イコールの橋 くれはやし・しゅん

生きていくことの大切さを多くの若者に伝えたい!
そして、一緒に平等の橋を渡りたい・・・。

小岱山とUFOについての洞察

2005年01月02日 | 身辺雑記篇
てっちゃんが死んで、もう12年になる、てっちゃんは、原発性アミロイドーシスであった。難病。ふとしたきっかけから、知り合いになったのであった。遺伝である。アマチュア無線を私がしていたことで、JA6MNYと知り合いになった。ジャッパン・アルファー・シックス・マイク・ノベンバー・ヤンキーというのがてっちゃんのお兄さんの、コールで、荒尾・玉名・大牟田では誰もが知っている、古参の無線家であった。ひでちゃん。てっちゃんの兄さんである。
アルファコールは、巨人軍の長嶋さんのように、永久欠番だと言われていたが、なんのことはない、最近は、コールの割り当てが甘くなって、新参者にもアルファコールの人がいるご時勢である。
てっちゃんのアミロイドという病気は、やっかいな病気である。この病気については、だいたいにおいて、熊本大学医学部の代謝内科の先生が、病理解剖学的に一番詳しいし、延命治療にも熱心である。そして、私も、医者に負けないくらいに、アミロイドの勉強をしたのであった。
カンタンに言えば、自然界にはない、たんぱく質が体の中で生成されて、それらが臓器の機能や代謝機能を阻害するのである。現在の所、肝臓移植しか延命治療はない。近い将来、遺伝子工学的な分野で、格段の進歩があれば、遺伝子治療も可能な病気でもある。
それで、てっちゃんは、UFOを信じていたし、見たことがあるといっていたのであった。私も、UFOなるものを、信じている。ロマンではない。宇宙の原理原則に基づいて、確率的に信じているのであるが・・・。
てっちゃんは、小岱山(しょうたいざん)は、神世の昔は、招待する山であったのですという、自説を繰り返し、しゃべっていたっけが・・・。

高校の3年の時だったかなあ、てっちゃんはしゃべり始めた。
「高校3年の時に、僕は、小岱山に登ったんよ。すると、谷と谷の間を越えて、山の稜線の一番高い所に、アダムスキー型の飛行艇が空に浮かんでいたんよね。僕は、そのときに、絶対に、この小岱山は、UFOの発信基地やと思ったんよねえ。そんときくさい、やっぱ、えろう、体が熱くなったかと思えば、冷たくなったりして、病気がもう、ちょこっと、出ておったとよね。でも、僕は、UFOを見たら、あんな風にもなると、思っとったものねえ。」
てっちゃんの家の2階建てのアパートの西北西には、小岱山がうっすらと、隣家の屋根越しに、稜線だけが、見えていた。

病が重くなり、寝たきりになると、荒尾市民病院に私は毎晩、看病に行っていた。てっちゃんの病室の窓からは、てっちゃんの右手前方のほうに、まっぽしに、小岱山が見えた。低いが、いい山の形をしている。
午後も、9時を回った頃、帰り支度をしていた私に、
「しゅんさん、ほら、小岱山に、円盤が降りて行っているバイ。僕の病気も、宇宙人やったら、治しきるかもしれんばってんなあ!」しみじみとした口調で、てっちゃんは、言うのであった。
病室をあとにして、どうしても私の心には、わだかまりが生じていたのであった。
車のハンドルを、我が家ではなく、逆向きに切った。
道は葛折りになっていて、星明かりのない、農道をひたすら急いで、車はあえぎながら山を登っていった。右も左も、蜜柑の木が押し黙りながら、私の車を吸い込んでいった。私の車は、頂上近くの小高い山の駐車場に着いた。
私は巻き煙草に火をつけて、荒尾市民病院を眺めた。あの窓の辺りが、てっちゃんの病室の窓であるらしい。私は雲間から少しだけ見えている北斗七星に、病気が平癒するように、心から祈った。
そうして、巻き煙草を靴の先で消している時であった。私の瞳の端っこに、閃光が走った。一瞬間ではあったが、流れ星か、車のサーチライトか、それともUFOだったのか、わからない。
ひどく明るい光の縞であった。私は、UFOであることを願った。
私が、小岱山に登って、10日目に、てっちゃんは帰らぬ人となった。私は今でも、小岱山には、UFOが来て、ちいさい、ちいさい人間の営みに、激励を送っていると思うのである。

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1 コメント

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共時性の時空往来 ()
2005-01-05 19:46:56
 しゅんさんはてっちゃんのUFOを見ることができたんだね。そのときしゅんさんはもうてっちゃんになっていたんだ。変身自在なエイリアンはてっちゃんのベッドの側にいてしゅんさんになっていたんだ。てっちゃんはエイリアンのしゅんさんに命をもらって新しいエイリアンになったんだよね。招待山でしゅんさんが見たUFOはしゅんさんが願ったとおりてっちゃんの病室に下りててっちゃんに会って、遺伝子改造をやって、新しいエイリアンを誕生させたんだ。しゅんさんの脳裡で起こることは現実に起こることだという信仰に達した、あるいは奇蹟を信じたしゅんさんの時空が語られはじめて、けれどそれはしゅんさんの時空であって、同時に、てっちゃんの時空であり、しゅんさんがこころのエネルギーをふんだんに使ってきた人たちの願いと祈りの時空となっている。

 しゅんさんが共時性の時空を往来するエイリアンになったのはいつのことなのだろう・・・。
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