006-09-26 14:15:29 | Weblog
 化学物質を市販する際、表示を日本、アメリカ、EUの3極で統一しようという動きがあります。これを、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals,GHS)」というようです。

 厚生労働省(医薬食品局、労働基準局)、経済産業省(製造産業局)、環境省(環境保健部)等の関係機関が連携して、報告書を作成しました。詳しくは、経済産業省の下部組織である、製品評価技術基盤機構(National Institute of Technology and Evaluation, NITE)のホームページの中に、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)危険有害性分類事業 第7回目の公表について」という報告書がありますので、ご覧ください。また、厚生労働省の労働関係の下部組織である、中央労働災害防止協会の安全性情報センターも、GHSについて説明しています。

 世界的には、以下の機関のホームページでGHSについての情報が得られます。
1)国連
2)アメリカ環境保護局(US Environmental Protection Agency, USEPA)
3)OECD
4)カナダ

 以前作成された、MSDS(Material Safety Data Sheets)の趣旨は、上記、中央労働災害防止協会のホームページの表現をそのまま引用すると、次の通りとなります。
「MSDS(化学物質等安全データシート)とは、危険有害性のある化学物質や製品を事業者が他の事業者に譲渡提供する際に、相手方に人体に及ぼす影響などの危険有害性情報を提供するためのもので、JIS規格化されています。 」

 MSDSが、試薬の販売等の際に、シートとして、添付された書類であったのに対して、GHSは、試薬ラベルに、世界共通の有害性のシンボルマークを貼り付けて、一目で有害性の程度を知ることができるようにするシステムです。

 ちなみに、日本国内の化学物質の生産・消費・廃棄の流れについては、PRTR(Pollutant Release and Transfer Registers)というシステムが動いています。詳しくは、NITEのホームページをご覧ください。アメリカ版は、上記EPAのページに説明があります。

 

 

医師養成教育(学部編)

2006-09-25 12:46:37 | Weblog
 一般にはあまり知られていませんが、医学部の医師養成にあたっては、学部教育の位置づけは、医学の概念を教えることに重きが置かれています。誤解されているのは、卒業するとすぐに外科なら外科のテクニックが身についていると思われていることです。

 医学部で教えるべき項目・知識の量は膨大です。しかも、最近は検査機器の水準が上がってきたために、どんどん、「見える」ようになってきています。

 そのため、知識を伝授するだけでは全く教育にはなりません。いかに、フレームを構築するか、あるいは、学生自身が構築できるかが大事となります。知識を教えるのではなく、何が問題かを発見する能力を養う、その問題を解決するためのデータを書籍なり、インターネットから得ることができる。このように学生さんを導く必要があると感じる今日この頃です。

学部の新設

2006-09-24 12:12:39 | Weblog
 大学の学部の新設について考えます。

 最近、医療系の動きを見てみますと、薬学系の学部の年限が4年制から6年制に移行したことが大きな変化といえるでしょう。

 私立大学薬学部で薬剤師を目指す場合、学費が年間150万円として、今までは×4であったところが、×6になるわけです。当然、学費を負担する側である、両親としては、頭が痛い。そのためもあってか、薬学部は少し人気・受験者数とも低迷しているようです。

 さらに、おもしろい現象として、薬学部の新設ラッシュが見られます。薬学部の学生の就職の受け皿となるのは、
1)病院の薬剤部
2)保険調剤薬局
3)製薬企業・臨床検査関連の企業
4)その他の一般企業、公務員
ということになるでしょうが、保険調剤薬局は、薬剤師さんは依然として不足気味でしょうが、これも早晩、充足されると思います。

 6年後には、薬剤師さんの就職難が予想されます。

 理学療法士さん、作業療法士さんのコースでも、同じですが、足りないからといって、学部・学科を新設するのはいいのですが、受け入れた学生さんが就職する頃になると、数年分の卒業生で、就職市場が完全に充足されてしまうことは、明らかなはずです。

 このあたりの、学部・学科の新設にあたっては、もう少し配慮が必要ではないかと思います。別の言葉でいえば、すぐに充足することがわかっていながら、いたずらに学部・学科を新設するのはいかがなものかということです。

 別の、医学系の話題としては、医師が不足する北海道・東北地区の大学医学部の定員を増やすことがあります。

 いわゆる、地方大学の医学部に入学する学生さんは、もちろん地元出身者が多いのですが、関東・関西の大都市圏の出身者も多いです。それら、都市部の出身者は、卒業すると、当然、都市部での就職を希望するため、出身大学には残りません。されに、現在言われている、新しい卒後臨床研修制度の導入で、地方大学の卒業生のうち、地元出身者であっても、より研修制度の充実した都市部の病院で臨床研修を受ける例が増加しています。

 北海道・東北地区の医学部の定員増加は、地元で活躍する医師の増加にはつながらないと思います。

 ならば、対策は何か。私なりに考えてみました。

 成功例としては、沖縄県の例があげられると思います。同県では、アメリカによる占領時代が長かったこともあり、医療制度にアメリカの研修制度を導入しました。県立中部病院あたりがその例です。そのため、研修システムがしっかりしていることが全国的に有名となり、現在も沖縄での研修を希望する学生が多いようです。アメリカの医療制度がよいとは、私は思いませんが、これは、別の話題ですので、本日は問題にしません。

 これを、北海道・東北地区で適用するとどうなるでしょうか。方法は、札幌と仙台・新潟に位置する中核病院のレベルを上げることにつきると思います。特に、臨床研修制度については、卒業後の経歴に応じた達成目標を明確化し、医学部の学生の目に見える形で示すべきだと思います。こうすることによって、札幌・仙台・新潟に、十分なトレーニングを積んだ、専門医・一般家庭医が育つ。それぞれの医師が、独立して活躍できるようになる。すると周辺の病院に赴任した時に、腕を振るうことができる。

 このように思います。

山形産のプルーンに感激

2006-09-23 19:34:18 | Weblog
 プルーンというと、紫色の卵型のものをイメージしますが、本日は、山形産のプルーンを食べて感激しました。

 大きさと形は、りんごのそれと大体同じです。

 おおかたの果物は、食べたと思っていましたが、このプルーンは初めてでした。最近、品種改良で出来上がったのでしょうか。

 果物で今までびっくりしたことは、
1)柿とイチジクがスーパーで売られているのを見たこと。両方とも、決して買って食べるものではなく、自宅になっているのをもいで食べるものだとばかり思っていました。

2)ヨーロッパの八百屋で、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリーをふんだんに食べることができたこと。その他の果物も、日本では考えられないくらい、安い値段で食べることができたこと。

3)スペインで、オレンジ系をたくさん食べたこと。買うときに指を1本示すと、1キロを意味するのです。

4)ヨーロッパで、日本の柿、みかんが売られているのを見たこと。
です。

 食べ物の話ばかりで、恐縮です。

自転車での散歩

2006-09-22 19:22:08 | Weblog
 日頃の運動不足を解消するために、簡単に行える運動は散歩でしょう。それも、早朝6時から7時頃に歩くのがいいと思っています。その理由は、早朝は明るいことです。住宅街を散歩することで、家々の植物を観察することができます。咲き乱れる花を見ながらの散歩は本当に気持ちがいいものです。

 さて、散歩とならんで、簡単に行える運動は、自転車散歩でしょう。ロードレーサーで走り回るのです。ロードレーサーは、最近特に人気が上昇中で、街でも見かける機会が増えました。

 ロードレーサーの定義は、むずかしいですが、通常、車輪は27インチ。タイヤ幅は20mmから30mm程度と非常に細いです。ハンドルはドロップ式。ギアは前2段か3段、後ろが8段から10段の変速機能がついています。競輪場で走る自転車には、変速機はついていなくて、この手の自転車はピストといいます。

 自転車は、いわゆるママチャリ、通勤用軽快車が一般的です。その他、マウンテン・バイクも人気です。ロードレーサータイプの自転車のハンドルを棒状にした、クロスバイクもあります。さらに、このクロスバイクのタイヤの直径を27インチから、15インチ程度にしたモデルもあります。

 マウンテン・バイクにも2通りあります。ひとつは形だけのタイプ。これは、値段も安く入手しやすいですが、部品にお金をかけていないので、何より全体が重いのが欠点です。もうひとつは、本格的なもので、極限まで軽量化を図っています。そのため、値段は驚くほど高価になります。

 さて、ロードレーサーに話しを戻しましょう。ロードレーサーは、どのような乗り方をしても、乗っている本人が楽しめればいいわけです。しかし、走る時のコツというのがあります。
1)ギアは、一番軽いものを使って、ペダルの回転数を毎分80回位で維持します。時々、重いギアを使っている方をお見かけしますが、この走り方ですと、疲れも早くきますし、何より、膝関節に負担がきます。
2)ヘルメットを着用すること。
3)夜走る時は、前照灯と、後方への注意喚起のために、後方ランプをつけます。
4)スピードメーターを装着します。現在のスピードメーターは、車輪の回転に全く抵抗を与えない構造になっています。

 このようにして、楽しく走ることができます。何より、軽く走ることができますし、変速に際しても、以前のようにハンドルから手を離す必要はありません。ブレーキレバーを内側に倒すことによって、変速できるようになっています。

2年後に開催の東京サミットのテロ対策

2006-09-21 15:53:07 | Weblog
 2年後に東京でサミットが開催される予定です。内閣府、警察庁、自衛隊等関連組織は、テロがどのように行われるか、シナリオを作っています。

 NBC(核兵器のNuclear、生物兵器のBiological、化学兵器のChemical)のうち、実際に問題になるのは、化学物質と爆発物でしょう。

 爆発物も、古典的な爆発物ではなくて、農薬とガソリンを混合しただけで、殺傷能力のある爆発物ができるとあって、実際には対策は非常にむずかしいようです。