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全集を順番に読んでいる。近松秋江の軌跡を追いながら、どのように変化していったのか。
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そのような読み方が出来るのが、全集の醍醐味であろう。
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本日は『報知』を読んだ。ほうち、と書いてしらせ、と読ませるようだ。ごく短い物である。
三人の子供が狭い部屋で川の字に寝ている。母親と義母は隣の部屋にいる。
夫は国外に出稼ぎに出ており、毎月、結構な額の仕送りがある。良い仕事なのか、身を粉にして働いているのか。
ここまで読むとこの作品の展開としては夫が外国からサプライズで帰ってくるか、不慮の死に見舞われるかのどちらかかな? と勘繰ってしまう。
幸せ一家の様子からは、充分夫の死亡フラグは立っており、物語は矢張り本家の人間が夜、急に訪れ、夫の海外の死を伝える、というもの。
これはどうなのだろう。surprise(驚かせる)文学としてみれば弱い。その観点から見れば、本作は凡作に分類されるものではないのか。
しかし私小説作家、近松秋江である。実話を元にした作話なら申し訳ないが、それにしたって、短編一本を支えるコアとしては、少し弱いようにも感じる。
実話なのか小説なのか、解説には特に明記されてはいなかった。
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