IRB競技規則適用に関するガイドライン(モール検討グループ):前篇
の続きです。iRBモール検討グループが発表した1~5の見解について、順番に読んでみようという企画です。
前篇で1と2をやったので、後篇では残りの3~5を読んでいきたいと思います。
では、早速いってみましょう。
“3 プレーヤーが、形成されたモールの中でボールを取り、モールの中にいる他のプレーヤーが前進し続けているときにモールから離れた際、そのプレーヤーが前にいるプレーヤーを盾にして前進し続けた場合、そのプレーヤー達は相手を妨害したことなる。”
これは昔からだと思うのですが……モールから離れた段階でモールは解消、いや終了しています。
※競技規則2009から、モールは発生occurから開始beginに表現が変更されています。発生―解消ではなく開始―終了なわけです。
具体的にいえば、モールの最後尾でボールを持っているプレーヤーがモールを離れ、(この段階でモールは終了)
・そのまま前進し続けたり、
・もう一度モールに加わる、または、モールにぶつかったりする
↑ここで一発オブストラクションです。
厳密にいえば、このもう一度「モール」に加わる、の「モール」は、モールではないので誤りですね。
「モールのようなもの」が正しい表現でしょうか。
表現の件は冗談ですが、とにかくルールブックの条文なんていうのは、一瞬の隙も許さない恐ろしく完璧な文章で書かれています。それでもたまに、条文という重箱の隅をつついたようなルーリング要請がでて、改正項目に入ったりしているわけですが。
次をみてみましょう。少し長いのでふたつに分割して読んでいきます。
“4 モールの中でボールを保持している側のチームが、モール形成時または形成直後に下げられた場合、競技規則17 6 (d) および (e)が適用される:
(d) モールが停止したままであるか、前進が止まり5秒経過しても、ボールが動いていることをレフリーが目で確認できる場合には、ボールが出るために適当な時間の余裕をレフリーは与えてもよい。適当な時間内にボールが出なければスクラムが命じられる。
(e) モールの前進が止まっても、5秒以内であれば再びモールを前方へ動かしても良い。モールを2回目に押しなおして再びモールの前進が止まっても、ボールが動いていることをレフリーが目で確認できる場合には、ボールが出るために適当な時間の余裕をレフリーは与えてもよいが、ボールが出なければスクラムが命じられる。
”
はい。
いわゆるストップ・ワンス、ユーズ・イットの適用範囲に関する内容です。ストップ・ワンスとはあくまで止まった場合であって、後ろにでも動いていれば今まではモール継続とみなされていたのですが、(ですよね?)
見解では、形成時か形成直後(厳密には開始)から下げられた場合でもこの競技規則を適用していこうということです。
文章は続きます。
“モールが下げられた場合、現在、マッチオフィシャルはモールが形成される時点で競技規則17.6(d)を適用していない。もし適用していれば、前進を1回認めるだけで、ボールを保持していない側のチームがモール形成時にモールへ参加してくることを助長することになる。
また、マッチオフィシャルは、モールが横へ動いている場合もそれを容認し、17.6 (d)および(e)を適用していない。これらの規則を徹底して適用することが改善につながる。
レフリーが”Use it!”と言ったら、ボールを動かさなくてはならず、モールの再開は選択肢にはならない。”
???
「もし適用していれば、前進を一回認めるだけで、」……開始直後に下がった段階でストップワンスですからね。
「ボールを保持していない側のチームがモール形成時にモールへ参加してくることを助長」……開始直後に下げてしまえばそれだけでストップワンスを稼げるから、形成時にモールに突進してなるべく早くプレッシャーをかけようすることを助長する
つまり、後ろに動いているときにストップ・ワンスを取るとアーリーチャージが増えて試合が荒れるので、いままで通りとらなくていいです!!
ということでしょうか。
横へ動いている場合は大丈夫ですよね。要するに、「前進」に平行移動は含まれないということで、ストップ・ワンスのコールがかかります。
問題は次の文です。
「これらの規則を徹底して適用する」
結局適用しちゃうんですか!
