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ホラー3連発!

2010年04月05日 23時21分17秒 | 読書日記
 青の炎 (角川文庫)
 黒い家 (角川ホラー文庫)
 天使の囀り (角川ホラー文庫)

 3冊まとめて紹介します。青の炎だけはだいぶ前に読んだので記憶が薄れつつあるのですが。

 著者は3冊とも貴志祐介さん。僕はこの本を読むまでこの作家さんの存在は知りませんでした。調べてみたらいくつか映画化もしているのですね。

 “
 貴志 祐介(きし ゆうすけ、男性、1959年 – )は、大阪府出身の小説家、ホラー小説作家。清風南海高等学校、京都大学経済学部卒業。兵庫県西宮市在住。日本SF作家クラブ会員。
 【Wikipediaより】

 そうです。この3冊、実はホラー小説です。僕はホラー映画なんてもちろん観ませんし、ホラー小説なんてものの存在すら確かには知りませんでした。僕の中では、ホラー=お化け屋敷、ホラー=映画であり、小説で怖さを表現するなんてのはできないんじゃないかと。一度だけ、ホラー映画を観る機会があったのですが、ホラー映画の怖さって、得体のしれない怖さですよね。不気味さという怖さです。

 人間の感情の中で、怖さという感情は、唯一対をなす感情がない感情だそうです。たとえば、「好き」の反対は「嫌い」です。「好きでも嫌いでもない」という感情もありますね。「熱い」「冷たい」などなど。しかし「怖い」の反対は?「怖くない」、これは違います。「好き」の反対は「好きじゃない」ではなく「嫌い」ですから。否定は対極ではありません。
 そして、人間の怖さとは、「正体がわからないことからくる不安」だそうです。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という俳句がありますが、幽霊が実は枯れ尾花だと分かれば全く怖くないわけです。当然ですね。しかし今そこに幽霊が見えている。もちろん枯れ尾花である可能性もありますし、もしかしたらそこは一面のすすき野かもしれません。枯れ尾花である確率が非常に高いとなっても、100%安心できないわけです。で、正体はなんともない枯れ尾花だとわかる。そしたらこう思うでしょう。「なーんだ。やっぱり枯れ尾花だったんだ。」と。

 このあたりの話は、なだいなださんの名著心の底をのぞいたら (ちくま文庫)に詳しく書いてあります。

 さて、貴志祐介さんに話を戻しましょう。

 京大出身という貴志さんの本は、すべて綿密な取材(または自身の経験)に基づいて書かれています。


 
  青の炎 (角川文庫)

 湘南のとある母子家庭。この家に居候するアル中で職なしの男を、なんとか殺そうとする高校生の話です。いかに完全犯罪を成し遂げるか。このプロセスが小説のほとんどとなっています。こういうタイプの小説をナントカと行ったはずですが忘れました。
嵐の二宮が主演して映画化されています。読後のげんなり感はぴか一です。

 とにかくこの高校生は様々な殺害方法を試行錯誤するわけですが、その描写が非常に丁寧で、現実性を帯びている。しかしここで疑問が。こんなところに完全犯罪の方法を(こんなに詳しく)書いてしまったら、実際にそういう事件が起きてしまうのではないかと。
 そしたら、あとがきに書いてありました。
 ここにある殺害方法は、あえて本文中には記載しなかった、ある決定的な理由で、どれも確実に失敗します。
 なるほど。その理由もすごい気になりますけどね。

 黒い家 (角川ホラー文庫)

 生保に勤める会社員が主人公。名指しで呼び出され向かった先の顧客の家で、自殺の第一発見者となったこの会社員が、保険金という大金に目がくらんだ夫婦のみせた悪夢のような事件に巻き込まれます。
 
