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カードの不正利用もAIで暴く――JCBのデータ活用、その裏で活躍する分析チームの姿

2017-11-13 15:47:13 | 日記
カードの不正利用もAIで暴く――JCBのデータ活用、その裏で活躍する分析チームの姿 という記事を見つけました。

 現金以外の決済手段として、身近な「クレジットカード」。普段なにげなく利用する裏で、購買履歴や会員属性といった膨大なデータがたまっている。各カード会社は、そのデータをどうビジネスに生かすか、さまざまな工夫を行っている。
 クレジットカード大手のジェーシービー(JCB)も、そんな企業の1つだ。同社は米アナハイムで行われた「Teradata PARTNERS Conference」で、その組織的なデータ分析の取り組みを語った。

全社データ基盤の「J-MARK」と分析専任チームの「JUST」

 JCBでは、約4000人の社員全員がデータにアクセスできるよう全社のデータ分析基盤を構築している。それが「J-MARK(JCB Marketing System)」だ。膨大な量のカード会員の属性データや取引データなどをTeradataのデータウェアハウスを使って集約しているという。
 ユーザー部門からの認知度も高く、各社員はJ-MARKを通じて、さまざまなデータの抽出と分析処理を行っている。同社システム本部の箕谷氏によれば、「分析のためのアプリケーションも提供している」とのことだ。
 同氏が部長を務める業務システム開発部は、基幹システムを除く約60の業務システムの運用を担当している。日々のレポーティングでは、600テーブル、数万項目に上るデータにアクセスし、加工して使う。与信と販売促進については、SASで統計モデルを作るが、これもJ-MARKを基盤としてSASを活用する形なのだという。
 しかし、扱うデータの種類や量が増えるほど、複雑なデータ構造を理解するのが難しくなる。ユーザーが部門ごとに、その都度分析の仕組みを作るのでは、手間もコストも増えるという課題があった。
 特に、JCBでは3年ごとに定期人事異動があるため、担当者が別部署に異動し、ナレッジが分散するという悩みも抱えていた。新部署に赴任してから、前任者の分析結果を見ても、すぐには理解できない。そのため、統計知識とプログラミングスキルという、専門知識を必要とする統計モデリングの担当者は、社外で雇わざるを得ない状況だったという。
 そこで同社では、ユーザー部門の分析を支援しながら、ナレッジを集約してためるチーム「JUST(J-MARK User Satisfaction Team)」を立ち上げた。Support(支援)ではなく、Satisfaction(支援)をチーム名に入れたのは、彼らが、データ分析を通じて、ユーザーの満足度を高めることをミッションとしているためだ。
 箕谷氏によれば、JUSTは「レポーティングとオペレーション活動の改善と支援」「分析プロジェクト支援」「ユーザーヘルプデスク」という3つの業務を担うという。

JUSTが分析プロジェクト支援でやってきたこと

 JUSTはこれまで、加盟店用の「送客支援」、セキュリティ部門用の「カード不正の検知」、コミュニケーション部門用の「電話やメールのテキストマイニング」といった、多岐にわたる分析プロジェクトを支援してきた。
 特にカード不正利用については、人工知能(機械学習)を使った検知システムを活用しているという。カードの不正は、盗難やカード偽造のような犯罪と、加盟店による過剰支払いの2パターンに分けられる。
 前者については、基幹システムで「ニューラルネットワークとルールベースのモデルを組み合わせた、精度の高い不正検知用のシステムを以前から利用している」と箕谷氏。一方、後者の加盟店不正では、テンソル・コンサルティングが持つ独自のAIエンジンを使い、「ぼったくり」など、過剰支払いを強制する不良加盟店を見つけるモデルを新たに開発したという。
 会員がぼったくり被害に遭うと、カード会社としての社会的信頼の失墜や、取り消し処理が必要になることもある。これまで、不良加盟店を探すには、カード会員からのクレームをもとに、担当者が実地調査を行って確認していたため、調査件数に比例して工数がかかるという問題があった。「担当者が持つ現場の知見とテクノロジーで解決できないかと考え、機械学習を使ってモデルを作った」と箕谷氏は話す。

 担当者がチェックしていた項目をスコアリングし、その結果に基づいて、ある程度対象を絞った調査ができるようになった結果、カード会員の保護とブランドイメージの向上に貢献したという社内評価を得た。現場でも、機械学習の高い精度が好評なのだという。

JUSTの支援で実現した「データ分析のスピードアップ」

 ユーザー部門の依頼を受けてIT部門がデータ分析の要件を確認し、必要なデータの特定や抽出を行い、分析手法を選定してモデリングと実装に着手する――こうしたプロセスを進めるのは時間がかかる。ユーザー部門とIT部門とのコミュニケーションがうまくいかず、時間のムダが生じるのはどの企業でも共通する悩みだろう。
 データ分析のスピードは、モデリング時のデータの扱いがカギを握る。JCBでは、Teradataのエンジニアに、データサイエンティストが行うデータマネジメント業務を任せ、JUSTがデータサイエンティストとユーザー部門の橋渡しをする体制を作り上げた。同社はプロジェクトコストの適正化や、分析リテラシーの向上などに手応えを感じている。

 せっかく高い効果が期待できる戦略や分析モデルができても、実装に時間がかかれば、機を逸してしまうこともある。データ分析要件を初期段階から理解できているため、新体制では上流工程の短縮が実現できたという。
 箕谷氏が最も成果があったと感じているのは、自社のリソースを「自分たちが業務をどう変えるか」に集中できるようになったことだ。「『分析ならばJUSTに相談すればいい』という雰囲気が社内に浸透し始めた」と同氏は話す。

「AI基盤」の構築を見据えるJCB、その狙いは?

 クレジットカード企業では、与信プロセスの高度化、不正検知におけるパターン検出、画像処理、自然言語処理、チャットボットなど、ビッグデータやAIを活用した分析が役立つ業務は多い。AIについては、いくつかPoC(Proof of Concept)を行っていると箕谷氏は話す。
 さらに、これまで分析の中心だった構造化データだけではなく、ソーシャルメディアやWebログのような、非構造化データを扱う分析の必要性が高まっていることを考慮し、JCBでは、AI基盤を構築しようとしている。箕谷氏は、さまざまな部門と議論を繰り返しながら、完成させる構えだ。

 現時点では、AI基盤と既存のシステムの間に、データ基盤を配置する構成を考えているようだ。データ基盤は、AIを使った分析に必要な既存のシステムと互換性を持たせる。そして、AI基盤はデータ基盤から供給されたデータを使って分析を行う仕組みだ。

 AIについては、「いろいろ試してから、最適なものを選ぶ環境を作りたい」という気持ちが強いと箕谷氏。さまざまな新しい技術があるので、PoCでどこに何が適用できるかを検証したいという。
 また、意外なことにJCBではBIツールを導入していない。これまでの活動の中で、ユーザー部門がそれぞれに必要な可視化を行ってきたためだ。各部門が見ている数字を結合させ、全体としての可視化と最適化ができれば、ビジネス課題へのアプローチも変わるだろう。その分析精度が上がるほど、ビジネスは成長するはずだ。
 「現場に行って、ユーザーの『困りごと』を聞き、優先順位を付けて解決していきたい」と話す箕谷氏。ツールの導入を急ぐことなく、最適化が可能な「“本当の意味での”BIシステムを作りたい」とJCBは考えているという。
 昨今、クレジットカード事業者は、カードそのものの機能や、ポイント還元率、特典などよりも、付帯する「サービス」で差別化を図る方針に切り替えつつある。利益の減少を避け、新たなビジネスチャンスを――。ビッグデータや人工知能の活用は、クレジットカード業界にとって、ますます重要さを増していくだろう。

 カードの伏せて使用を見つけたら その場で拒否できるようになると良いですね
他のカードメーカーも頑張ってほしいものですね

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