助長って、悪いことを促すことを意味する言葉ですよね。つまり、アーリーチャージを助長することになる、モール開始直後のストップ・ワンスを適用していきましょうということになるんですけど
腑に落ちません。今度、きいてみます。
最後みてみましょう。
“5 「トラック&トレーラー」の問題は、モールが前進しているとき、
スクラムの場合と同様にボールキャリアーから1人または2人のプレーヤーを経てボールが後方に送られることにあるわけではない。問題は、モールの後方で、「ぶら下がるように」きちんとバインドをせずモールに参加しているプレーヤーにある。以下に示すバインドの定義を厳密に適用することが、この問題の解決につながるだろう:
バインディングBinding:他のプレーヤーの肩から腰の間の胴体の部分に、手から肩までの腕全体を接触させて、しっかりとつかむこと。
ボールキャリアーのプレーヤーが、上記のようにバインドしていなかった場合、モールは終了したとみなされ、マッチオフィシャルはボールを動かすことを強調するようにする。そのプレーヤーが再び加わり前方にいるプレーヤーにバインドした場合、そのチームはオブストラクションで罰せられる。これにより、プレーヤーが正しくバインドするように促すことになる。”
これが、例の「手をついたままモールを前進させるボールキャリアーのノーバインド」の件ですね。前篇の記事で、⇔を用いてくどくど説明しましたアレです。
ただし注釈があって、「ボールキャリアーから1人または2人のプレーヤーを経てボールが後方に送られること」には特に問題はないらしいです。いちばん最初にあった「細長い形状」のモール、トラック&トレーラーの状態に陥っても、最後尾のボールキャリアーが「ワンアーム・フルバインド」を遵守すればいいだけの話なんですね。
と、いうわけで。
ようやく5項目にわたるiRBの文章を解読し終えました。
疲れましたでも、こうやってくどくど書くことで、結構自分の中でも整理がついたりします。
の続きです。iRBモール検討グループが発表した1~5の見解について、順番に読んでみようという企画です。
前篇で1と2をやったので、後篇では残りの3~5を読んでいきたいと思います。
では、早速いってみましょう。
“3 プレーヤーが、形成されたモールの中でボールを取り、モールの中にいる他のプレーヤーが前進し続けているときにモールから離れた際、そのプレーヤーが前にいるプレーヤーを盾にして前進し続けた場合、そのプレーヤー達は相手を妨害したことなる。”
これは昔からだと思うのですが……モールから離れた段階でモールは解消、いや終了しています。
※競技規則2009から、モールは発生occurから開始beginに表現が変更されています。発生―解消ではなく開始―終了なわけです。
具体的にいえば、モールの最後尾でボールを持っているプレーヤーがモールを離れ、(この段階でモールは終了)
・そのまま前進し続けたり、
・もう一度モールに加わる、または、モールにぶつかったりする
↑ここで一発オブストラクションです。
厳密にいえば、このもう一度「モール」に加わる、の「モール」は、モールではないので誤りですね。
「モールのようなもの」が正しい表現でしょうか。
表現の件は冗談ですが、とにかくルールブックの条文なんていうのは、一瞬の隙も許さない恐ろしく完璧な文章で書かれています。それでもたまに、条文という重箱の隅をつついたようなルーリング要請がでて、改正項目に入ったりしているわけですが。
次をみてみましょう。少し長いのでふたつに分割して読んでいきます。
“4 モールの中でボールを保持している側のチームが、モール形成時または形成直後に下げられた場合、競技規則17 6 (d) および (e)が適用される:
(d) モールが停止したままであるか、前進が止まり5秒経過しても、ボールが動いていることをレフリーが目で確認できる場合には、ボールが出るために適当な時間の余裕をレフリーは与えてもよい。適当な時間内にボールが出なければスクラムが命じられる。
(e) モールの前進が止まっても、5秒以内であれば再びモールを前方へ動かしても良い。モールを2回目に押しなおして再びモールの前進が止まっても、ボールが動いていることをレフリーが目で確認できる場合には、ボールが出るために適当な時間の余裕をレフリーは与えてもよいが、ボールが出なければスクラムが命じられる。
”
はい。
いわゆるストップ・ワンス、ユーズ・イットの適用範囲に関する内容です。ストップ・ワンスとはあくまで止まった場合であって、後ろにでも動いていれば今まではモール継続とみなされていたのですが、(ですよね?)
