
日本とタイの歯科事情の違いをよくテーマにしていますが、以前「タイで受けるとお得感の高い治療は何か?」を他紙でお書きしました。そのときの“お得”は単に費用が安いという意味ででした。今回は“質”のことも考慮してお話しようと思います。“質”のことを言い出すと日本の歯科治療にはいい印象はないのですが、患者さんはあまり悪い印象はないようです。それは“痛い”かどうか“外れやすい”かどうか程度の判断基準でしか考えないからです。レントゲンを撮って問題がわかるようなことを患者さんのほうで知りようもありませんから。そんな歯科医院に行かないと判定できないようなことは今回はやめて誰でも良し悪しの判断が簡単な処置として“入れ歯”があります。日本で特に保険の入れ歯というと誰しもいい印象の人は非常に少ないはずです。ですから入れ歯を何度もいろいろな歯科医院で作っておられる人は少なくありません。10個ぐらい持っている人もありました。実は歯医者にしても入れ歯は不採算部門の最右翼です。ですからどこの歯医者さんもコストダウンに苦労しています。保険医を標榜していると不採算を理由に治療を断れません。材料の安いもの、技工料の安い技工所を探すのは当たり前で、かける手間もできるだけ省く先生もいらっしゃいます。以前、技工所の人が「**歯科の先生が上顎と下顎の模型だけで総入れ歯を作れって言うんですよ。」と嘆いていました。どういうことかと言うと上の入れ歯と下の入れ歯がどういう位置関係であるか決まっていないと人工歯を並べられないからです。いかに日本の先生といえどこんなことを知らない歯医者さんがいるとは思えません。こんな技工所を嘆かすようなところまで“省略”されることがあるということです。入れ歯だけに限らず素材も重要ですが、かける手間も重要です。タイの先生はこの手間をかけるということでは非常に印象がいいです。いいかげんなことをしている歯医者を見たことがありません。むしろ、「よくそこまで手間をかけてくれる。」ということがよくありました。結果は当然、雲泥の差です。入れ歯が完成した後の患者さんのクレームも桁外れに少ないです。日本では、噛むと痛いとか安定が悪いと完成後、何度も歯医者さんに調整してもらってもやっぱり良くないと市販の入れ歯安定剤(ポリグリップなど)に頼っている人は少なくないはずです。おそらく入れ歯安定剤の販売実績は日本が群を抜いて一番じゃないかと思っています。そして入れ歯安定剤の売られている種類も世界一のはずです。よくタイで入れ歯安定剤が売られていないから日本からたくさん買ってきている患者さんがいましたが、タイでも売られています。しかし日本ほど需要ばないので売られているところが少ないというだけのことです。入れ歯は他の治療と違って患者さんがその違いを実感できる治療です。そして、おそらくタイは世界一コストパフォーマンスの高い国だと思います。
バンコク市内で、具体的な場所や店名を上げていただければ、助かります。