 ようするに保険金殺人がテーマです。しかしホラー小説ですから、一般的な保険金殺人モノの推理小説とはもちろん趣が異なります。猟奇的です。その猟奇的なのも、推理小説だとただストーリーを盛り上げるために猟奇性を持たせるのですが、ホラー小説ですからこれがメイン。とにかくグロいです。耐性の無い人は気持ち悪くなってしまうかもしれません。僕もけっこうげんなりしてしまいました。
 これも映画化されました。日本ホラー小説大賞を受賞し、彼の代表作となっているようです。

 天使の囀り (角川ホラー文庫)

 研究目的でアマゾンの秘境を訪れた大学のチーム。主人公の彼氏である作家の高梨をはじめとし、チームのメンバーが不可解な自殺を遂げる。主人公で精神科医の早苗はこの原因を調査し始めます。
 
 これが1番怖かったです。ストーリーの中心となる部分はもう現実離れしていますが、それをとりまく設定はリアルで、現実味を帯びています。だからこんなテーマでもそこまで違和感はないのでしょう。でも怖いです。ネタバレになりますので多くは書きませんが、本能的な恐怖が呼び起こされるのです。



 貴志さんの本を3冊読んで思ったことは、とにかくその専門性の高さ。小説のネタにするだけだから、と軽んずることなく、丁寧な調査と取材を重ねてから書き始めたのでしょう。これによって現実味が増し、結果的に恐怖がリアルなわけですよね。

 逆に、作家という職業が芸術でありながらも、学者的な視点でも尊敬される理由なんでしょうね。物知りですから。文学や小説という芸術性に加え、その知識量の多さです。



 何かきっかけがないと、ホラー小説を読もうという気には普通ならないでしょう。ホラー映画が好きだったとかなら別ですけれど。売れてる文庫本を通勤通学途中に読むというようなタイプの人が、ホラーを手に取る選択肢はレアです。しかし貴志さんのホラーにはサスペンス・ミステリー的な面も少なからずありましたから、東野圭吾を読み漁っている僕でも割とすんなり読めたのでしょう。怖かったですけど。

 僕はこの本3冊とも友達に借りました。まだ持っているそうで、読みたいのもやまやまなんですが、青の炎はともかく、黒い家と天使の囀りでもう僕の頭は恐怖に対する耐性が崩壊しつつあります。 しかもこの友達のD吾君曰く、まだ貸してもらってないやつは「微妙」らしいので、またほとぼりが覚めたら貸してもらおうと思います。

 でも人間、“怖いもの見たさ”ってありますよね。怖い、気持ち悪いと分かっていながら見たい、知りたい。でも見知りすると決まって後悔する。見なきゃよかった、と。何でなんでしょうね。



  

 最後の話題は今日のお昼ご飯です。

 渋谷の亜寿加というところで味噌ラーメンを頂きました。ここは排骨という、とんかつに似た何かトッピングのようなものがおいしいらしいのですが、今日は普通の味噌らーめんで。

 美味しかったですよ。 ただなぜか、大盛りがないのです。ライスはサービスですが。それとカウンターに置いてある漬物が異常に辛い。 このお店は坦々麺も美味しいとのことで、辛いものフリークの方にはいいかもしれません。何しろ漬物から辛いですから。塩辛さじゃありませんよ。唐辛子とか豆板醤の辛さです。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (でごいち)
2010-04-06 21:34:47
あと持っているのは、ほんとにびみょうなんだよ。。。
この三冊はかなり面白いと(僕は)思うから、残りは読んでも期待外れ感はあると思う
映画化 (kuwahuru)
2010-04-06 23:17:39
 なるほどね。映画化されてる2作が入ってるし! 
 デビュー作も映画化されてるからそれが気になるといえば気になるかな。

 というか大吾がホラー小説を読むというのが意外だな
Unknown (でごいち)
2010-04-07 21:55:19
たまたま蒼い炎から入っただけだけどね
Unknown (ref-u)
2010-04-08 23:03:57
ホラー映画は好きなんだけどね。。。
活字が苦手なレフリーです僕。
だからルールブックもキツイです笑
僕も (kuwahuru)
2010-04-10 16:48:31
僕は活字はべつに苦手じゃないですけどルールブックは難しいです

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