見解では、形成時か形成直後(厳密には開始)から下げられた場合でもこの競技規則を適用していこうということです。
文章は続きます。
“モールが下げられた場合、現在、マッチオフィシャルはモールが形成される時点で競技規則17.6(d)を適用していない。もし適用していれば、前進を1回認めるだけで、ボールを保持していない側のチームがモール形成時にモールへ参加してくることを助長することになる。
また、マッチオフィシャルは、モールが横へ動いている場合もそれを容認し、17.6 (d)および(e)を適用していない。これらの規則を徹底して適用することが改善につながる。
レフリーが”Use it!”と言ったら、ボールを動かさなくてはならず、モールの再開は選択肢にはならない。”
???
「もし適用していれば、前進を一回認めるだけで、」……開始直後に下がった段階でストップワンスですからね。
「ボールを保持していない側のチームがモール形成時にモールへ参加してくることを助長」……開始直後に下げてしまえばそれだけでストップワンスを稼げるから、形成時にモールに突進してなるべく早くプレッシャーをかけようすることを助長する
つまり、後ろに動いているときにストップ・ワンスを取るとアーリーチャージが増えて試合が荒れるので、いままで通りとらなくていいです!!
ということでしょうか。
横へ動いている場合は大丈夫ですよね。要するに、「前進」に平行移動は含まれないということで、ストップ・ワンスのコールがかかります。
問題は次の文です。
「これらの規則を徹底して適用する」
結局適用しちゃうんですか!
助長って、悪いことを促すことを意味する言葉ですよね。つまり、アーリーチャージを助長することになる、モール開始直後のストップ・ワンスを適用していきましょうということになるんですけど
腑に落ちません。今度、きいてみます。
最後みてみましょう。
“5 「トラック&トレーラー」の問題は、モールが前進しているとき、
スクラムの場合と同様にボールキャリアーから1人または2人のプレーヤーを経てボールが後方に送られることにあるわけではない。問題は、モールの後方で、「ぶら下がるように」きちんとバインドをせずモールに参加しているプレーヤーにある。以下に示すバインドの定義を厳密に適用することが、この問題の解決につながるだろう:
バインディングBinding:他のプレーヤーの肩から腰の間の胴体の部分に、手から肩までの腕全体を接触させて、しっかりとつかむこと。
ボールキャリアーのプレーヤーが、上記のようにバインドしていなかった場合、モールは終了したとみなされ、マッチオフィシャルはボールを動かすことを強調するようにする。そのプレーヤーが再び加わり前方にいるプレーヤーにバインドした場合、そのチームはオブストラクションで罰せられる。これにより、プレーヤーが正しくバインドするように促すことになる。”
これが、例の「手をついたままモールを前進させるボールキャリアーのノーバインド」の件ですね。前篇の記事で、⇔を用いてくどくど説明しましたアレです。
ただし注釈があって、「ボールキャリアーから1人または2人のプレーヤーを経てボールが後方に送られること」には特に問題はないらしいです。いちばん最初にあった「細長い形状」のモール、トラック&トレーラーの状態に陥っても、最後尾のボールキャリアーが「ワンアーム・フルバインド」を遵守すればいいだけの話なんですね。
と、いうわけで。
ようやく5項目にわたるiRBの文章を解読し終えました。
疲れましたでも、こうやってくどくど書くことで、結構自分の中でも整理がついたりします。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます